軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第1028話 地底神殿の守護神

ユグドランガのもとを去ったライト達は、地底神殿に向かう。

今回もラウルの魔力探知能力を利用していくので、ラウルが先頭を歩きその後ろをライトとレオニスがついていく。

そうして十分か二十分くらい歩いただろうか。

ライト達の進む方向、その先に何か大きなものがあるのが見えてきた。

「あ、もしかしてあれが地底神殿かな?」

「だろうな」

「あの中に、強い魔力を放つものが二つある。おそらく地の女王と神殿守護神だろう」

神殿と思しき建物に向かって歩きながら、ライト達がヒソヒソと小声で話す。

その周囲には特に何もなさそうだ。

神殿の外見は、これまでと同じく他の神殿と全く同じ作りに見える。いわゆる『コピペ』というやつである。

神殿の前に辿り着いたライト達。

中からは物音一つ聞こえず、しん……とした静寂に包まれている。

とりあえずライト達は三人で横並びになりながら、ゆっくりと神殿の中に入っていった。

「ごめんくださーい……どなたかいらっしゃいますかー?」

まずはライトが神殿の中に向かって声をかけるも、返事はない。

はて、ラウルはこの中に二つの強力な魔力を感知したって言ってたのにな?と思いつつ、ライトがもう一度中に向けて大きめの声で呼びかけてみた。

「地の女王様ー、いらっしゃいますかー?」

ライトの二回目の声かけも空振りに終わる。

ライトは左右に立っているレオニスとラウルの顔を見た。

このまま入口でぼけーっと立ち尽くしてても仕方がないので、中に入る?という無言の確認である。

レオニスもラウルも無言で頷き、三人は意を決したように中に入っていった。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

無言のまま神殿内部に入っていくライト達。

ここは建物の中で、しかも明かり一つないので神殿の外よりも闇が濃い。

中に入った直後は夜目が効くライトでも見え難かったが、しばらく経つと次第に目が慣れてきてきた。

周囲を見てみると、中の作りも他の神殿と全く同じのようだ。

ということは、ここは間違いなく属性の女王が住む神殿である。

ひとまずライト達は神殿の奥の方、祭壇がある場所に向かう。

するとそこには、白いもふもふがいた。

祭壇の前で寝そべっている白いもふもふは、すやすやと眠っていて起きてくる気配は微塵もない。お昼寝中ということだろうか。

「レオ兄ちゃん……これ、白虎だよね……?」

「ああ、俺の目にも白虎にしか見えん」

「こいつが、神殿守護神ということか……」

三人は白虎と思しきもふもふの横に立ちながら、様子を伺う。

白いもふもふは寝そべっているのだが、その状態でもレオニスやラウルの背丈よりも一回り以上大きい。起きて立ち上がったら、さぞかし立派な体格であろう。

とはいえ、 侵入者(ライト達) が神殿内に入ってきたことに全く気づかないのは如何なものかと思うが。

身体全体が白い毛で覆われていて、黒い毛の虎特有の模様が背中や胴体を中心に広がっている。

見た目は本当にホワイトタイガーそのものである。

だが、額の中央にダイヤの形をした瑠璃色の宝石のようなものがついており、決してそれがただのホワイトタイガーでないことをありありと示していた。

「お昼寝中……かなぁ?」

「かもなー。てゆか、地の女王はどこだ?」

「あ、そういやそうだね。地の女王様、どこにいるんだろ?」

「ラウル、この神殿の中に強力な魔力が二つあるんだったよな? もう一つの魔力はどこにあるか、分かるか?」

「………………」

ここには白虎という立派な神殿守護神がいることは分かったが、肝心の地の女王の姿が見当たらない。

もちろん神殿守護神ともちゃんと起きた状態で会いたいが、それより何より地の女王に会えないのが一番困る。

ぱっと見見当たらない地の女王の行方を知るべく、レオニスがラウルに高魔力の在処を問うた。

すると、ラウルはしばしの沈黙の後、白いもふもふのお腹の辺りをジーーーッ……と見ながら徐に口を開いた。

「…………そこにある」

「え? どこどこ?」

「この白くてデカいもふもふの、腹の下辺りにいる」

「「………………」」

ラウルからの思いがけない答えに、思わずライトもレオニスも白いもふもふのお腹を見遣る。

もしかして、この白虎らしきものの下に地の女王が埋もれているのであろうか。もしそうだとしたらかなり心配だ。

こんな大きなもふもふの下に、地の女王様がいるの?

まさか押し潰されてぺっちゃんこ☆とかなってないよな?

ライトがそんなことを考えつつ、レオニスやラウルに話しかける。

「…………どうしよう? 白虎を起こしてみる?」

「ンー……いきなりそれはちょっと危ないかもしれんなぁ」

「だな……もし万が一寝起きの悪いヤツだったら、機嫌を悪くして襲いかかってくるかもしれんし」

「ぁー、そうだねー……」

白虎を起こすというライトの提案に、レオニスもラウルも難色を示す。

確かにラウルの言う通りで、もし白虎が寝起きの悪い性質を持っていたら、昼寝中に起こされたことで超絶不機嫌になるかもしれない。

いや、襲いかかってくること自体は然程問題ではない。ここにはレオニスもラウルもいるし、もし攻撃されてもどうとでもいなせるだろう。

だが、初っ端から白虎の機嫌を損ねる訳にはいかない。

初対面で最悪の印象を持たれてしまったら、今後の付き合いに多大な悪影響を及ぼすこと間違いなしだからだ。

白虎の寝起きの良し悪しが分からない以上、ここは慎重に行動した方が良いのである。

白虎を起こすことがNGとなると、さて今度はどうすればいいか。

にっちもさっちもいかない状況の中、ライト達はしばし考え倦ねる。

いきなり起こすのがダメならば、少しづつ起こしていくしかない。

どの道白虎のお腹の下を表に出さなければ、どうにもならないのだから。

三人はその場でしゃがんで輪になり、もしょもしょと話し合っている。

そうして開かれた臨時作戦会議が終わり、三人はすくっ!と立ち上がった。

まずレオニスが白いもふもふの頭の方に行き、ラウルは白いもふもふのお腹の近くに行く。そしてライトは後ろ足のところに移動した。

少し離れたところに立つレオニスとラウル、互いの顔を見合わせつつ頷く。そして次の瞬間、三人は白いもふもふの脇の下と太腿の付け根、足の裏の肉球をくすぐり始めた。

もしょもしょ、こしょこしょ、こちょちょちょちょ……とライト達にくすぐられる白虎。

そのうち、ムニャムニャ……フガフガ……と鼻息しながら、ゴロン……と大きく寝返りを打った。

白いもふもふが向こう側に寝返りを打ったことで、お腹の位置が変わって何かが現れた。

それは先程までここで寝ていた白いもふもふ同様、床に寝転がってすやすやと寝ている。

その 顔貌(かおかたち) は、ライト達が何度も見てきた属性の女王と ほぼ(・・) 同じ。しっとりとした長い髪を身体にまとわりつかせていて、色は髪も身体も黒に近い焦げ茶色。

見た目だけで判断するなら、間違いなくそれは地の女王だった。