軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

087 【元パーティー視点】

「私は私のやり方がある」

「ふゥん。まあいいわ」

付き纏うようにメイルと肩を組んでいたミレオロが離れる。

「まずあんたたちの身柄が拘束されないように取り計らう。その手土産を用意するための準備に必要なものがあれば言いなさいなァ」

「ん……」

メイルたち三人の目的は果たされたことになる。

だがその事態についてこられたのはメイルだけ。フェイドとクエラは完全に置いてけぼりを食らった形になっていた。

「おいメイル……」

「準備を。私たちが戦うのは化け物、ヴァンパイア。今のままじゃ勝てない」

「へェ。また面白いもんを手土産に考えてるじゃない」

「ん。ヴァンパイアと、元テイマー」

「元……?」

「あれは、別物。下手したら、ヴァンパイアより強い」

「なっ!? そんな馬鹿な……ランドがそんな」

フェイドにとって、メイルの言葉はそう簡単に受け入れられるものではない。

だが、状況を冷静に見られているのは今、メイルの方だった。

「ランドはもう、普通にやって勝てる相手じゃない化け物」

「そんな……くそっ!」

「だから、ロイグを……同じ化け物にした」

デュラハン。

単体戦力でSランク超級。ミノタウロスはもちろん、下手をすればドラゴンゾンビですら凌ぐ化け物がそれだ。

あれだけの瘴気を、生前実力だけは歴史に名を残すまで至っていた男が受けていたのだから、その力は隔絶したものになっていると、メイルは踏んでいた。

「なるほどねェ。そいつらのうちどっちかでも解剖させてくれるって言うなら、あんたたちを狙う動きは完全に止めてやってもいい。そして──」

たっぷり溜めをつくってからミレオロが告げる。

「もし片方でも生け捕りにしてきたら、あんたらを勇者パーティーにしてやってもいい」

「なっ……! 本当か!?」

食いついたのはフェイドだった。

「へェ。やっぱり、こんな状況だってのに諦め切れないんだねェ、勇者くん?」

「っ! いや、それよりも」

「熱くなるんじゃないよ。私はそれだけの力がある。そうだろう? メイル」

「ん……ミレオロなら、できる」

ランドを犠牲にして以来、ずっと暗雲が立ち込めていたフェイドの心の中に、ようやく一筋の光明が見出せた瞬間だった。

「よし……やるぞ……」

「生け捕り……片方でいいなら、あのヴァンパイアを……」

クエラの頭の中では、悪鬼ヴァンパイアによってランドまで悪に染まったものということになっている。

そこからランドを救い出すことだけが、クエラが聖女として認められるために必要な要素になっていた。

いやもう、そう考えなければ今の状況は、聖女としての期待を背負い続けたクエラにとって耐えられるものではなくなっていたのだ。

「なァ、メイル。あんたのお仲間、もうおかしくなっちまってないかい?」

「……」

ミレオロのその言葉に、メイルは何も答えず、静かに淡々と必要なものを要求し続けた。

「ま、いいわァ。思ったより楽しめそうだし」

ニヤリと顔を歪ませるミレオロが、表情を強張らせる三人との対比を際立たせるようだった。