軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

065

「さて、それじゃあ報告を聞こうか……と言っても、大方昨日聞いてるんだがな」

宴会は夜通し催され、俺たちは途中で抜けてそれぞれ宿で休んだ。

冒険者として一度攻略を開始するとなかなか家にも戻る機会がなくなることから、俺は家を持っていない。俺はどこでも寝られるんだが流石にミルムに悪いので宿をとっていた。

というわけで一夜明けて改めてギルドへの報告に来たところだった。

「ほとんどは言ったとおりだが……」

ミルムとともに改めてあの日の顛末を説明していく。

調査段階では異変がなかったこと。

その後何者かによって瘴気が操られ、ドラゴンゾンビが復活したこと。

ドラゴンゾンビとの戦闘はギリギリ勝ったこと。

「で、それがそいつか」

『きゅー!』

アールを可視化させて挨拶をさせる。

ドラゴンゾンビ時代の反動か、何故か人懐っこいので可愛く鳴いていた。

元々邪竜だったんだよな? こいつ?

「まあこの見た目なら心配いらねえが、これも公にしねえ方が良いだろうな」

「だろうなぁ」

「隠し事が増えちまってわりぃが」

「ギレンのせいじゃないだろ」

まあそうは言ってももう、ミルムのことは公然の秘密のような形になってはいるが……。

「ああ一つだけ追加情報だ。森での戦闘中、悲鳴が聞こえた。誰か巻き込まれてる」

「なんでまたあんな場所に……詳細はわかるのか?」

「いや、俺とミルムがスキルを使っても見つからなかった。多分だが、竜のブレスの性質上、飲み込まれた人間はそのまま……」

「恐ろしいな……改めてこっちまでこねえで良かったと思うわ」

その点は本当にそうだった。

森に向けて広域化したネクロマンスを使っても反応がなかったのを見るに、おそらく一瞬で魂ごと持っていかれていたからな……。

「あとは報告の通りだ」

「わかった。今回の報酬だが……ああその前に、報酬にも絡むんで言っとくか」

「報酬にも絡む……?」

なにかと思っているとギレンの口から予想外の人物の名が告げられた。

「お前ら新Sランクパーティーにセシルム卿が会いたいって言ってんだが、どうする?」

突然の大物の登場だった。

「いや……どうするって言われてもな」

「まあ断れねえわな」

「セシルム卿……?」

不思議そうに首をかしげるミルムに説明した。

「セシルム卿は王国の南東部を守る辺境伯だ」

「へぇ……辺境伯……この国の大貴族よね? たしか」

「そうだな」

王族を除けば最も偉い貴族だ。

「で、なんで私達に会いたいのかしら?」

「まあまずは礼だろうな。今回の竜の墓場の一件はもともとセシルム卿も相当気にしていた話だ。ここは仮想敵国がいるというよりは魔物の脅威から王国を守ることがメインなのもあってな、予算もほれ、これだけもらってんだ」

ドンっと応接室の高そうな机に無造作に置かれる革袋。

「これまさか……全部金貨か……?」

これだけで今すぐ冒険者をやめてもなんとかなるだけの金額だ。

だがギレンの口からは信じられない言葉が出てきた。

「いいや。一部虹貨だ」

「虹貨!?」

一枚で金貨100枚に相当するもんだぞ!?

生きてるうちにお目にかかることになるとすら思っていなかった。

「それだけ今回の件は大きかったってこった。そもそもセシルム家はあのドラゴンゾンビの相手をするためにいたようなもんだったからな。あいつがいなくなりゃ政治の上手いセシルム卿の身内も王都に拠点を移せる。それを思えばこのくらいの金額は、まあ大したことはないのかもしれんな」

生きる世界が違いすぎて全く何も頭に入ってこなかった。

「と、言うわけだ。まあ悪い話にはならん。行って来い」

「わかった」

「よくわからないけどわかったわ」

「ミルムにとってもいいことがあるだろうよ」

一応次にやることが決まったな。

辺境伯家は竜の墓場と同じくらいの距離があるが、今回はアールという移動手段もある。

急に行っても迷惑だろうということで一週間休暇を取ってから向かうことになった。