軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

063 【元パーティー視点】

「あ……」

ロイグの血を浴びたフェイドがようやく正気に戻るも、すべては後の祭りだった。

だがここに来て、メイルはまだ諦めていなかった。

自分の地位を守りながら、今の恵まれた生活を続けることを。

「考えが……ある」

フェイドもクエラも、もはやその策に乗らざるを得ない。

耳を傾けた。

「ロイグは元々、どうしようもなかった」

「それは……」

否定する言葉を探したクエラだが、続く言葉はいつまでも紡がれることはなかった。

要するに、クエラもロイグの処遇がどうにもならないことはわかっていたのだ。

「むしろ、ロイグは多分、邪魔になる人間たちもいた」

「待てメイル。逆にロイグはこれから、責任を押し付けられる唯一の……だがそれすら今俺が……」

フェイドは自分たちの価値をこのときは正しく認識していた。

ギルドにとってSランクパーティーは手放したくない存在。むしろ今回の一件でしばらく首輪がつけられるくらいに考えていたというフェイドの予想は、大方のところ当たっていた。

それもこれも、ロイグ一人に問題の責任をなすりつければ、という大前提があればこそであった。生きていれば、それ相応な罰をロイグが被る形でパーティーへの非難を回避することが出来たかもしれない。

そしてそのロイグを殺してしまったのが、今の自分であると、そうフェイドは認識していた。

「ん……それを、私たちがやる。いや……やった、ことにする」

「どういうことですか……?」

クエラもフェイドも、まだメイルの考えは読み取れない。

「ロイグが冒険者を辞めると、どうなる」

メイルの問いかけに二人が考える。

おそらく、いや確実に、ロイグは騎士団には戻れない。それだけのことをやらかしてきた男だし、騎士団からしても二度と関わりたくない相手だろう。

となると、ロイグの行動パターンとしてまともに定職にはつかないだろう。

腕と搦手で駆け上がることを得意とするロイグなら……。

「夜盗か……」

「他国の軍か……」

「そう……どっちにしても、騎士団の敵」

「それは……」

確かにロイグの選択肢はどれも、国に、騎士団に歯向かうものでしかない。

「騎士団から出た汚点であるロイグが、さらに泥を塗る。私なら、冒険者を辞めた時点でロイグを殺す」

「まさか……」

フェイドはそう口には出したものの、確かにメイルの言うことは一理ある。

騎士団の汚点であったロイグだが、やはり実力は本物。だからこそ、自分たちをSランクパーティーにまで引き上げられたのだと、フェイドはそう認識していた。

ロイグがもし他国で活躍したり、野盗として名を馳せるようなことがあれば、それは騎士団のあまりに大きな汚点となることは事実だった。

その解消のためなら、先んじてロイグを暗殺するという線も出る。

「それでも、ロイグを殺そうと思えばそれなりに大変だったはず」

「まあ、な……」

素行の問題を差し置いてなお、騎士団長、そしてSランクパーティーという二つの頂を取った男だ。

その実力、特にその防御力の高さは王国屈指だ。

「だから、まず騎士団に、手土産はできた」

メイルの言葉の、あまりに淡々とした口調にフェイドは一瞬恐怖を感じたが、今はそれどころではない。

「それだけの理由があったとしても、俺たちのやったことは……」

「そう。でも、ギルドに圧力をかけられる組織がこれだけで一つ揃う」

メイルの言葉はそれだけで終わらなかった。