軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

038

「さて、行くか」

ミルムがターゲットをバラバラにしたことは瞬く間に冒険者たちの噂になっていた。

ただまあ、見た目の可愛さと俺の話題性が先行したおかげでまるでヴァンパイアだとか魔族だという噂は立たなかったのでよしとしよう。

まあそうだよな。戦闘モードに入りさえしなければ普通に可愛らしい人間にしか見えないからな。

「腕がなるわね……! どれくらい大きいのかしら」

「いやなんで戦う前提なんだ……俺らは調査に行くだけだからな!」

頼むぞミルム。

「なーに。倒しちまっても構わん」

「そうですね。ご活躍を期待していますよ」

「勘弁してくれ……」

そんなこんなでニィナさんとギレンに送り出されるように出発することになった。

目指すのは竜の墓場。

「ミルムは移動の時飛ぶのか?」

「え? んー……まあ飛んだくらいで魔力切れは起こらないからそれでもいいけど、あんまり移動向きじゃないわね」

「そうなのか」

「ええ。短距離はともかくある程度距離をいくなら地上で行ったほうが体感が楽ね」

「なるほど」

そんなもんか。

「それより、前情報が欲しいわ」

「前情報?」

「眠っているドラゴンと、竜の墓場、あと調査依頼のやり方ね」

なるほど。

「答えやすいやつから行くけど、調査依頼に決まりはない」

「そうなの?」

「ああ。あくまでこれは調査で分かった内容に報酬が出るもんだからな」

「なるほど。分かった情報の価値に応じてってわけね」

まあこれとは別に受けただけでもらえる基本報酬もあるし、最低限現地を見てきたことは伝える必要があるが、この辺りはもう信頼の問題だ。

なので基本的に、調査依頼は基本報酬がほとんど出ない集団調査と、信頼を持って依頼する特別調査に分けられている。

「で、竜の墓場とドラゴンだな……これは俺たちの間では寝る前に親から聞く有名な物語なんだが……」

「ふーん……私達の始祖の伝説と同じね」

「そうだな。俺たちにとって勇者はそういう話だ」

その昔、辺りの村々で恐れられる竜がいた。

竜は村々に一年に一度生贄を求めた。

生贄がなかったり、生贄が気に入らなければ村に容赦なく災厄を振りまく。それを恐れた村はいつしか竜を崇め奉る神として扱い始める。

ある日竜は気まぐれで近くにあった帝国に立ち寄る。

その国は村のように従順ではなく、当然竜に対抗した。

「その時に活躍したのが勇者かしら?」

「いや、帝国と竜は戦争状態になったが、帝国側の戦力に際立った存在はなかった」

「そうなの」

「ただ、数の暴力の前に竜も満身創痍。そこに現れたのが勇者だ」

「へえ……あれ? その言い方だと……」

「勇者は邪竜とともに帝国を滅ぼした」

勇者は村の次期生贄だった。

村々から集まった生贄たちは竜を崇め奉り続けたことで加護を受け、相当な力を持ってパーティーをつくる。

元々村々は竜以上に帝国を脅威としていたこともある。人々の目には竜の行動は自分たちを助けるように映っただろう。

「で、なんで竜は死んだのかしら?」

「もう帝国との戦争で限界を迎えたとも言われているし、生贄たちが死なないために決戦に持ち込んだとも言われてるな」

「なにそれ」

「所詮物語だからな」

諸説有りというやつだ。

竜が徹底して村の味方として描かれたものもあるし、邪竜として常に敵として描かれるものもあるような状況だった。