軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

177 神域ダンジョン【久遠】②

「ほとんどマロンにそそのかされただけだけどな」

「ふふ。ありがとう。大事にするわ」

二つに結んだ髪に合うように一応二つ用意しておいたが正解だった。片方だとちょっと不格好だったかも知れない。

「似合うかしら?」

「似合ってるよ」

「そう。じゃあ、行ってくるわ」

二度目の出発の掛け声は、さっきよりも明るいものになってくれていた。

渡したかいがあるな。

「ああ、いってらっしゃい」

『キュオオオオン』

『グモォオオオオ』

「任せたぞ」

レイとエースに声をかけて撫でてやると任せろと言わんばかりに吠えてくれた。

ミルムに付き従い、レイとエースもダンジョンへと消えていった。

それを見送って腰を下ろしながらひとりごちる。

「さて……どのくらい待つんだろうな……って、もうか!?」

『きゅー!』

しゃがみ込み切る前にアールが宵闇の棺に呼ばれて消えた。

まるで最初からそこにいなかったかのようにすっと消えたのだ。

「入ってすぐ開けた場所が見つかった……ってわけじゃないなこれは」

本当に一瞬で、俺も宵闇の棺に呼ばれる感覚に襲われた。

「ミルムが言ってたのはこういうことか……」

思ったよりも早い、というか本当に一瞬の出来事だった。

慌てて宵闇の棺を発動し、アイテムを突っ込むのと同じ要領で自分の身体をねじ込む。

「これでいいんだよな……」

「ええ。久しぶりね」

「いや……俺は今見送ったところだったんだけど──なっ……」

「何を驚いているのよ。こんななにもない場所で」

ここはただのなにもない真っ白の部屋。

奥に一つの扉があるのは見えるが、それだけの空間だ。

俺が驚いたのは呼び出された場所ではなく……。

「髪飾りが……」

「ああ、ごめんなさい。大事にはしたのだけど、流石に限界だったわね」

大事にしてくれていたことはよく伝わった。

布が擦り切れ、中のゴムが伸び切っているのが見えるほどだ。

「一体どれだけの時間……」

──能力吸収によりステータスが大幅に上昇しました

──使い魔強化により使い魔のステータスが大幅に上昇しました

「おお……」

「やっぱり遅れてやってきたわね」

もはやこれ以上どう強くなるのかと思っていたミルムと、最上位種から固有種にまでなっているレイとエース、そしてアールが、さらに大幅なステータス向上を起こすくらいのダンジョンだったということだ。

『キュオオオオオオン』

『グモォオオオオオオ』

『きゅー!』

我慢しきれないと言わんばかりに三匹が鳴きながらこちらに向かってきた。

「ああ、みんな頑張ってくれたんだな、ありがとう」

撫でてやるとそれぞれ満足そうにまた鳴いた。