軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

175 エルフの領域

「この辺りって……エルフの里があるんだったか」

深い深い森の中。

もはや冒険者ですら踏み込むことのない領域を歩きながら進む。

「わざわざあの子から降りたのはそのせいよ。エルフは弓と魔法、遠距離での攻撃手段に長けている上に、外部からの侵入者には容赦しない」

「そういうことか」

森の途中でアールから降りるように言ったのはなにも目的地が近いからというわけではなかったようだ。

「そもそもギルドが侵入を禁止したのもそのせいよね」

「そうか。ここってもうそんな場所なのか」

「そうよ。気を抜いたらダンジョンに着く前にエルフにやられるわよ」

ミルムの言葉に気を引き締める。

エルフは一人ひとりが冒険者で言うAランク上位の強さだという。

さらに森の中においてはそれが一段階、いや二段階強さを増すのだ。

エルフの使う精霊魔法の兼ね合いと聞くが、詳しいことはともかくとして森のエルフと戦うなというのは冒険者でなくても知っている生きるための格言のようなものだった。

「どのくらい歩くんだ?」

「そうかからないわ」

その言葉通り、しばらく歩くとすぐに目的地にたどり着いた。

「これは……木が入り口になってるってことか」

立派な大木だった。

と言ってもこの辺りは周囲の木全てが巨大なため目立つことはないのだが……。

そんなことを考えながらふらふら歩み寄ろうとした俺をミルムが止めた。

「待ちなさい」

「え……?」

「ダンジョンに入るのは私と、あんたの使い魔だけよ」

「なんで……?」

ここまで来たというのに……。

不思議に思っているとミルムがダンジョンの入り口を指差した。

「見なさい」

「ん……?」

薄暗い階段を目を凝らして見つめると……。

「人の……骨か?」

ダンジョンで白骨化した遺体が見つかるのは珍しいことではない。

だがダンジョンの入り口でというのは異例だった。

「俺が入るには厳しいダンジョンってことか……」

「そうだけど、少し違うわね。よく見なさい、あれはエルフよ」

「えっ?」

もう一度ダンジョンの骨を見つめる。

だが見ただけでは人とエルフの骨の違いなどよくわからなかった。

「力を使えば良いじゃない」

「そうだな……【ネクロマンス】」

少し距離があるが問題はない。

──レイスのネクロマンスに成功しました

──エクストラスキル【初級精霊魔法】を取得しました

──能力吸収によりステータスが向上しました

──使い魔の能力が向上します

「どう?」

「エルフだ」

感覚でわかった。

いやそれ以前に【初級精霊魔法】が決め手ではあったが……。

ミルムと出会ったときと同じように、レイスは形を留めること無くキラキラとした光になって虚空に消えた。