軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

169 緊急招集

「やあ……申し訳ないんだが、ちょっと頼まれてくれないかい」

屋敷に備えられた魔道具からセシルム卿の声が響く。

心底申し訳無さそうに。

「えっと……王都ギルドの指名依頼、だったか?」

「ああ。王都ギルドの交渉を失敗した上でこんなことを頼むのは非常に情けないんだけどねぇ」

「あれはまあセシルム卿のせいではないというか……」

ギルドマスターに問題がありすぎるだけな気がする。

「そう言ってくれるとありがたい。で、頼まれてくれるかい?」

「別に良いけど、内容は?」

「ドラゴン三体の討伐及び納品だねえ」

「どこかでドラゴンが出たのか?」

「いや……それが全くそういった情報はないねえ」

「つまり……?」

「金持ち貴族の道楽で依頼されたものを、押し付けられたねえ……」

「なるほど」

ドラゴンは出現すれば周囲のギルドが上位の冒険者を集めて対処に向かうほどの相手。

それが三体か……。

「ドラゴンの指定はあるのか?」

「いいや、特にないねえ。適当にドラゴンの巣に行って適当に何匹か連れてこい、っていう依頼だぁね」

「簡単に言ってくれるな……」

「全くだよ。私じゃあ私兵団を全て投入したってそんなこと出来やしない」

まあこれはもう、半分以上嫌がらせなんだろうな。あのギルドマスターの。

そんなことを考えていると横にいたミルムが口を挟んだ。

「報酬はしっかり出るのかしら?」

「そこに関してだけは私がなんとかしようじゃないか。ドラゴンのサイズや希少性に応じた報酬は出すと言っている。ただしドラゴンは三体まで」

「ふーん。なら……」

「そうだねえ、古代竜レベルだと一体でも国家予算規模、ドラゴンの中でも希少性の高い白竜やダブルスキル以上のドラゴンなら三体も揃えられたら大変だろうねえ」

「そう。わかったわ」

悪巧みをするセシルム卿の顔が浮かぶようだった。

ミルムも笑ってる。

「今回の件、私が受けた理由はまさにそこだ。報酬の支払い能力を超える不始末を起こさせれば自ずと彼は失墜する」

「それ、しれっと依頼の難易度が上がってないか……?」

「なぁに。君たちなら問題ないだろう?」

簡単に言ってくれるものだった。

「そうそう。良いニュースもあるんだ」

セシルム卿が話題を変える。

「王都ギルドは軍部とのつながりが厚い。はっきり言って今回、王都騎士団すら敵と思っておいて良い」

「それのどこが良いニュースなんだ……」

「まあまあ最後まで聞き給え」

セシルム卿は自信たっぷりだ。

「軍部と対立する権威である財務卿とその関係者の取り込みに成功した。こちらはマロン氏の協力もあって実現したわけだけど、これで勢力は二分された。相手は魔術協会と軍務卿、王都騎士団と王都ギルド。こちらは財務卿、ミッドガルド商会、そして君たちだ」

「良いニュース……?」

「良いニュースじゃあないか。国のバックが付いたのは大きい。これで後はもう力づくで解決してしまったところでどうとでもなるのだからねえ」

「そういうことか……」

つまりセシルム卿はこう言いたいのだ。

力づくでなんとかできる土台は揃えたから……。

「あとは頼むよ」

やはり申し訳無さそうにセシルム卿はそう言った。