軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

167 領地に戻って

「ほんとにアールのおかげで王都もすぐだな」

「信じられないくらい便利ですね……途中で魔物を見つけるたびに倒して回収していたってこれですから……」

「倒した魔物がここでまたアンデッドとして活躍してくれれば楽ね」

「恐ろしいですね……」

まあ実際たまに死んでから付いてきたそうにしているやつもいるにはいるしそういうのは連れてきている。

単純に強さに心酔されたパターンや、襲われている動物を助けてやろうとしたが間に合わず死んだパターンなど、妙に懐いて付いて来るというケースも珍しくなくなっていた。

「さてと、ロバートは……」

『おかえりなさいませ。主人様』

「いつの間に……」

気配もなく唐突に現れるロバート。

どんどん人間離れしていくな……。いやアンデッドだから人間じゃないんだけど。

『主人様が戻られたら是非工房に来てほしいと、セラ様から』

「おお、もしかして出来たのか?」

『はて……それはわかりかねます。ですが連日すごいスピードで武具は製作されております。勝手ながら私の方で逆に鍛冶師を集めあちらに送り込み、現在は人手も増やしました』

「そうか、ありがとう」

本来なら競い合って良いものを作るのがいいのかもしれないが、アンデッドになってまで向上心を持っているのはセラくらいだ。

あとは生前の名残でなんとなく作業をしていただけだったから、セラのもとで動いてくれたほうがお互い幸せだろう。

「とりあえず行くか」

「ええ」

「わかりました!」

『お嬢様はお戻りになり次第色々と相談したいことがございますのでいつものお部屋でお待ちしております。領地の兵力はこの僅かな期間でも大幅に成長しておりますからな』

「うっ……わかった。後で行く……」

面倒事を押し付けて申し訳ない気持ちもあるがまあアイルはどちらかというと仕事をやっていたほうが落ち着くタイプだしな。

ちょっと嫌な顔をしたのはどちらかというとロバートが厳しいからだろうな。

「おお……」

セラの工房前に来て言葉を失う。

「まるで数日前とは別物ね」

ミルムの言葉通り、最低限の設備を整えただけだったはずの工房は、周囲一帯を飲み込んだ大工場へと進化を遂げていた。

「建物だけでいうなら王都のどの工房にも負けませんね」

「いやまあ、辺境だからこそなのかも知れないけど……」

腕の部分のほうがむしろセラがいる分王都に負けていないだろう。

「外から見るとだいぶ変わってたけど、セラのスペースだけは前のままだな」

「休むことなくそこに居続けたんでしょうね……」

アイルが若干呆れてながらも尊敬の念を込めてそう言う。

これが人間なら少しは休むなり食事や睡眠をすすめるんだが、セラの場合本当にそれらが必要なくなっている。

結果的にこの大工場でほとんど唯一と言っていい自我を持つ存在でありながら、自動化を担っているゴーレムよりも機械的に勤勉に働き続ける意味のわからない状況が生まれていた。