軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

143 攻略完了

その後も特段苦戦することもなく、だが想定以上に長いダンジョンの攻略を進めていく。

「八十階層……」

「そろそろ終わりかしら?」

「傾向を考えるならラスボスじゃなくてもフロアボスが出てくるよな」

『奈落』は非常にシンプルでオーソドックスなダンジョンだ。

階層ごとに強くなる敵と、敵の種族の統一感、そして十階層ごとのフロアボス。

ひねりが無いといえばそうだが、その分純粋な魔物の強さが際立つ。王都騎士団が挑んで途中で引き返したことがなによりこのダンジョンのレベルの高さをあらわしていた。

「ここを攻略すれば外に狼の魔獣が出ることもなくなるかな?」

「むしろ貴方が全部テイムなりネクロマンスなりをすれば済む話かもしれないけれど」

「それは流石に……」

とにかくダンジョンは未攻略、つまり最奥のボスを倒さないと無法地帯と化すのだ。

原理はわからないが、攻略されたダンジョンからは魔物が外に出ることはない。

いま領地を脅かすのはこの二つの未攻略ダンジョンから溢れだす魔物たちということで、できればボスまで倒し切りたいという状況だった。

ただミルムの言うような裏技もなくはないなと思ってしまう自分がいる……。

「まあとにかく攻略だ」

「ようやくすこし歯ごたえのありそうなのが出てきたわよ」

「レイ、やれるか?」

『キュオオオオオオオオン』

現れたのはダークフェンリル。

神獣であるフェンリルと対を成すような黒色の個体だ。

大きさ、強さはフェンリルと並ぶ。あのときフェイドたちが逃げ出したミノタウロスよりも強い、間違いなく最強の魔物の一角。

だがいまやもはや、使い魔の一体であるレイだけを見てもそれを超える存在になっている。

「グォオオオオオオオオオオオ」

ダークフェンリルが勢いよく吠えられたのはこのときだけだった。

フェンリルからも存在進化を果たしたレイの咆哮がそれをかき消す。

『キュアアアアアアアアアアア』

「グァ……⁉」

身動きすら取れなくなったダークフェンリルにレイが飛びかかる。

物理攻撃も魔法攻撃も一定以上、少なくともAランク相当のものでなければ攻撃が通らないことがダークフェンリルの強みだ。

だがその無敵とも言える黒い毛皮を、いともたやすくレイの爪が切り裂く。

「グァアアアアアアアア」

断末魔。

すぐに首元をレイが噛みちぎりそれすらも聞こえなくなった。

──ダークフェンリルのネクロマンスに成功しました

──ユニークスキル『絶対防御』を取得しました

──能力吸収によりステータスが大幅に向上しました

──使い魔強化により使い魔たちのステータスが大幅に向上しました

「この子のおかげで楽に勝ったように見えても、やっぱりそれなりの力があったということかしら」

「そういうことだろうな」

吸収した力を感じ取って実感する。

レイの進化の凄まじさと、自分たちがいかに強くなったかを。

「よくやったな! レイ」

『キュオオン』

こうして甘える姿だけは、どれだけ大きく、強くなろうと変わっていなかったが。