作品タイトル不明
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「いえ……えっと……これは……」
布団の裾で顔を半分隠しながら上目遣いでこちらを見上げるアイルがいた。
あれ? ここ俺の部屋だよね? と扉を振り返ると、親指を立てたロバートがゆっくりと扉を閉めていた。なんで?!
「その……一晩考えさせてほしいと言ったのですが……」
「言ってたな」
貴族とか子作りとかそういうのに関する話だ。
ちなみにアイルは一晩考えられるのに俺には考える余地は与えられなかった……おかしいな?
「その……抱いて……ほしい……です」
アイルが上目遣いで言う。
どうすればいいんだ……。
ためらっていたせいでアイルが暴走しはじめた。
「やっぱりだめですか!? 今日は少し小綺麗にしましたが女で騎士なんてしてたしその……」
「いや、そういうわけじゃなく……」
「じゃあやっぱり私のことは嫌いで……」
「いや、そうでもなく……」
どうしようこれ……。
困ったときは──
「ほんとに甲斐性のない男ね」
助けを求めるように周囲を窺うと、部屋の中心から黒い影が出現しミルムが現れていた。
やっぱり見ていたようだった。
「ひゃっ!? ミルムさん?!」
「貴方もこの男に迫るなら、もう少し考えてからやるべきだったわね」
「うぅ……ですが……」
「心配しないでいいわよ。もう貴方の目的に向けて動くことは決めてるわ」
ミルムが言う。
言ってからこちらに確認してくる。
「そうでしょう?」
「そうだな」
あれだけ有能な執事がいる。
なんなら俺の実務はほとんど疲れ知らずの優秀なゴーストたちが済ませてくれるとなれば、俺は今まで通り自由。
たまに顔を出さないといけないイベントごとはでてくるかもしれないとか言ってたけどまあ……その程度で、一度関わった相手の望みが叶うならそれでいいだろう。
「いいん……ですか?」
「まあ貴族云々はおいといて、ひとまずこの領地に関しては俺が預かるよ」
「ありがとう……ございます……」
アイルがうつむいて、それだけ言った。
なんか厄介事を抱え込んだ気もするんだが考えようによっては悪い話じゃない。
多分この街には、まだゴーストたちが複数潜んでいる。
四方を山脈に囲まれ、内部は強力な魔物が発生しやすいというこの土地。そしておそらくアンデッドタウンとなっているこの街ごと、そのまま俺が領地とする。
俺の力はネクロマンスで繋がる魔物が強くなればそれがそのまま自分に、そして使い魔に還元される。この土地は使いようによって、かなり強力な自動経験値装置になるのだ。
そしてなにより……。
「どうせアンデッドタウンだから、もし領民が増えるにしてもそういうのが大丈夫な奴に限定しないとだな」
「お化け……ばっかり……?」
アイルは怖がったが、ミルムはハッとした顔になった。
「……」
ミルムがもしヴァンパイアたちを再び従えたいというなら、こんなに適した土地はないだろう。