軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

92、空間魔法

魔法の訓練場に行ってみると、案の定誰もいなかった。誰かに見られたら大変だから都合がいいな。よしっ、頑張ろう。

確か歴史の授業によると、使徒様はバリア、アイテムボックス、転移が使えたんだよな。

これって属性にしたら何属性だろう? うーん、空間属性とか? とりあえず、俺の中では空間属性ってことにしよう。

まずは、アイテムボックスから試してみよう。なんでアイテムボックスからなのかっていうと、一番使えたら便利だから!

これが使えたら便利なんてものじゃないよ。もし時間経過がなければ食料品をいくらでも保管できるし、お金も全て持ち歩ける! 銀行に全てを預けて置くのは少し怖いから、定期的に引き出してアイテムボックスに貯めて置くのもありだよね。絶対に使いたい!!

よしっ……イメージはどんな感じだろうか? 無限の異次元空間が広がっていて、その空間に物を自由に出し入れできる感じかな。異次元空間は時間が停止していて、中に入ってるものはリストとしてわかるのが良い。そして思い浮かべるだけで取り出せたらなお良いな。

空間に小さな穴を開けてそこから出し入れするイメージかな。うん、なんとなくイメージが固まってきたぞ。

日本でアニメ見まくってた俺を舐めるなよ!

よしっ……『アイテムボックス』

俺はそう唱えながら右手から魔力を放出すると、右手の少し先にブラックホールのようなものが出現していた。

おおっ! 凄い!! もしかして成功!?

俺って天才かも!!!!

俺は持っていた銅貨を手に持ち、一枚その中に入れてみた。手を中に入れるときに何かを感じるかと思ったが、何も感じないようだ。ただ、中に入れた手は見えなくなったので、傍から見たら腕の先が消えた変な人になりそうだな。これは、周りに人がいる時はカバンの中で出し入れしたほうがよさそうだ。

俺は銅貨をアイテムボックスの中で手放して、手を引いた。すると手は、普通にアイテムボックスから出てきた。ちゃんと動くな……ふぅ〜、とりあえず良かった。

ちょっと緊張してたんだ。

俺はもう一度手を異次元空間に入れると、今度は頭の中にアイテムリストのようなものが浮かび上がった。

うわっ! なんか変な感じだけどめっちゃ便利だ! 銅貨一枚ってあるな。これどうやって取り出すんだろうか?

うーん、念じればいいのか? 俺は銅貨一枚と頭の中で念じてみた。すると手のひらに何かが触れたので、それを掴んで取り出してみると銅貨だった。便利すぎる!

もっと検証してみよう。

今度は銅貨と銀貨を十枚ずつ入れてみると、リストには銅貨十枚、銀貨十枚と書かれている。

これって枚数指定もできるのかな? 俺は銅貨二枚と念じてみると、思った通り銅貨が二枚だけが取り出せた。本当に便利だな。

次は大きなものが収納できるのか試したいな。俺は魔法の訓練場に置いてあった岩を収納できるか試してみることにした。でも、これは持ち上げられないし……手で触れて収納と念じればいいのかな?

収納! …………ダメだな。うーん、アイテムボックスの入り口に触れさせればいいのかもしれないから……そっか、手のひらに入り口を出現させればいいのかもしれない。

俺は最初に出していたアイテムボックスの入り口を消して、岩に手のひらを当てて魔法を使ってみた。すると、影も形もなく岩がなくなった。

おおっ! できた!!

リストを見てみると、銅貨、銀貨に続いて岩が追加されていた。手のひらにアイテムボックスの入り口を作り出せれば、なんでも簡単に収納できるじゃないか。便利すぎる!

それに銅貨と銀貨もそのままだから、入り口を消しても中身はそのままってことだな。完璧だ。

よし、あとはこの岩をどうやって取り出すかだけど、手を中に入れて掴むことはできないよな。

手のひらにアイテムボックスの入り口を作って、岩を取り出すように念じれば出てくるのかな?

俺はさっき岩を消した場所に、岩を出現させるように念じて手のひらをかざし、アイテムボックスの入り口を作った。

するとさっきの場所に同じように岩が出現した。完璧すぎる!

あとは……細かいものを収納したらどうなるかだな。俺は訓練場の地面の砂をそのまま収納するのと、袋に入れて収納するのと、二種類で収納してみた。

そしてリストを確認すると、袋に入れた方は訓練場の砂一袋となっているが、そのまま入れた方は一握りの砂となっていた。うーん、砂をそのまま入れたら砂一粒一粒がリストになるのかと思ったけど、そうはならないんだな。それならば、細かいものを入れる時は袋に入れたほうがいいよな。

あとは最後に、時間経過があるかどうか試したい。これはすぐに検証できないから、氷をアイテムボックスに入れてしばらくして取り出してみよう。

俺は魔法で器を作り、その中に氷を作り出してアイテムボックスに仕舞った。これでとりあえず思いつく検証は終わったな。

完璧だ。これは完全にアイテムボックスだ! 俺も空間魔法を使えるんだ! 俺は嬉しすぎて、思わずガッツポーズをしてしまった。

あれ? でも嬉しすぎて忘れてたけど、空間魔法が使えるってことは俺は使徒なのか…………?

うーーん、これはいくら考えてもわからないんだよな。とりあえず保留にしておくしかないか。

そんなことより次の魔法だ! バリアを試してみよう。バリアは、透明な壁があるイメージだよな? 透明な壁ってガラス? でもガラスはすぐに壊れるし……

うーん、壁っていうよりもさっきの異次元空間を作り出すイメージの方がいいかもしれない。どんな攻撃も吸収する壁とかめちゃくちゃ強そう! でもそれだとアイテムボックスに魔法が入っちゃう可能性があるのかな? それは嫌だな……

やっぱりアニメとかでよくある物理魔力障壁かな。でもあれってどんな材質なんだ? 魔力なのかな……

まあいいや、とりあえずやってみよう!

『バリア』

うっ……作り出せたけど結構魔力を消費するな。アイテムボックスが全然魔力消費しなかったから油断してたよ。

バリア一枚で俺の魔力の一割くらいかも。ただ、それで攻撃を防げるのなら絶対使うべきだな。

あとは、バリアの形を変えられるかだけど……体に沿うように、透明スーツみたいにできないかな?

俺は透明な全身鎧を着るイメージでバリアを使った。すると全く重さを感じない透明な鎧が現れた。成功だ!

魔力の消費量はあまり変わらないみたいだし、戦う時はこれを纏うべきかも。維持するのにはそこまで魔力を消費しないみたいだし、戦闘中でも使い続けられるな。

あとは、これの耐久度を調べたいんだけど……小さなバリアを出してそれに攻撃してみるか。

俺は手のひらサイズのバリアを作って、それに攻撃してみることにした。手で触ってみた感じはガラスっぽいな。

まずは殴ってみよう。拳を握ってかなり力を入れて殴った。

ガンッ……いったい!!

素手で殴るんじゃなかったよ、痛すぎる。バリアには傷一つ付いてないな。

じゃあ次は剣で攻撃してみたいけど……剣はないから魔法で作った石で殴りつけてみよう。

ガキンッ……凄いな、まだ傷一つ付いてない。

なら魔法だ! 俺は少し遠くからスピードをつけてバレットを放った。いけっ!!

ガゴンッ……え? まだ割れないの!?

もう一回だ! バキンッ……ピキッピキッ……ガッシャーン!

おおっ、ついに割れた。というか割れるものなんだな。そして、割れた破片は残らないでそのまま消えてしまった。

これはかなり強力なバリアだ。さっきの魔法は前に岩を破壊したのより強い威力だったし……バリア使えるな。

とりあえず、バリアはこれでいいだろう。あとは転移だけど、転移ってどういうイメージなんだ? 俺が一度分子レベルまで分解されて、別の場所で再構築されるとか?

なんかそれは怖い。あとは、異次元空間を通って別の場所に出るとか。うん、それの方が安全そうだな。

そっちのイメージでとりあえず目に見える場所に転移してみよう。

『転移』

おおっ! 体がふわっと浮いて、一瞬真っ暗な世界に入り込んで別の場所に出てきたって感じだ! すぐに成功するとは思ってなかった……もしかして俺って魔法の天才?

なんか嬉しいかも。俺は思わずニヤニヤしてしまったが、頑張って気を引き締めて検証を再開した。

次は見えないところに転移してみよう。さっきの岩の裏側をイメージして……『転移』

できた!! この程度の距離なら転移可能だな。ただ、この程度の距離でも結構魔力を消費している。これは、長距離の転移は無理かもしれないな。

とりあえず魔力があと四割くらいしかないから、最後に一度少し遠くに転移してみるか。

でも、転移先の状況ってわからないよな? 多分転移先に物や人がいたらその上に転移したりぶつかったりする気がする……それに、人がいたらどこから現れたんだって大騒ぎになる。

うーん、どこに転移するのがいいだろう?

ダメだな……王立学校じゃ試せない。転移するなら実家から森とかの方がいいな。

あとは、人を連れて転移できるか、物を持って転移できるか、転移先に人がいた場合、物がある場合など、色々検証したいことがあるけど……転移が使えることを明かせないと無理だな。

空間魔法が使えることは、タウンゼント公爵家と王家に言った方がいいだろうか?

……言ったら使徒様として祭り上げられる未来しか思い浮かばない。別にそれはもう諦めてるからいいんだけど、俺は使徒様じゃないから神様からの罰が怖いんだよなぁ。使徒様だって騙した罰で天罰が下るとか……あるのかな?

……なんかありそう。とりあえず知らせない方向で行こう。今のところはその方がいいだろう。よしっ方針決定だな。

ふぁ〜、色々試して結構疲れたから戻るか。そろそろリュシアンも帰るだろう。