軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

78、魔法具の授業

しばらくしてロニーは落ち着いたので、やっとちゃんと話せるようになった。

ロニーは泣いたのが恥ずかしかったのか、顔を赤くして体を小さくしている。穴があったら入りたいってやつだな。確かに、俺がロニーだったらめちゃくちゃ恥ずかしいだろうな。

「レオン……さっきまでのことは忘れて欲しい……」

「えっと、忘れるように努力はするよ」

多分忘れられないけど。

「努力じゃなくて絶対に忘れて!!」

「わ、わかったよ。絶対に忘れる。もう思い出さない」

「絶対だよ!」

なんかロニーがおどおどしてない。さっきまであんなに怖がってたのに、もう全然そんな感じないし、なんなら昨日より自然体じゃないか?

泣いたらスッキリして怖さも無くなったとか? まあ、俺は自然体でいてくれた方が嬉しいからいいんだけど。それにこの学校で過ごしていくには、図太いくらいじゃないと辛いよな。

「そう言えば昨日はロニーの話をあまり聞けなかったけど、ロニーはどこに住んでるんだっけ?」

「歩いて一時間くらいのところにある、安い部屋に住んでるんだ」

「中心街の外ってこと?」

「そう。中心街を出てすぐのところ」

「そうなんだ。今度遊びに行きたいな!」

俺がタウンゼント公爵家の屋敷に住まわせてもらえなかったら、住んでた可能性がある場所だもんな。

「別に来てくれてもいいけど何もないよ?」

「それでも興味あるよ。それに、今度うちにも遊びに来てよ」

「うちって、公爵家の屋敷のことじゃないよね!?」

「違うって、流石に公爵家の屋敷に俺の友達は呼べないよ。俺の実家のこと」

「そっちね。レオンの実家は食堂なんだよね? それは行ってみたい!」

「じゃあ休みの時にね」

「うん! 楽しみだな」

そこまで話したところで、スティーブ先生が教室に入ってきて話は中断させられた。

ロニーと友達になれて良かった……本当に嬉しい。普通の友達っていいよな。ステファン、マルティーヌ、リュシアンも友達だし一緒にいて楽しいんだけど、やっぱり身分差があると完全には気が休まらないんだよな。

そのあとは朝の連絡を聞いて、授業になった。

一限目の授業を受けて、次は二限目の授業である。今日の二限目の授業は魔法具の授業なんだ! 俺は結構楽しみにしていた。

授業の時間になって教室に先生が入って来た。結構なおじいちゃん先生だ。少し腰が曲がっていて、日に当たっていない肌の色をしている。

研究に明け暮れて、部屋に閉じこもってるタイプの先生な気がする。この先生が魔法具研究会の先生なのだろうか?

「わしはブエラ・ロンゴだ。これから魔法具のことを君たちに教えることになる。よろしく頼むぞ」

話す時は結構ハキハキと話すみたいだな。なんだか魔法具一筋って感じの雰囲気が漂っている。

「この授業は最初の数回で基本を教えたら、あとは実践になる。魔鉄と魔石が少しだけ授業のために融通してもらえるから、実際に今作られている魔法具を作る授業じゃ。魔法具を作れるのは魔力量が四以上の者だけなんだが、魔力量が四以上の者は立ち上がってくれ」

そう言われて立ち上がったのは、十人弱くらいの人数だった。当然俺も立ち上がる。

「今立ち上がった者の名前を控えるから、端から名乗ってくれ」

自己紹介の時の順番で立ち上がってる者だけ名乗っていき、最後に俺が名乗って終わりとなった。

「座っていいぞ。では今名乗った者たちは実践に参加してもらう。逆に今座っていた者たちは、基礎の授業が終わればこの授業の時間は自習で構わない。この教室で静かに自習をしても良いし、訓練場の使用許可を得て剣術の訓練をしても構わん。図書館に行くのも良いだろう」

やっぱり実践はできる人だけなんだな。魔法具を作れるのは嬉しいけど、自由な時間も結構羨ましい。俺だったら絶対に図書館に行くな。

「まず今日は基礎の授業じゃ。基礎は魔法具を作らない者にとっても知っておくと便利な知識だから、しっかりと聞くように。卒業試験では魔法具の基礎も出題範囲だからな」

そうなのか! そう言えば卒業試験あるんだよな。色々あって忘れかけてたよ。

俺は紙とペンを取り出して、しっかりと聞く体勢を作った。

「魔法具とは、魔鉄と魔石を使って、魔法の現象を継続的に効率良く発生させる道具だ。魔鉄の歴史は……」

そこからは魔鉄と魔石の歴史の話になった。魔鉄と魔石は、かなり前から発見されていたらしい。ただ、最近になるまで魔法具を作れることは、発見されていなかったそうだ。

魔鉄は魔力で形を変えられることは分かっていたので、高級な鉄として王家や貴族に独占されていたらしい。ただ、魔法の火に弱いので使い道は限定されていたようだ。基本的には精巧な装飾品として使われていた。

魔石は、皆同じ形と大きさで掘り出されるので、珍しい宝石として、とても高級な装飾品に使われていたらしい。

そしてその二つの装飾品を組み合わせた、魔鉄と魔石での最高級の装飾品が作られた。最初は魔石に魔力を込めなかったので気づかなかったが、何かの拍子に魔石に魔力を込めてしまい、魔法が発動し続けることに気づき、魔法具が作れることに気づいたそうだ。

偉大な発見とか発明とかって、偶然の産物が多いよな。魔法具もそうだったんだ。

確かに魔鉄は、どうやって掘り出されて精製されてるのか知らないけど、見た目は普通の鉄だった。

魔石も見た目はただの丸い宝石って感じだ。魔力が込められるなんて考えないだろう。

「魔鉄を魔法で変化させるには、頭の中で変化させたい形を正確に思い浮かべ魔力を流し込む必要がある。魔力があればあとは訓練次第でできるようになるだろう。魔石に魔力を込める時は、魔法具で発現して欲しい現象を頭に思い浮かべながら魔力を込める。そして、魔石を魔鉄に嵌め込めば、魔力が尽きるまで魔法が発動し続けるという仕組みじゃ」

改めて聞くと、やっぱりスイッチ機能があったら便利なんだよなぁ。どうにかして作れないだろうか?

魔法具研究会で、スイッチ機能をつける研究をしたいな。

「今までに開発されている魔法具は、光球、水道、水洗トイレ、送風機の四つだ。この四つは王立学校にもあるから皆に馴染みもあるだろう。ただ最近新しい魔法具が何個も開発されている。今までは情報が公開されてなかったんだが、最近公開されて少しずつ作られ始めているそうだから、そのうち出回るじゃろう」

おお! 俺が考えた魔法具ついに作られ始めたのか!

これでより快適な世界になればいいな。

「新しい魔法具は、製氷機、ストーブ、料理用コンロ、湯沸かし器の四つだ。これらの魔法具は本当に素晴らしい!! 魔石から離れたところに、魔法を発現させられるという事実に気づいたんじゃ! わしはなんで今まで気づかなかったのかと数日は落ち込んだぞ。やはり固定観念はダメだ。皆も柔軟な思考を持って魔法具を考えて欲しい」

途中から先生のテンションがマックスになった……なんか、本当に魔法具馬鹿って感じの先生かも。

俺が開発したことはバレないだろうけど、気をつけよう。質問攻めにあってめんどくさそう。

というか、もしかしてだけど、この人マルセルさんのところに突撃してないよね? もしそうだったらマルセルさん本当にごめんなさい。

前に海の幸のお土産を持って行った時は何も言ってなかったけど、俺に気を遣って言わないでくれてたとか?

俺も身分を得たら、魔法具を開発して俺の名前で登録しよう。そうすれば、マルセルさんへの注目も少しは無くなるだろう……多分…………

そこからの授業は、ロンゴ先生による新しい魔法具の素晴らしさ紹介で終わった。凄い先生だな。皆唖然として聞いてたよ。

なんか、俺の作ったものをあそこまで褒められると、誇らしいっていうよりバレたら怖いって感じだ。

この先生が魔法具研究会の先生なら、魔法具馬鹿の集まりの予感しかしない。まあ、ちょっと楽しそうではあるんだけどね。