軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

45、旅の準備

公爵家に行く日となった。

ロジェが馬車で迎えに来てくれて、俺は公爵家の馬車で屋敷まで向かっている。

やっぱり乗合馬車とは乗り心地の良さが違うな。この柔らかい椅子が衝撃を吸収するんだ。お尻が痛くならなくて快適に乗れる。でも揺れるところは同じなんだよな。

何とかして馬車の改良できないかな? 魔法具を使ったら何とかなる気もするけど……まあ、時間があったら考えるか。

そんなことを考えていると、すぐに公爵家の屋敷についた。俺はロジェに連れられて、いつもの客室まで案内される。

「レオン様、以前仕立て屋に注文した服と、他にも必要と思われるものは全てお荷物にまとめてありますので、準備は既に完了しております。本日はごゆっくりされてください」

もう準備もしてくれてるのか。俺では何を持っていけばいいかわからないから、ありがたいな。

そういえば今更だけど、公爵領ってどこにあるんだろう? そもそもこの世界の地図って見たことないんだよな。馬車で行くんだろうけど、どのくらいかかるのかな?

「ありがとう。今更なんだけど、公爵領ってどこにあるか知ってる? この国の地図とか見たことないからよくわからなくて」

「公爵領の領都へは、馬車で三日ほどかかると聞いたことがあります。ただ、地図は機密情報ですので、大旦那様の許可がない方には、お見せ出来ません」

そういえば、地球でも地図は軍事機密だったって聞いたことがあるな。それだと見せて貰えないかな?

「ただ、レオン様ならば許可が降りるかもしれません。本日は大旦那様が屋敷にいらっしゃいますので、地図をお借りできるか聞いてみましょうか?」

「本当に!? じゃあ聞いてみてくれる?」

「かしこまりました。少々お待ちください」

ロジェはそう言うと、部屋を出ていった。

許可が出て欲しい! この国の地図は見てみたいとずっと思ってたんだ。この国がどこにあって、王都がどこにあるのかもわかってないからな。この世界の地図も見られるなら見てみたい。ここは大きな大陸なんだろうか?

俺がうきうきしてしばらく待っていると、ロジェが丸めた大きめの紙を二枚持って来た。

「お待たせいたしました。大旦那様の許可が取れましたので、周辺国も合わせた地図とこの国だけの地図、両方お持ちしました」

許可が出たのか! 凄くありがたいな。結構俺のこと信頼してくれてるんだな。俺も信頼を裏切らないように、公爵家のために頑張ろう。

俺がそんなことを考えている間に、ロジェが机の上に地図を広げてくれる。

「こちらが周辺国も合わせた地図です。この国、ラースラシア王国はこちらです」

ロジェは、まずこの世界の地図を見せてくれた。

その地図に書いてある範囲では、一つの大陸しかなく、その大陸の左下に位置するのがラースラシア王国のようだ。

国の南と西は海に面していて、北側には沢山の国がある。この国は一番の大国のようで、左右に長い。

国の東側は、大きな森が広がっていてその先はわからないのか、表記されていない。これが多分、魔物の森なんだろう。この大陸の東側は全体的に魔物の森が広がっているようで、そこから先は表記されていない。

既に魔物の森がどこまで続いているのかも、わからないのかもしれないな。

それにしてもこうやって改めて見てみると、本当に地球じゃないんだな。何故か妙にそう思った。日本では世界地図を目にする機会もよくあったからだろうか。

そんなことを考えていると、ロジェがこの国の地図も広げてくれた。

「それからこちらが、この国の地図です。王都はここ、公爵領はこの範囲です」

この国の地図は、世界の地図よりも少し詳細に書かれていた。王都は国の中心より少し南西にあるようだ。

公爵領は王都の南東方面にある、海に面した広大な領地だった。領都も海の近くにあるらしい。

もしかしたら海産物も食べられるかも!! この世界では川魚を少し食べたくらいで、ほとんど肉しか食べていない。行くのが楽しみになって来たな。

「ロジェは王都以外に行ったことがあるのか?」

「いえ、私は王都で生まれ育ち、この街を出たことはありません。今回はレオン様に同行して公爵領へ行けるということで、大変感謝しております」

ロジェはそういって少し顔を緩ませた。おおっ! ロジェがそんな顔をするなんて、実際はかなり楽しみにしてそうだ。

この旅で仲良くなれたらいいな。この後も長い付き合いになるんだから。

「海とか見てみたいよね」

「はい! あ、申し訳ありません。確かに興味はあります……」

ロジェは思わず反射的に答えてしまったようで、慌てて取り繕っているが、いつもの鉄仮面が崩れて慌てている様子が窺える。そんなに海が楽しみなのか。

俺は思わず笑ってしまった。

「ははっ……見てみたいって頼んでみるよ」

「はい。ありがとうございます」

ロジェは、少しだけ顔を赤くしてそう答えた。どんどん慣れて、素を出してくれるようになればいいんだけど。

堅苦しいのは、俺が好きじゃないからな。

それからはのんびりお茶を飲みつつ、地図を頭に入れる時間にした。

そうして夕方ごろ。俺は準備を整えて食堂に行き、今は公爵家の皆様と夕食を食べているところだ。

今日はリシャール様、カトリーヌ様、フレデリック様が一緒にいる。

「レオン君、明日は朝早く出るから今日はしっかり休んでくれ」

「はい。ありがとうございます。公爵領にはどなたが行かれるのですか?」

俺はまだ、誰が一緒に行くのか聞いていないのだ。

「ああ、言ってなかったかな? 私とカトリーヌ、フレデリックの三人が公爵領へ行くことになっている」

「そうなのですね。でも、お仕事は大丈夫なのですか?」

俺は、リシャール様やフレデリック様は仕事が休めないから、カトリーヌ様だけ行くのかなと思っていたのだ。

「仕事は大丈夫だ。この国では、領都に帰るための長期休暇を取ることができるんだよ。少しの間なら私がいなくても大丈夫なはずだ」

「そのような便利な制度があるのですね」

「ああ、騎士にもその制度があるんだ。それで今回は私も一緒に行ける。まあ、護衛も兼ねてってことだな」

フレデリック様がそう言った。護衛って、道中危険でもあるのか? 俺は思わずフォークに肉を刺したまま、固まってしまった。

「何か危険でもあるのですか?」

「いや、ほとんどないよ。ただ念のためだ」

そうなのか、それなら良かった。俺は安心して肉を口に入れた。もぐっもぐっ…………美味い。

「領都にはリュシアン様を迎えに行くんですよね? 他にも何か予定があるのですか?」

「いや、特別な予定はないよ。ただレオン君に領地を案内したいと思ってる。どこか行きたい場所はあるかい?」

俺の行きたい場所に連れていってくれるのか!? それなら俺の答えは一択だ。

「海がある街に行きたいです。海産物も興味があります」

「それなら、領都の近くに港町があるからそこへ行こう。あの街は新鮮な海産物があるから、食事はとてもおいしい。私も好きなんだ」

「あの街に行くのですか? 私も楽しみだわ。料理がとても美味しいのよ」

カトリーヌ様も好きなのか! 期待が高まるな。

美味しい海産物は最高だからな!

というか製氷機が広まったら、王都でも海産物が食べられるようになるのだろうか? さすがに氷漬けにしても、何日も経つとダメなんだろうか?

いや、氷漬けならいけるだろう。楽しみだ!

まずは一足先に本場の海産物だな。俺は海鮮バーベキューを思い出して、思わず涎が垂れそうになってしまった。

危ない危ない。考え出したらキリがないから、とりあえず美味しい料理の数々は、頭の片隅に追いやっておく。

「そこまで美味しい料理があるなんて、凄く楽しみです」

「ああ、楽しみにしていてくれ」

そうして和やかなムードの夕食は終わった。そして、その日は早めにベッドに入り、早々に眠りに落ちた。