軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

447、領民募集

領地から帰ってきてまずやったことは、とにかく領民の募集を王都中に広めることだ。一応必要な職種は書いているけど、それ以外も幅広く募集することにして人が集まるようにしてみた。

でも数日経って、思ったよりも人が集まらないらしい。その理由はもう分かりきっている。募集の時に伝えている大公領の場所が魔物の森の跡地だということが、皆の足を重くしているのだ。

「ロジェ、このままだと領民がいない領地になるよね?」

「はい。一応領地を作り上げていくことに支障はない程度の人員は集まりそうですが、いくら素晴らしい街を作ったところで、住んでいる人がいなければ意味はありません」

そうなんだよな……やっぱり王都で募集してるっていうのがダメなんだろう。王都はそんなに良いところじゃないことを俺は知ってるけど、それでもこの国で一番の都市なのだ。そこからわざわざ危険な僻地に行こうっていう酔狂な人は、そうそう数がいないのは当然だ。

王都からじゃなくて田舎で生活が苦しい領地での募集も考えるべきかな……でもそれにはその領地の貴族との関係もあるから、簡単に募集はできない。

「アレクシス様とリシャール様に相談するよ」

「それがよろしいかと思います」

数日でそんな結論に達したので、俺は次の日に執務室でさっそく領民募集についての相談をしてみた。

するとアレクシス様とリシャール様は、ちょうど良いとでも言うように数枚の紙を渡してくれる。

「やっと領地開発を始めるのだな。レオンが領民を募集する時が来たらとリストを作ってある。このリストは昨今の敵対貴族による国内の混乱によって、治める貴族家が代わり生活に変化が生じている地域や街だ。もちろん良い変化が起きているところもあるのだが、全員にとって望ましい変化というのも難しく、暮らしづらくなったと感じている者がその地域には多くいるはずだ」

「中には村がいくつか廃村になり、引っ越しを余儀なくされた者達もいる。そういう者達は未だその土地に根付いていないため、大公領に向かうことへのハードルが低いはずだ」

「さらに貴族達もそういう馴染めない領民はトラブルの元だからな、そこまで引き止めないだろう。国から通達すれば素直に応じるはずだ」

そんな便利なリストを作ってくれてたのか……めちゃくちゃありがたいな。大公領は元々国中から人を集めないといけないから、馴染めないことで起きるトラブルは当然予想していたし、それはそこまで大きな問題じゃない。まずは何よりも人がいることが大切なのだから。

「ありがとうございます。ではこの地域を中心に、国中に大公領への移住者を募る通達を出していただけますか?」

「分かった。こちらでも準備をしよう」

「ありがとうございます。領民がたくさん流れてきた領地には、何かしらのお礼とか補填とか、そういうのをしたほうが良いでしょうか?」

「そうだな。大公領では米を輸出するのだろう? それならばそれに際して、何かしらの優遇措置を約束すれば良いのではないか?」

確かにそれはありだな。米を広めるのにも一役買って、俺にとっても一石二鳥だ。

「ご助言ありがとうございます。そのように取り計らってみます」

とりあえずルノーとロニーに相談だ。領地開発を始めるのなら、これから経理の仕事は爆発的に増えるだろうし、二人の後輩も増やさないとダメかもしれない。

領民だけでなく、主要な使用人も全体的に増やす方向でアルノルに進めてもらおう。

それからも俺はアレクシス様達とこれからの大公領について色々と話をして、手応えを感じて屋敷に戻った。

比較的早い時間に屋敷に戻った俺は、屋敷の裏手にある畑を訪れていた。目的はジェロムだ。ジェロムには米の生産など畑の管理を任せていたけど、その技術を領地で集めた領民に広めて欲しいと思っている。

「ジェロム、今時間ある?」

「レオン様、もちろんです。何かございましたか?」

「ちょっと話があるんだけどさ……もし良ければ、大公領に移住してくれないかな? これから領地開発を本格的に始めるんだけど、募集した領民に稲やカカオ、コーヒーの育て方を伝えて欲しいんだ」

俺のその言葉を聞いたジェロムは驚いた様子だったけど、すぐに表情を楽しげなものに変える。

「かしこまりました。精一杯努めさせていただきます」

「本当!? ありがとう! ジェロムって確か通いだよね? 家族はいるんだっけ?」

「はい。妻と子供が三人おります」

「ご家族はどうする? 一緒に移住するのなら、もちろん仕事も住居も準備するけど」

「そうですね……妻は足を悪くしていて家にいるので仕事はできないと思うのですが、一緒に連れて行かせていただきたいです。子供達は全員独り立ちしていますので、声を掛ける程度で大丈夫です」

え、ジェロムの奥さんって体を悪くしてたのか。早く言ってくれれば良かったのに……俺に治せるかな。

俺は世界中の人を治す羽目になったら大変すぎるからと回復魔法のことは隠してるけど、身近な人達を治すのには躊躇わない。

足が悪くなってしまった理由が病気や怪我なら問題なく治せるだろう。今は魔力が潤沢にあるから、原因が分からなくて治る過程がイメージできなくても、魔力量でカバーできる。とりあえず、一度会ってみるかな。

「ジェロム、近いうちに奥さんに会わせてくれない?」

「それはもちろん構いませんが……」

「奥さんの体調が良い時で良いから。それからお子さん達も、もし今の仕事を辞めて大公領に来てくれるんだったら仕事はいくらでもあるから、声だけはかけてくれると嬉しい」

「かしこまりました。話をしてみます」

「ありがとう。よろしくね」

そうして俺はジェロムに話をして、少し畑を見て回ってから屋敷に戻った。次に向かうのは執務室だ。