軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

275、話し合い 後編

「では絶対に情報が漏れぬよう、明日の準備を進める。レオン、アルテュルは今タウンゼント公爵家にいるのか?」

「はい。帰ったら危険だと思いまして、屋敷にいるようにと手配しておきました。今日は王立学校からなんとか抜け出して来たそうです」

「そうか……アルテュルの不在がプレオベール公爵にバレた場合が困ることになる。今はまだ気づかれていないのだろうか? もし気づかれていないのならば、また気づかれぬよう王立学校へ戻ってほしいが……」

確かにそうだよね。王立学校からならまだ公爵にはバレてなさそうだけど……

「アルテュルに一度聞きに戻っても良いでしょうか?」

「ああ、頼めるか?」

「かしこまりました。では行って参ります」

そうして俺はまたタウンゼント公爵家に戻った。転移先は先程までアルテュルと話していた応接室だ。

転移してみるとアルテュルはまだその応接室にいた。

「レオン様!」

「アルテュル、一つ聞きたいことがあるんだけどいいかな。アルテュルがここに来てることはプレオベール公爵家の人にバレてると思う?」

「……いえ、多分バレてないかと思います。実はちょうど二時間連続で授業が自習となりまして、各自図書館でも訓練場でも好きなところで学ぶようにと言われました。私はその時間を好機と捉えこっそり抜け出して来たので……」

それならバレてない可能性は高いかもしれないな。このままアルテュルを王立学校に戻せば問題ないかも。

「その自習って後何分で終わるか分かる?」

「後……十分ほどです」

「じゃあ俺が転移でアルテュルを学校内に送り届けるから、今日はこの後いつも通りに過ごして欲しいんだ。明日は屋敷に騎士が来てアルテュルも捕えられると思うけど、アルテュルが伝えてくれたことはアレクシス様にも伝えてあるから悪いようにはされないと思う。だから心配しないで、いつも通りに過ごしてて欲しい」

俺がそう言うと、アルテュルは不安そうな表情を浮かべながらも頷いてくれた。

「……かしこまりました」

「ありがとう。アルテュルのことは助けられるように頑張るよ。でもお父さんは難しいかもしれないんだけど……」

「それは仕方がないことです。父上は、やりすぎましたから」

アルテュルはそう言って寂しそうに笑った。この歳でこんなに辛い立場になるなんて……

「ただ叶うのならば、幼い弟と妹は助けていただければと思います。どうか、よろしくお願いいたします」

確か二歳の子と生まれたばかりの子なんだっけ。領地にいるんだよね……。多分そこまで処刑ってことにはならないと思うけど、絶対なんて言えないよね。

「アレクシス様に伝えておくよ。アルテュルはこうして情報を持って来てくれたんだし、そこも考慮されると思う」

「……ありがとうございます」

アルテュルは俺のその言葉に、泣きそうな顔で微笑んだ。

「……じゃあ、王立学校に転移してもいいかな?」

「お願いいたします」

転移するなら人がいないところじゃないとダメだよね。どこがいいだろうか。教室は論外だし図書館も人がいるだろう。トイレはもし誰か入ってたら悲惨だし……そうだ、魔法具研究会の教室ならこの時間は誰もいないかな。

俺はそう結論づけて魔法具研究会の教室に転移した。そこには案の定誰もいない。

「ここは……?」

「魔法具研究会の教室だよ。誰もいないところがここしか思いつかなくて」

「かしこまりました。レオン様、色々とありがとうございます。では私は教室に戻ります」

アルテュルは少し不安そうにしながらも、さすが公爵家子息と思うような堂々とした態度で俺に向かって深く頭を下げた。そして教室のドアを開けて出て行く。

俺はアルテュルが去った後もしばらくその後ろ姿を眺めていた。なんか、本当にやるせない。なんでこんなことになってるんだろうか。ただの理想だとは分かっているけど、皆が幸せに生きていけたらいいのに。

それから俺はまた王宮の執務室に転移した。

「レオン、どうだった?」

執務室に転移すると、開口一番アレクシス様にそう聞かれる。

「アルテュルは自習の時間に王立学校を抜け出して来たようで、誰にもバレていないだろうということで私が転移で学校内に送り届けて来ました。このままいつも通りに過ごしてくれるそうです」

「そうか、それは良かった。では後は明日だな」

「はい。あの、アルテュルからの願いなのですが、弟と妹は助けて欲しいとのことです。一応伝えておこうと思いまして……」

「ああ、承知した。考慮しよう」

「ありがとうございます」

多分アルテュルもその弟妹も大丈夫だろう。そう信じたい。

「レオン、明日は王宮を攻めるだけではなくレオンの暗殺も計画されているが、それは大丈夫か?」

「はい。私はずっとバリアを張っている予定ですし大丈夫かと。油断せずに警戒も強めておきます」

「陛下、屋敷の警備も増やしておきますのでご安心ください」

「そうか。頼んだぞ」

「かしこまりました」

俺はそこまで心配いらないと思うんだ。誰が来てもバリアがあれば防げるし。

だから俺よりもステファンやマルティーヌの方が心配だ。王宮の中にまで突入されることはないと思うけど、もしかしたら既に刺客が中に入るとか、暗殺者が入り込んでるとか。そんなことがないとは言い切れない。

王族の人を囲うバリアの魔法具を作って渡しておこうかな。今日の夜からそこの中にいてもらえば、万が一王宮に攻め入られても大丈夫なはずだ。

「アレクシス様、王族の皆さんの安全を最大限確保するため、バリアの魔法具を作っても良いでしょうか? 十人ほどが入れる大きめのバリアにしておきますので、その中にいていただければと思うのですが……」

「作ってもらえるのであればありがたい。問題ないとは言っても万が一ということがあるからな」

「ではお作りいたします」

そうして俺はその場でバリアの魔法具を作り、アレクシス様に渡した。これで万が一にも危険なことにはならないだろう。後は明日の騒動が終わってからだな。

「レオンありがとう。では各自準備に取り掛かろう。そしてまた明日、騒動を収めた後に集まろう」

「かしこまりました」

そうして話し合いを終えて、俺は公爵家に戻った。リシャール様はこのまま王宮で準備を進めるらしい。明日は何事もなければいいんだけど……俺は少しの不安を感じながら王宮を後にした。