軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

225、今後の予定

「まず、スポンジケーキに生クリームを塗ったものをショートケーキって名付けたんだ。そしてショートケーキに季節のフルーツをプラスしてるから、これは季節のフルーツショートケーキって名前にしたよ」

改めて考えてみたらショートケーキってどういう意味なのかよく知らないんだけど、とりあえず一番オーソドックスな生クリームとスポンジのケーキがショートケーキだと俺の中では認識している。

「ケーキっていうのに何か意味があるの? スポンジケーキとショートケーキで同じだけど?」

「ケーキはこれらのスイーツ全般を広くケーキって名付けたんだ。何て言えばいいんだろう……、生菓子のことをケーキっていうのかな?」

「生菓子?」

「うん。冷蔵庫で保存する必要があるスイーツのこと」

多分、そんな意味だと思う。俺もよく知らないけど……

「ふーん、何となくは理解できたよ。まあ、レオンが付けた名前を覚えればいいか」

ロニーはそう言って、メニューを決める紙に季節のフルーツショートケーキと書き込んでいく。

「よしっ、じゃあこれが一品目ね」

「うん。ヨアン次をお願いしていい?」

「かしこまりました。次は…………」

そうして季節のフルーツロールケーキ、シフォンケーキ、ミルクレープ、キャラメルナッツケーキ、バタークリームケーキを皆で試食して、全てメニューに採用した。

カラメルに少しだけ手を加えてキャラメルを作り出してくれたり、バターを色々と改良してバタークリームを作ってくれたりと、ヨアンは俺の想像以上の成果を出してくれていた。

どれも文句なしに美味しくて、迷うことなくメニューに採用だ。本当に、ヨアンは凄い。

「これで全てです」

「ヨアン、何度も言うけど、本当に凄すぎるよ。もう感動してる」

「……ありがとうございます。そこまで褒められると照れますね」

「これはいくら褒めても足りないぐらいだよ! 本当にどれも最高だった」

「ですが、チーズを使ったケーキは完成しませんでした。なのでこれからも頑張ります!」

こんなに作り出してまだモチベーションがあるなんて。本当に凄いな……

「ありがとう。楽しみにしてるよ。チーズの仕入れ量を増やしてもいいからね」

「本当ですか!? ではチーズと牛乳、それから生クリームの仕入れを少し増やしても良いでしょうか?」

「もちろんだよ。足りないと思ったらいつでも言って」

「レオン様、ありがとうございます!!」

ヨアンは瞳を輝かせて少し身を乗り出し、感動した様子でそう言った。俺はその様子に思わず苦笑いだ。

これは近いうちにチーズケーキも形になるかもしれないね。無理はしないようにしてやってもらおう。でもチーズケーキが完成するの、かなり楽しみだ。

これでメニューが決まったから、一気にお店の準備が進んだよね。商品さえあればあとはどうにでもなるし、ちょっとだけ肩の荷が降りたかも。

「ねえレオン、店頭で売るのは基本的に八等分したものなんだよね? 切り分けないものは売らないの?」

「そうだ、その話もしようと思ってたんだよ。切り分けないケーキのことをホールケーキって名付けたんだけど、ホールケーキは予約限定で売ろうかなって思ってるんだ。どう思う?」

俺がそう言うと、ロニーは少しだけ考え込んだ後、徐に口を開いた。

「確かに予約なら無駄になることもないし、混雑も減らせるからいいかもしれないね。じゃあ店頭で買えるのは切り分けたケーキのみで、予約はホールケーキにするってことでいい?」

「うん。それでいいかな。ヨアンはどう思う?」

「はい。確かにホールケーキを買いに来る方の人数が事前にわかると、とてもありがたいです。それからこれは提案なのですが、予約ならばリクエストケーキというのもありかなと思いました」

「リクエストケーキ?」

「はい。ケーキは果物の種類やクリームの種類、トッピングや生地などを自由に組み合わせることができるので、お客様に選んでいただくのもありかなと思いました」

確かにそれはありかもしれない。自分で選ぶにはまず、クリームや生地などがどんな味かを確かめないといけないだろう。よってお客さん達は、そのためにお店のケーキを食べてくれるはずだ。

そしてその上でリクエストケーキを注文してくれるなら、最高の流れだな。

「それいいね。やってみようか」

「本当ですか!? ありがとうございます」

「じゃあ、予約は既存のホールケーキとリクエストケーキのみ。店頭で売るのはカットケーキ。カフェスペースで売るのもカットケーキのみにしようか」

「分かった。じゃあその予定にしておくよ。そうだ、注文を受けてパーティーにケーキを配達するって話はどうするの? 前に言ってたよね?」

「それ悩んでるんだけど、とりあえず最初はやらなくていいかなと思ってるんだ。慣れてきて余力が出てからにするよ。その頃にはケーキも貴族社会に広まってるだろうし」

色々に手を出しすぎても上手くいかないから、欲張らない方がいいだろう。

「分かった。じゃあ後の予定に入れておくね」

「うん、よろしく。あっそうだ、ヨアン。ヨアンはクッキーって作れるよね?」

「はい。最近はあまり作っていませんが、前に教えていただいたので作れます。ポールとリズには練習としてよく焼かせています。あれはオーブンの使い方を覚えるのに良いのです」

「そうなんだ、ならちょうど良いかも! クッキーもケーキと一緒に売りに出したいんだよね。ケーキを買いに来た人が一緒に買ってくれると思うんだ。クッキーも作ることはできる?」

俺がそう聞くとヨアンは少しだけ悩んだけど、すぐに顔を上げて頷いた。

「はい。クッキーはそこまで大変でもないですし、一度に大量に作れるので問題ありません」

「それなら良かった! じゃあクッキーもお願いするね。そうだ、クッキーにナッツやドライフルーツ、あとお茶の葉を入れたりした味も余裕があれば作ってくれたら嬉しいな」

「ナッツにドライフルーツ、お茶の葉ですか……?」

「そう。細かくして入れたり少し食感を残したり、そこはヨアンに任せるよ」

「かしこまりました。お任せください」

「ありがとう」

クッキーって軽くつまめるものだし結構売れると思うんだよね。冷蔵も必要ないしケーキより日持ちするし。

「レオン様、先程のクッキーのように、ケーキの改良案などがありましたら、なんでも仰ってください。他に思いついたことなどはございませんか?」

「うーん……」

ケーキの改良案はヨアンに全部話したんだよね。他に何かあったかな……

そうしてしばらく考えていると、前に手に入れてアイテムボックスに仕舞い込んでいた物の存在を思い出した。

そう、カカオだ。前に市場を巡っていたら売っているお店を見つけたのだ。何でも遠くの国からの輸入品で、その国では細かく砕いて飲み物にしたりパンに混ぜたりしているらしい。

この国ではあまり売れないってことで安くなっていたので買い占めたんだけど、かなり大きな実だったのでどうすればいいのか分からず、結局放置してたんだ。

ヨアンも今なら少しは余裕があるだろうし、この機会に渡してみようかな。そう考えて、俺はカバンから取り出すふりをして、アイテムボックスからカカオの実を一つだけ取り出した。

アイテムボックスを誤魔化すために、いつでも鞄を持ち歩いているのだ。

「これなんだけど、知ってる?」

そしてヨアンにカカオの実を見せながらそう聞いた。

「これは何ですか……? 初めて見ました」

「これは遠くの国で栽培されている物で、輸入品を市場で見つけて買ってきたんだ。その国では細かく砕いて飲み物にしたり、パンに混ぜたりしてるらしいよ」

「そうなのですね。このまま砕いてみれば良いのでしょうか?」

「ううん、お店の人が中にある種を使うんだって言ってたけど、よくわからないんだ」

「種を使うのですね。ナッツみたいなものでしょうか?」

「そうかもしれないね。だからケーキのアレンジに使えるかなって思ったんだ。どう、研究してみない?」

俺がそう言うと、ヨアンは途端に瞳をキラキラとさせて頷いた。

「もちろんです! 新しいものを使って研究ができるなんて……最高です!」

「それは良かった。じゃあ、まだ買った分がたくさんあるから後で持ってくるね」

「ありがとうございます!」

俺もカカオからどうやってチョコレートにすればいいのか全くわからないから、とりあえずカカオに関しては変な先入観を与えずに自由にやってもらうことに決めた。

多分牛乳や砂糖と混ぜるのだと思うけど……、そんな程度の知識しか持ち合わせていないからね。

「多分これを使うのは大変だから、もし研究が成功しなくてもいいからね。無理せず気長にやってほしい」

「かしこまりました! 頑張ります!」

ヨアンは無理せずにって言葉が聞こえてないみたいで、やる気満々だ。まあ、それでチョコレートに近づけるのならありがたいし、無理に止めることもないだろう。体を壊さない程度に抑えつつ頑張ってもらおう。

「じゃあ、今日はもう終わりでいいかな? メニューも決まったしヨアンは新しい材料にそわそわしてるし」

ロニーが色々と書き込んだ紙を片付けながらそう言った。

「確かにそうだね。じゃあ解散にしようか」

「了解」

「かしこまりました!」

そうして初期メンバー三人での話し合いは終わった。メニューも決まったし、準備は順調だ。