軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

124、新しい魔法具作成

「ステファン様、一つ思いついた魔法具があるのですが、それを一緒に作られませんか?」

「今思いついたのか!? レオンは本当に規格外だな……」

ステファンが呆れたような顔でそう言った。そんなこと、なくもないけど……

「ただレオンが思いついたものはレオンが作れば良いだろう?」

「いえ、私は回復属性ですのでステファン様がお作りください」

本当は自分の属性でない魔法具を思いついた時でも、誰かに魔力だけを借りて思いついた人が登録するんだけど、俺はこれ以上目立ちたくないのでステファンに登録して欲しい。

そんな思いを込めてステファンの顔を見つめていると、理解してくれたのか了承してくれた。

「わかった。しかし登録は連名とする。これは譲らない」

「……かしこまりました」

「それで、どのような魔法具を思いついたのだ?」

ステファンがそう言って興味津々の顔で聞いて来たが、リュシアンがそれを遮った。

「お待ちください、私が考えている魔法具について先に話をしてもよろしいでしょうか?」

「ああ、リュシアンの話をしていなかったな。そちらが先で良い」

「ありがとうございます。レオン、私は作りたい魔法具を考えたのだ。お風呂に入ったあと、髪を乾かす魔法具はどうだろうか?」

俺はその提案を聞いてかなり驚いた。

リュシアンは自分でドライヤーを作ろうと思いついたんだよな。その発想ってなかなかできないと思う……やっぱりリュシアンって天才だ。

「それは素晴らしい発想だと思います」

「ああ、だが上手くいかないのだ。炎を近づけ過ぎれば髪が燃えるし、遠ければあまり意味はない。そこでレオンの意見も聞いてみたいのだが……」

「そうですね……、やはり風魔法を使うのが良いかと思います。炎と風で熱風を作り出せればそれによって髪が乾くでしょう。ただ、風によって炎まで髪の方に来てしまうとそれもまた髪が燃えてしまいますので……」

「風か。確かに良いかもしれないぞ。考えてみよう」

リュシアンはそう言って真剣に考え込んでしまった。リュシアンって魔法具を作る才能があるんじゃないか?

俺はどんな魔法具が出来上がるのかワクワクしながら、リュシアンの様子を見ていた。髪を乾かさずにそのままでいるのは嫌だと思ってたんだよね。夏はいいんだけど冬は寒い。

俺もリュシアンに負けないように頑張ろう。

「ステファン様、では私たちも魔法具を作りましょう」

「ああ、それでどのような魔法具なのだ?」

「洗濯機という魔法具を作りたいと思います」

「洗濯とは、服を洗うことだよな?」

「はい。水魔法で水がぐるぐると回るようにし、そこに服を入れることで服が綺麗になるような魔法具です」

そうだ。洗濯機を作るなら脱水の魔法具も作った方が良いかも。脱水の魔法具を作るなら風魔法だよね。

リュシアンのドライヤーも風魔法だし、風魔法の人って誰かいたっけ?

うーん、多分公爵家と王家にはいるんだろうから、その人に頼めば良いのかな。

「もしそれが作れたのならば、使用人にとっては便利になるであろうな」

「はい。しかし貴族の服では洗濯をして傷めたくない服も多々あると思いますので、そういう服のためにピュリフィケイションで服を綺麗にする魔法具も作ろうと思っています」

「それは素晴らしい。そちらはより喜ばれるだろう」

「ではどちらも作りましょう」

そうして俺たちは、各々魔法具を作りはじめた。

クリーニングの魔法具はどういう形にしようか迷ったけど、四角い箱のような形にした。服はそれぞれ形が違うので、箱の中のものを綺麗にする魔法の方が効率的なのだ。服は畳めるからね。

そうして魔法具はすぐに完成した。俺は日本で様々なものを見てきたから、どういう形にしようか迷うことがないのですぐに作り終わる。

ステファンを見てみると、まだどのような形にするか悩んでいる様子だ。

「ステファン様、何かお手伝いできることはございますか?」

「いや、私一人で頑張ってみる」

「かしこまりました」

それなら……、リュシアンを手伝おうかな。やっぱり火と風を組み合わせるのは難しく考えがまとまらないみたいだ。ここに風魔法を使える人がいないから、試してみることもできないのが大変な理由だよね。

俺は周りを見回して皆が真剣に魔法具作りに取り組んでいることを確認し、リュシアンだけに聞こえる音量で言った。

「リュシアン、俺が風魔法を使おうか?」

「でも、全属性は秘密だぞ?」

「この部屋でバレちゃダメなのはロンゴ先生と先輩達だけだけど、ロンゴ先生はさっき自分の部屋に戻ったし、先輩達は背を向けて真剣に魔法具を作ってるし大丈夫だよ。風は目に見えないし」

「そうか……なら頼む。この鉄の箱の中に火が作られるんだが、周りの温まった空気を送る感じで風魔法を使ってみてくれないか?」

「わかった」

リュシアンが指し示したのは、両掌に乗るほどの鉄の箱に4本の足がついているものだった。足の先には石かレンガのようなものがついている。

これを机などに置いて使うのか。今日までにここまで考えて鍛冶屋に作ってもらったんだな。やっぱりリュシアンは魔法具を作る才能があるよ。

俺は鉄の箱に手を近づけてみたが、かなり熱そうだ。周りの空気も熱くなっているので、周りの温まった空気を送るように風魔法を使ってみた。

すると確かに温かい空気はきた。だけどちょっと、いやかなり微妙な温かさだ。これでも良いのかもしれないけど、もう少し温度が高い方が良さそうだよな。

「リュシアン、もう少し温度が高い方が良くない?」

「今同じことを思っていたんだ。どうすれば良いだろうか?」

「うーん、箱の上部に細かい穴を開けたら? 火の温かさって上に行くから、そうすればもっと空気の温度が上がると思うよ。それに上に穴を開けるだけなら、火に風が当たるわけではないから危険度も低いと思うけど……」

「確かにそうだな。また鍛冶屋に頼まなければいけないか」

うーん、できれば今やってみたいな。穴を開けるだけなら工具があればできそうだけど、これそこまで分厚い鉄じゃなさそうだし。

「何か穴を開ける工具はないのかな?」

「私はわからないが、この部屋には色々あるぞ?」

そうなんだよな。この部屋には机の上や棚に様々な道具が入っている。ロンゴ先生の部屋に入りきらないものがこの部屋に送り込まれてる感じだ。

俺は道具類がありそうなところに重点的に探していった。すると、トンカチの端が鋭く尖ったようなものがあった。本来の用途はわからないけど、これは使えそうだな。

そう思ってその工具を持ちリュシアンのところに戻った。

「これで穴を開けられるか試してみるね」

「ああ、そのようなもので鉄に穴が開けられるのか?」

「わからないけどやってみるよ。危ないから下がってて」

リュシアンが遠くに下がったのを確認して、俺は皆から一番離れた部屋の隅で、皆に背を向けて穴を開ける。

工具が壊れないようにバリアを使いたかったのだ。バリアは時々試しているけどかなり頑丈で、魔力を込めるほど頑丈になる。なので工具をバリアで覆ってしまえば、鉄でも穴が開けられると思う。

俺は工具をバリアで覆い、バリアで鋭く尖った部分を作った。そして身体強化魔法を使い、鉄の箱に向かって工具を振り下ろす。

どのくらいの力を込めれば良いのかわからなかったので軽めにやったが、しっかりと穴が開いたようだ。

ちょっとやりすぎたぐらいだ……。バリアの切れ味が凄すぎる。

それから何度か同じようにして穴を開けた。とりあえずお試しだからこのくらいで良いかな。

「リュシアン様できました」

今度は皆に聞こえる音量の声だったので、敬語で呼びかける。するとリュシアンはすぐに近づいてきた。

「おおっ。しっかりと穴が開いたな」

「これで試してみましょう」

そうしてまた火を発現させて風魔法を使ってみた。するとさっきよりは温度が上がっている。こっちの方が良い!

「さっきよりもこちらの方が良いな。これで完成だ!」

リュシアンは満面の笑みで嬉しそうにしている。ほとんどリュシアンが考えたからね。

「リュシアン様、凄いですね!」

「ああ、かなり嬉しいぞ」

それからしばらくして皆の魔法具が完成した。マルティーヌ達の持ち運びトイレも使いやすい形に仕上がったようだ。

そこで俺はリシャール様から渡された登録用紙を取り出し、皆に名前だけを書いてもらった。

魔石連結の技術は俺だけの登録で良いって皆に言われたけど、今まで皆で考えた結果だしピュリフィケイションの研究をしていた四人の連名にした。マルセルさんは名を連ねなくても良いそうだ。

その他の魔法具もそれぞれ作った人の名前を書いた。ドライヤーはもちろんリュシアンの単独だ。

「ではこれらのサンプルと登録用紙を持ち帰り、お祖父様に責任を持って渡そう」

「ああ、よろしく頼む」

「よろしくお願いいたします」

そうして今日の研究会は終わりとなり、俺とリュシアンは屋敷に帰りリシャール様に魔法具を渡した。

回復属性でない魔法具もあったことに驚いていたけど、全て登録してくれるそうだ。乾燥機も屋敷で作って追加で渡しておいた。

それから魔石連結の技術だけど、魔石の個数での魔力効率の変化については、技術登録後に王宮で研究してくれるらしい。王宮で引き受けてもらえるならばありがたいとお任せした。

また、魔物の森への遠征についても行われる予定で調整中だそうだ。秋の休みって言ってたから、秋の休みは予定を入れないようにしておかないと。

これでもっと生活が便利になったら嬉しいな。でも次からの研究会では何をしようか……、また新しい魔法具をのんびり研究かな。そんなことを考えながら俺は自室に帰った。