軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第356話「尋問」

#第356話「尋問」

Q国テロ組織の取り調べは、すでに本格的に始まっていた。だが、想像していた以上に口は堅い。

尋問に対して七人全員が無視をして何も話をしなかった。

しかしながら、取調官たちは一つの違和感に気づいていた。

秘密の戦力――クアン。

そして女性メンバーのレイラ。

この二人だけは、微妙に様子が違ったのだ。クアンはレイラのことを気にしていた。一方でレイラもクアンのことを気にしている。どうやら二人は姉妹のように強い絆があるようだ。

今回のテロ組織のメンバー七人はそれぞれ別室で監視と取り調べを受けており、他のメンバーを気遣うような話は出てこないのだが、この二人だけは違う。

そして、尋問の合間にその相手のことを伝えるとわずかな動揺が見られた。

――ここだ。

そこから、取調べはこの二人を軸に組み立て直された。用意されたのは、カメラ付きのタブレットだ。

さすがに直接会わせることはしない。だが、一定時間だけ画面越しに会話を許可した。

「(君たち二人は特別みたいだな。ならばこちらも配慮しよう。情報提供に協力するなら、毎日交流の時間を設ける)」

その条件に、クアンもレイラも迷いなく応じた。持っている情報を伝え始めたのだ。

しかし――

期待したほどの成果は出なかった。

二人の供述は概ね一致していた。

彼らはQ国に拠点を置くテロ組織の一員。今回の任務も、どこから依頼が来たのかは知らされていないというものだった。

レイラとクアンはそれぞれ淡々と答えた。

「情報の詳細を知っているのは一部の上層部だけ」

「私たちは組織の依頼元は全く知らない」

「いつものように任務内容だけが伝えられたから従った」

自分たちは命令に従うだけの駒で特段の情報は与えられていないとの説明だった。

申し合わせた様子はない。そして二人ともに同じような回答なのでおそらくは間違いないのだろう。どうやら本当に詳細は何も知らされずに今回の襲撃を行ったらしい。まあテロ組織の実行部隊などたいていはそんなものだ。

そこで他の五人のメンバーについても確認した。

「あの五人はテロ組織の中でも腕利き」

「失敗は許されないとして同行してきた」

「実際に二人で逃げようという話もしていた。組織もそれに気が付いて五人を付けてきたのかもしれない」

やはりその質問についても回答はほぼ一致した。

レイラが言うにはクアンが中心となって高泉首相の襲撃を行う予定だったらしい。しかし自分とクアンを信用しきれない組織が五人のメンバーを付けたとのことだった。

どうやらこの二人は他の五人とは立場が違うのだろうと取調官は判断した。

では、高泉首相を襲撃した後にどうするつもりだったのか?

その問いに、レイラは少しだけ視線を伏せて答えた。

「誘拐することを考えていました。殺害などの予定は特にありませんでした」

「これまでも何度も誘拐を成功させ身代金を要求してきました。おそらく上層部は今回も同じようなことを考えているのでしょう」

目的は暗殺ではない。

これまでもクアンを中心に、各国で要人や富裕層を誘拐し、身代金を得てきたという。

では、誘拐後はどうするつもりだったのか?

「近くにボートを用意していました。そこからQ国の貿易船へ乗り込む予定でした」

事前に綿密な逃走計画が立てられていたらしい。実際、捜索の結果、指定された場所には小型ボートが発見された。

燃料も十分にあり、すぐに出航可能な状態だった。辻褄は合っている。少なくとも、ここまでは嘘ではなさそうだ。

しかし――それ以上が出てこない。

身代金目的にしては変だ。一国の首相を狙う意味が分からない。もっと簡単なターゲットはいくらでもいるだろう。

余計なリスクを冒して首相の誘拐を考えた理由は何なのか?

テロ組織についてはブラックボックスのままだった。誘拐した後は本当に身代金を要求するつもりだったのか?

それすらも分からない。

情報を探るべく、彼らにテロ組織と連絡を取らせることも考えたがリスクが高い。秘密の暗号などで情報のやり取りをされたら気が付かない可能性もある。

とりあえずはテロ組織の七人は別々の牢屋で監禁することになった。しかしこの先が問題である。

拘束は継続するしかない。

だが、これ以上の情報が引き出せるとは思えない。

当然のことだが、末端を押さえただけでは、組織は止まらないだろう。更なる襲撃はあるのか?

レイラは答えた。

「その可能性はないと思う。これまで誘拐が成功したのは、あくまでもクアンがいたから。クアンがいない今は遠くの日本に追加の戦力を送る可能性は低い」

その後、クアンとレイラを含む七人の身柄はとりあえず自衛隊預かりとなった。クアンが秘密の戦力という事情もある。下手に取調官に話をされては困るとの判断だ。

続く取り調べはダンジョン特殊部隊メンバーが担当。秘密の戦力についての質問も行った。

「(何故、クアンだけ特別な力を発揮できるのか?)」

「(クアンが開けた金箱から出てきた武具が特別仕様だった。それから力を発揮でこきようになった)」

静かな取調室に、重たい空気が流れていた。意味がよく分からない。そこでダンジョンに詳しい人間に相談することになった。