軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第316話「異国の少女の始まり」

#第316話「異国の少女の始まり」

高泉首相の要請でI国の秘密戦力と会い意気投合、いろいろと話した後にそのまま俺のマンションへ向かった。

そこまで自由な時間があるわけではないらしいが今日はそのまま使役モンスター側のマンションに泊まって、明日は半日ぐらい俺たちのダンジョン攻略を見学してもらう予定になっている。

マンションに到着して、まずは家族への紹介だ。

弟の樹と妹の葵にI国から来たジュリアとステラを紹介した。

樹も葵もさすがに驚いていた。

今回はこれまでの使役モンスターのように帰国子女の設定ではない。正真正銘の外国人。しかも美人二人だ。

ジュリアが翻訳アプリを使って丁寧に挨拶する。

「(初めまして。お兄さんにはいつもお世話になっています)」

二人は固まった。

翻訳アプリを使って外国人と会話するなんて初めてのことなのかもしれないな。まあ実は俺もそうだったのだが。

ちなみに気付けば、樹ももう高校一年。葵は中学三年だ。

俺がダンジョンに潜り始めた頃はまだ小学生だったのに、あれから早くも4年、あっという間に成長している。

その後はダンジョン関連の仕事の話があるということで使役モンスター部屋へ移動した。

……さすがに狭い。

俺、ひより、ルナ、透子さん。

ラム、リン、ロア、ルフ、クー。

そしてジュリアとステラ。

いくら広い3DKとはいえ、完全に定員オーバーな気がする。とは言え適当に座れば何とかなるけどね。

そこでジュリアがぽつり。

「レンさん以外、みなさん女性なのですね」

うっ、それは指摘しないで欲しかった。そこは俺も気にしているのだよね。

戦力は増えたが女性ばかり。増えないのは男比率だけだった。しかも今回I国から来た二人も女性だ。女性10人に対して男が俺1人という状況だ。

なのにハーレム感がゼロという謎構造になっている。

……まあ俺にはひよりがいればいいけどね。

その後はジュリアがステラの始まりについて語った。

最初ジュリアは何人かの友達たちとダンジョンに入った。

でも、気付けば一人になっていたらしい。いつの間にか誰もいなくなった。

置き去りだ。偶然か、故意のいじめなのかは分からない。でも出口さえも分からない。他に人は見かけない。

そうして、究極の恐怖の中でしばらくして眠ったらしい。

そして目を覚ました時、スライムと遭遇した。

必死で倒した。それが初のモンスター討伐。すると、そこで金色の宝箱が出たらしい。

中から現れたのがステラ。

宝箱から人が出てきたことに驚き、再び気絶してしまったとのこと。

そして目が覚めた時にはダンジョンの外。ステラが懸命に運んでくれていた。だが受付ではステラが宝箱から出てきたと言っても信じてもらえない。

その後はお偉いさんが出てきて協会で能力検査を受け、異常な数値を確認。

そこから英才教育が始まったらしい。

ジュリアは孤児だったので、そこからダンジョン都市へ移住。

生活は一変。

外界でも戦力を保持する唯一の存在として秘密戦力として扱われ続けた。

その後はレベル4まではレベリングで順調にレベルを上げることはできた。しかし、そのレベル4で停滞。

同じレベル4のモンスターを倒すのも一苦労。レベルの高いハンターにおぜん立てしてもらって何とか討伐という状況が続いているとのことだ。

そのためにレベル5がなかなか見えない。

——なるほど。

最初は悲しい話だった。だがその後はある意味、とんとん拍子。

そして、レベル5は簡単じゃないという状況に陥っているわけだ。

確かにレベル5は大変だ。俺もルナの指導がなければ無理だったかもしれない。威力のある攻撃、そして攻撃を受けにくい姿勢や防御、足運びなど教えてもらったからこそ順調に進んだのだ。

それが無かったら俺たちもまだレベル4でつまずいていたかもしれない。

単純に戦うだけでなく技を磨く積み重ねも必要だった。

レベル6に届いたのは運だけじゃない。地道な基礎鍛錬も必要だろう。

そう考えると——

ジュリアは運が良いのかもしれないが……俺の方が、もっと運が良かったのかもしれない。

その後は透子さんが割り込んできていろいろな話をした。ジュリアが最初に金箱を出した状況について根掘り葉掘り聞いている。

大変かなと思ったけど、その辺りはI国でも何度も聞かれているということで慣れたらしい。

I国でも人間を孤独に放置させる実験などを繰り返したけども同じような結果は出なかったらしい。

そもそもスライムを1匹倒しただけで宝箱が出ること自体がおかしい。しかも金箱ときた。普通に考えてあり得ない。

もしかしたら孤独になるというのも1つの要因かもしれないけど、他にも様々な要因が偶然に組み合わさってステラが出てきたのだろうと思う。そもそも一億分の一の確率という話だったよな。

俺も何度も中身があることが確定の金箱を何度も開けたけどレアケースは一回もない。

透子さんもその辺りステラに聞いていた。なんで一億分の一だと分かったのかと。

「(私にもよく分かりません。でも直感的に分かったのです。天の声みたいなものでしょうか。私は中身のある宝箱のうちの一億分の一の存在なのだと)」

透子さんはそれを聞いて目を輝かせたが、本当に再現はできないのか、他にも何か要因がないかあれこれ聞いている。

あくまでも直感だけど無理な気がする。一億分の一が出たのは神の意思のような気がするんだ。ジュリアを救うための何かが働いたのではないかな?

だから、実験で状況を再現して出るようなものではないと思う。

もちろん、あくまでも予想なんだけどね。

そして思い起こすと俺も最初は孤独だった。もしかしたら孤独がダンジョンの奇跡を呼び起こす一つのキーなのかもしれないね。