軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第172話「新しい拠点探し」

#第172話「新しい拠点探し」

翌日、俺たちは恩方ダンジョンの待合室に集まっていた。

ルナ、ひより、ラムの三人と一緒に、マンションを借りる件について打ち合わせをするためだ。

ルナは最初から賛成の姿勢だった。

「いいと思うよ。使役モンスターが5体になるから、使役モンスター用に少なくともマンションの1室ぐらいは必要だろう。レンの家族と含めて最低2部屋、借りる必要はあるだろうな。後は都合が良いところがあればいいのだが」

さすがルナは話が早い。すでにそういう準備が必要だと考えてくれていたようだ。

ただし、マンションの件で朝倉さんに相談する件になると表情が曇った。

「朝倉さんは信頼できる人だが、あまりにも頼りすぎるのは危うい。独自で動いた方がいいのではないかな」

確かにその通りかもしれない。

朝倉さんの味方寄りのひよりも「大丈夫とは思うけど……うーん」と歯切れが悪い。先日のエリナさんの話でも頼りすぎるのは良くないという話を聞いていただけに即断はできなさそうだった。

ラムはというと、特に興味なさそうに「レンさんが決めるなら、それでいいですよ。お任せします」と言っている。まあそりゃそうか。

ルナが少し考えたあとで言った。

「それなら、エリナさんに相談してみたらどうだ? 今のレンの周りで一番信用できる大人だと思うぞ」

――そうだな、俺もそう思っていたけどやはりエリナさんに相談するのが一番良さそうだな。

エリナさんはハンター協会の公務員側に近いとは言え「朝倉さんを信用しすぎるのはいけない、私も状況によっては離脱する」とも言っている。自分の正義で動いてくれる人だから信用できる。

さっそくスマホを取り出して通話を開始。マイクを使い、全員の顔が映るようにしてオンライン打ち合わせの形にした。

「なるほど、使役モンスターの住まいは必須よね。だったら、うちのビルに入ればいいわよ」

軽い口調でそう言うエリナさん。

「え、ビルに……入る?」

「そう。うちはオフィスとマンションの複合ビルなの。上層階はオフィスが入る形。そして中層階は住居スペースよ。中層階はクランメンバーにも貸しているけど使ったり使わなかったりする部屋がいくつかあるからそれを貸してあげるわ」

まさかの超好条件が出てきた。

場所も今のアパートから遠くないよな。これはもう理想的すぎる。とういかエリナさんはビルオーナーの超の付く金持ちなのか?

「家賃は3DKで1部屋20万円。保証金はなしでいいわ」

「……は?」

思わず聞き返してしまった。

条件が良すぎる。保証金なし? ありがたすぎる。

「うちは不動産屋でもないから信頼できる人に貸す場合なら保証金は不要にしているの。もちろん、修繕が必要な場合は実費請求するけどね」

「ならば、2部屋借りても月40万円ぐらいでいいのですか?」

「ええ、そんな感じね。あと管理費が月2万円ぐらいになるかしら」

2部屋借りても月45万円ぐらいか。確かに痛い出費だが、最近の収益を考えれば全く問題ない、十分払える範囲だ。そして信頼する人認定してくれるのが嬉しい。

ルナは「かなり好条件だな。ありがたいと思うよ。私も一部費用は出す」と即決で賛同してくれた。

ひよりも「ダンジョンの成果で出せるから問題ないと思うよ」と賛同してくれた。

3DKの1部屋は俺たち家族用になる。それならば樹や葵にも1部屋ずつ割り当てることができるので2人共に喜ぶだろう。

もう1つの部屋は使役モンスター用という形にする。5人で住むのはやや狭いけどまあ適当に割り振ってもらえばいいだろう。

「でも、費用は出すって、ルナはほとんどこの部屋に来ないんじゃ?」と聞くと、

「いや、私も使役モンスターにお世話になる立場だ。出資は当然だろう。少なくとも半分ぐらいは出すぞ」ときっぱり言う。

――なんて律儀なんだ。

ひよりも「みんなの活動収益をプールすれば余裕でしょ」と言ってくれる。

確かにそうだな。装備も全員分そろってきた、銅箱を換金すれば資金も潤沢になる。最近は1日50個以上の銅箱を開けている。それを開けずに売ればおよそ1日100万円のペースだ。ルナとひよりの3人で割るとしても1日30万稼げる形なら余裕がある。その半分でも全く問題はない。

朝倉さんからも毎月70万円もらっているがそれがなくても全く問題はない状況になってきている。

その場でエリナさんにお願いすることにした。一応は俺の弟と妹にも相談するということで正式な返事は明日にするが、おそらくは2人共に問題はないと言うだろう。

あのマンションになればオートロックだし樹と葵の安全度も今のアパートよりも飛躍的に上がる。そういった意味でもありがたい。良いこと尽くめだ。

「ありがとうございます、エリナさん。本当に助かります。今日帰ったら弟と妹に念のための確認をして、明日、正式に返事するので宜しくお願いします」

「いいのよ。あなたたちの成長を見るのも楽しみだからね。それに住むところが近くですぐに話もできるのは私としてもありがたいから丁度いいわ」

スマホ越しに微笑むエリナさんの顔を見て、胸の奥が少し熱くなった。確かにそうだな。上層階がエリナさんのオフィスならば何かあった時にはすぐに相談もできる。環境としては最高かもしれない。

――またひとつ、大きな転機を迎えた気がする。