作品タイトル不明
第12話「ダンジョン初挑戦とゲームの裏技開始」
#第12話「ダンジョン初挑戦とゲームの裏技開始」
今日は、ついに俺がダンジョンに初挑戦する日だ。緊張していないと言えば嘘になるが、それでも覚悟はできている。
ダンジョンは全部で三種類。「体力系」「スピード系」「技術系」に分かれていて、それぞれ出てくるモンスターの傾向も異なる。俺が選んだのは、体力系ダンジョン。新宿にある。通称、新宿ダンジョンと呼ばれているところだ。
敵の動きは遅いが削るのが大変。しかし、集中力を切らさなければ対応は一番簡単だろう。まずは安全重視だ。
体力系ダンジョンの浅層――ここでは主に三種類のモンスターが出現する。
・ストロングスライム(主に1階層で出現)
・ストロングゴブリン(主に2階層で出現)
・ストロングベア(主に3階層で出現)
この中でも、1階で最も多く出現するのがストロングスライムだ。今日の目標はこいつの討伐数を稼ぐこと。
というのも、ゲーム時代に知られていた“裏技”を試してみたいからだ。
それは――「自分と同じかそれ以上のレベルの同じモンスターを一年以内に連続で1万体討伐すると、金箱が確定で出る」という裏仕様。
すなわちLv1の俺ならばLv1以上の同じ敵を連続で1万体倒すことで金箱確定。今ならどの敵でも構わない。
俺はゲーム時代にその方法で金箱を何個か稼いだ。
ゲーム内では一万円課金すれば金箱が一つもらえたので金持ちはそんなことをやらなかった。
いや、それどころか普通でも、そんな非効率なことはやらなかった。同じ階層のモンスター討伐にこだわっていてはレベルアップが遅れてしまうからだ。
しかし、現実世界では金箱の価値は非常に高い。ならば、多少時間がかかってもやる価値がある。
受付で初心者用の武器と防具を借りた。
これは地上産――つまり宝箱から出た武具ではない。ハンター協会が武具がない初心者に無償で貸してくれる装備で、ダンジョンから出るときに返す必要がある。もちろんレベルの概念もない。ただの道具だ。
ダンジョンの入口をくぐると、空気が一変した。わずかに湿り気を帯びた、ひんやりとした空気が頬に当たる。視界はそれほど暗くない。天井のどこかからか、青白い光がぼんやりと照らしている。
講習で教えられた通りに自分のステータスを確認する。本当に出てきた。ダンジョン凄いな。ゲームだと当たり前だけど現実にこうやって出てくると感動ものだ。
<名前>
結城蓮
<Lv1>
スピード:10
体力:10
技術:10
経験値:0
しばらく歩くと、いた――ストロングスライム。ドロリとした巨体をゆっくり揺らしながら、俺の方へと迫ってくる。
「よし……!」
俺は構えた。戦闘開始だ。
武器でスライムを叩くがどうにも効いている感じはない。スライムならどこかコアのような弱点がありそうだがよく分からないからとにかく攻撃を当てる。
初心者用装備での攻撃はあまり効かないのかな?もちろん俺の動きもまだ慣れていない。そして逆にスライムの攻撃で体力を少しずつ削られていく感じもした。
何度も攻撃を当てているとスライムが少しずつ小さくなっているように見える。
そうして――スライムは動かなくなり倒れた。なんとか倒したようだ。苦戦した。ぶっちゃけ、10分はかかったな。体力もかなり消耗した。疲れた、少し休憩が必要だ。
そしてスライムの体から、小さな光る石がコロンと落ちた。魔石だ。
現在の市場価格で1個10円程度。はあ……これでは6時間がんばっても1日で30匹が限界、つまり300円。正直、やってられない。
だが今の目的は金じゃない。経験値だ。そして同じモンスターの1万匹連続討伐に近づくことだ。
自分のステータスを確認する。
<名前>
結城蓮
<Lv1>
スピード:10
体力:10
技術:10
経験値:1
経験値が1増えている。よし、モンスターを討伐すれば経験値が稼げるのも間違いない。
「……やるしかないな」
この地味で、孤独な積み重ねが、俺を最強への道へと導いてくれるはずだ。
そして地味な繰り返しなら無課金でゲームしていた時と同じで慣れている。
今日も、明日も、明後日も、ひたすらにストロングスライムを倒す。そう、これは俺の無課金ハンターの戦いの始まりだ。意地を見せてやる。