軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

16.

無事に焼きそばパンをゲットし、二人は人混みから抜け出した。

昼休みの食堂や廊下は、腹を空かせた生徒たちでごった返している。

「ここで別れるか。俺は教室で食うよ。食堂は混んでるしな」

奉太郎が淡々と告げ、踵を返そうとする。

聖華は弾かれたように彼のブレザーの袖を掴んだ。

「ま、待って待って!」

せっかく彼と合流できたのだ。

このまま別々に昼食を摂るなど、絶対に嫌だった。

一緒にご飯を食べたい。

聖華の五十三万IQの頭脳が、フル回転で言い訳を弾き出し始める。

えっとえとえとえと、と視線を彷徨わせ、ぴしゃーんと名案が閃いた。

「そうだっ!」

「急に大声を出すな。どうした」

「知り合いの子が文芸部なんだけど、そこの部室で食べさせてもらおう! あそこ、ほとんど活動してないし!」

「いや、俺は教室で」

「静かなところですよ! ちょー静かですよ!?」

食い気味に身を乗り出し、ばるんばるんと豊かな胸を揺らして猛アピールする。

見えない犬の耳がピンと立ち、尻尾がちぎれんばかりにパタパタと振られていた。

奉太郎は呆れたように小さく息を吐く。

「君が十分にうるさいけど。まあ、静かならいいか」

「しゃーっ! じゃあ今すぐ連絡するね!」

聖華はガッツポーズを決め、意気揚々とスマートフォンを取り出した。

手早くメッセージを打ち込む聖華を見て、奉太郎がふと口を開く。

「君、友達……いや」

「ん? どうしたの?」

何かを言いかけて途中でやめた奉太郎に、聖華は首を傾げた。

奉太郎は少し気まずそうに視線を逸らす。

その不自然な反応と、さっき彼が言いかけた言葉を頭の中で繋ぎ合わせ、聖華はハッと目を見開いた。

「もしかして……あたしに友達がいないと思ってた!?」

「…………言わないけど」

無言の肯定だった。

「うーん、辛辣っ!」

クラスの女子たちから総スカンを食らい、浮きまくっている聖華だ。

彼がそんな風に誤解するのも無理はない。

しかし、その嘘がつけない不器用な素直さも、聖華にとってはたまらない魅力だった。

(でも、そんな阿智くんもちょーすき!)

聖華はぬへへへへとだらしない笑みを浮かべる。

スマートフォンを胸に抱きしめ、喜びでクネクネと身悶えしてしまった。

「あ、連絡ついた! オッケーだって!」

画面に届いた返信を見て、聖華はウキウキとした足取りで奉太郎の隣を歩き出す。

大好きな彼との初めての二人きりのランチタイムに向けて、純情ギャルのテンションは最高潮に達していた。