軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

014 フェンの能力 1

食った。

私もリゼルもフェンも、それはもう、たらふく食った……。

特に、フェン。

あんた、その身体のどこにそんなに入るのよ?

体積的に、おかしいでしょうが!!

……まあ、そういうわけで、お腹が落ち着いたから、相談タイムだ。

「じゃあ、計画通りに、明日、出発するわよ。

お隣のシェルトさんに家と畑を譲って、ギルドに移動届けを出して、そのまま町を出る。

絡まれたり引き留められたりしないように、他の人達には黙って、大急ぎでね」

「うん、分かった!」

「了解だ!」

リゼルは頭の良い子だから、この町を離れる理由をちゃんと理解している。

フェンは、ここに来てから僅か数日だから、この町に拘る理由なんかカケラもないし、そもそもフェンには拒否権なんかない。

うちは貧乏だから、持っていくような物は何もない。

金目の物は全部売って食費にしたし、両親の形見の品は、物なんかじゃなく、 私とリゼル(・・・・・) だ。

父さんと母さんが生きた証は、私達ふたりの、この命だ。

……決して、使っていた品物なんかじゃない。

ボロくて小さい家も、家族の食事の足しにと作っていた、税も掛からないような小さな畑も、色々と助けてくれた、お隣のシェルトさんに寄贈する。大した価値のないものだけどね。

そして、ギルドの受付に私の移動届けを出して、すぐにこの町を出る。

支部長やら何やらに気付かれて、絡まれる前に……。

私の、実技試験での アレ(・・) は、ちょっとおかしかった。

平均的な魔術師を上回る、魔力量。

いや、それ自体は、別に問題じゃない。魔術師の半数は、 平均以上の魔力量(・・・・・・・・) なのだから……。

問題は、私が平均の半分くらいの魔力量しかないということを、多くのハンター達が知っている、ということだ。

いきなり魔力量が2倍以上になった、小娘。

その秘密を求めて、どんな連中が群がって来るか、分からない。

あの弾劾の時には、私の魔力量が少なかったことを知らなかったであろう領主様や、支部長達も、良からぬことを考える可能性がある。

魔術師ギルドや、研究者達も……。

……そう。

元パーティメンバーや、ヴァルト。実技試験の対戦相手を務めてくれたパーティ。

一躍有望株となった私を勧誘しようとするであろう、パーティ。

そして、自分の息子を潰した女に怨みがあるであろう、領主様。

それらの、この町で私の居心地が悪くなる原因となる連中の存在だけでなく、私にはそれ以上の危険があるのだ、あそこには……。

なので、ここから逃げ出す以外の選択肢はなかったのだ。

* *

「準備はいい? 忘れ物はない?」

「大丈夫!」

リゼルは、私より頭がいい。だから、あまり心配する必要はないのだけど……、やっぱり、姉としてこういう立場は守らなければならないだろう、うむ!

「フェンは……、そもそも、忘れるような荷物はないか。あっても、持てないし……」

「じゃあ、聞くなよ!」

私は、この2年半の間着慣れた、ハンター装備。

リゼルは、ハンター見習いになるために、少しずつ買い集めていた中古のハンター装備。

成長して、すぐに武器や防具が身体に合わなくなる見習いは、新品なんか買わない。貴族や金持ちの坊ちゃん以外は。

さよなら、私達が 5年間暮らした家(・・・・・・・・) ……。

2年半育ててくれた(・・・・・・・・・) 、お父さん、お母さん……。

「……よし、出発!」

「「おお!!」」

* *

町を出て、かなり歩いた。

もう、とっくに男爵領から出ているので、農民や商人のように身柄が領地に所属しているわけではないハンターである私は、あの町、あの領地とは無関係になった。

あとは、どこかの町でリゼルの見習い登録をして、私を指導役にしてふたりでパーティを組めばいい。

最初は 角ウサギ(ホーンラビット) やコボルト、ゴブリン程度しか狩れないだろうけど、そのうちふたりとも腕を上げて、オークくらいは狩れるようになるかも……。

メンバーを増やす、というのも、アリかも……。

あ! そういえば……。

「ねえ、バタバタしていて忘れていたんだけど……、実技試験の時の、アレ。

私の魔力量が異常に増えていた件なんだけど……。

リゼル、何か理由に心当たりはない? 父さんと母さんの加護、っていうの以外で……」

そうなのだ。

あの時、なぜ私の魔力が枯渇しなかったのか。

その謎が解ければ、私のハンターとしての能力が、大きく向上する可能性が……。

「そんなの、思い付く理由はひとつだけじゃん」

「……やっぱり?」

いや、私も、馬鹿じゃないんだ。それくらいのことには、勿論気付いていた。

……ただ、信じられなかっただけで……。

でも、リゼルもそう考えているなら、やはり確かめないわけにはいかないだろう。

「……フェン、あなた、魔力量は多い?」

「いや、何をもって『多い』というのか、定義が分からないと……。

そもそも、他の者達の魔力量がどれくらいなのか知らないし、自分の魔力量を 量(はか) ったことがないし……」

「それもそうか……。当たり前よね。生後数カ月の狼に何言ってるんだろ、私……」

「俺からも、ちょっと聞きたいことがあるんだけど……」

「何?」

使い魔からの疑問や質問には積極的に答えてやるのも、絆を深めるための 主(マスター) の義務なんだよね。

よし、何でも聞きなさい!

「あの、実技試験の時なんだけど……。

魔術師達はみんな、魔法攻撃は魔力をそのままぶつけ合ってたけどさ……、火とか水とかの属性魔法ってないの?」

「……え? 火? 水? 属性魔法?

は? 何、ソレ……」

「……」

「「…………」」

「「「………………」」」