軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第88話 新しい命

私の後を追いかけてくるハクたち。

いや、追いかけていないな。並んで歩いている。

『くれないの?』

『おいしそうなの』

涎をだらだら垂らしながらついてくる2匹に、申し訳なくなるけど、ここは心を鬼にする。

「ちょっと待って。一応、シロタエに聞くから」

『なにを?』

「これを食べて大丈夫かどうか」

『だいじょうぶじゃないの?』

『おいしそうだよ?』

「うん、でもね、私のいた場所では、確か犬は食べちゃ駄目だったのよ」

『ぼくたち、いぬじゃないぞ!』

『そうよ!いぬじゃない!』

2匹が怒るのもわかる。彼らは、聖獣フェンリルの血を引いているから、ただの犬とかと同列にされるのは許せないのだろう。しかし!

「万が一があったら怖いから!」

『だいじょうぶなのに』

『ねー』

それでも、無理やり食べようとしないところが、偉いわ。

厩舎のドアをハクが開いてくれる。親たちが自分でやっている姿を見て、彼も覚えてしまったらしい。

「ありがと、ハク……シロタエ、調子悪いの?」

厩舎の床に丸くなって寝ているシロタエに声をかける。

『あら、五月様、どうしました? ……ずいぶんとよい匂いをさせて』

顔を持ち上げてそういうシロタエ。人じゃないから、顔色とかじゃわからない。

「あ、うん、これ、この子たちにあげても大丈夫か聞こうと思ったんだけど、その前にシロタエが寝てるって聞いたから」

『ああ、ご心配おかけしたようですね』

ホワイトウルフなのに、クスッと笑われた気がした。

『フフフ、どうも赤子が出来たようなのです』

『あかご?』

『あかごってなに?』

「え、え、え~!?」

まさかのシロタエの妊娠発覚。

今日は身体が怠かったのだそうで、狩りをビャクヤに任せたのだとか。

「おめでとう。ハクたち、お兄ちゃんに、お姉ちゃんだ」

『おにいちゃん?』

『おねえちゃん?』

「そうよ~。生まれてくる子は、まだすごく弱いだろうから、ハクたちもビャクヤたちと一緒に守ってあげなきゃね」

そう言っても、彼らにはよくわからないようで、首を傾げている。これは親たちから聞くのが一番だな。

「それはそうと、シロタエ、これ、ホワイトウルフは食べても大丈夫?」

私は手にしていたハムののった皿を差し出す。シロタエの鼻先に出すと、クンクンと匂いを嗅いだ後、目をパッと見開き……ペロリと食べてしまった。

「あ」

『あーーーー!』

『やーーーー!』

『美味しいですわ! さすが、五月様! 素晴らしいものをありがとうございます!』

……塩分。

だ、大丈夫なのか?

不安になった私は、自分の住んでたところでは、犬にハムは駄目だったんだけど、と伝える。しかし、シロタエは気にする風でもなく、人の食べる物であれば、彼らは問題なく食べられると言う。その上。

『五月様が手を加えられたものですから、この上ない力となりましょう』

「え」

私がやったのは、ただハムを切っただけなんだけど。

『ご心配でしたら、一度、鑑定されてみては?』

キョトンとした顔で言うシロタエ。

すっかり、あっちの食品を『鑑定』しようとまでは思ってもいなかった私。慌ててログハウスに駆け戻る私の後を、再び、ハクたちが追いかけてくる。

『サツキ~! はむ~!』

『はむ~!』

「わ、わかった、わかった! ちょっと待って!」

早いところあげないと、私が食べられてしまいそうな気がしてきたのだった。