軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第806話 モモちゃん

チャーリー、エヴィス、モモちゃんの三兄弟は、しばらく宿舎に滞在することになった。

兄二人の怪我は治ってはいるものの、まだ10歳のモモちゃんもいる。彼らの村までは、辺境伯領まで行って、そこから乗合馬車に乗らなければならないそうだ。

手持ちのお金も何もかもが、ミエパリーノ商会のロクシーに捕まってから取り上げられてしまったチャーリー兄弟。

再訪すると言っていたミゲーレさんが戻ってきた時に、彼らの荷物なり、何かしらの補填がないか、確認しないといけないだろう。

「……最悪、カスティロスさんが来たら、任せるか」

辺境伯領あたりにいるようなので、近いうちに村にもやってくるに違いない。

ところで、モモちゃんはどうやって連れてこられたのか。

10歳の子に聞き取るのは難しいか、と思ったら、意外にもしっかりしてたのに驚く。初めてガズゥに出会ったのも同じくらいかと思い返してみれば、そうでもないかもしれない。

私たちは宿舎の中でも一番大きな家のリビングで、お茶をしながら話を聞いている。大きなテーブルを挟んで向かい側にチャーリー、エヴィス、モモちゃん、私と同じ並びにドンドンさんとピエランジェロ司祭。

「えーと、お母さんの手伝いで畑の仕事をしてた時に、グンナルに呼ばれたの」

「グンナル?」

「村長のところの孫です」

「モモより一つ上だったっけ?」

「うん」

要約すると、その村長の孫がモモちゃんに美味しいお菓子が手に入ったから村の子供たちを集めてると言われたらしい。

滅多にないことなのと、村長の誘いを断ったら何を言われるかわからないので、母親は行かせたらしい。

「……基本悪い人じゃないんだけど、自分の思い通りにならないと、癇癪起こして面倒な人なんです」

チャーリーは大きくため息をつく。

年寄りあるあるか。ちょっと想像が出来てしまう。

「それで、グンナルと一緒に村長の家に行ったのか」

「うん。サーシャとモックも来てたから、一緒に椅子に座ってお菓子を食べてたの。サクッとしてて甘くて美味しかったのよ。でも、途中ですごく眠くなって、気が付いたら、私一人だけ知らない家にいたの」

「……俺のところには村長からモモが病気だっていう手紙が来て、すぐにエヴィスと乗合馬車に乗って向かってるところで、あいつらに捕まったんだ」

「兄ちゃん、村長もグルってことか」

「……そこまで落ちてるとは思いたくないけど」

悲しそうな顔のチャーリーとエヴィス。

でも明らかに、そのお菓子が原因だと思う。村長、黒判定だろう。

しかし、モモちゃんがいなくなったご両親は大丈夫なんだろうか。

「でしたら、私が問い合わせてみましょうか」

ピエランジェロ司祭がニコニコしながら言いだした。

「え、いいんですか?」

「はい。辺境伯領の教会に知り合いがおります。そちらから、ちょっと調べてもらいましょう」

「ほ、本当ですか! ありがとうございますっ!」

「ありがとうございますっ」

チャーリー兄弟が勢いよく立ち上がって頭を下げる。

「あ、ありがとうございます?」

兄たちを真似て、モモちゃんも椅子からおりて頭を下げた。

疑問形なのは、ご愛敬だろう。