軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第750話 キャサリンからのお誘い

ライラちゃんがいれてくれたお茶をいただく。

紅茶とは違う、少し黒ずんだ色のお茶。甘い香りにお茶にも甘さを想像したんだけど、甘味はなくてスッキリした味でびっくり。

「サツキ様たちは、どうして王都に」

ドゴールさんが興味津々で聞いてきたので、聞かれて困ることもでもないので、エクスデーロ公爵領に向かうところだと素直に教える。

「なんだって、公爵領に」

「前公爵様に、誘われたから?」

「えぇ!?」

「なんだって、公爵家と」

「いや、んーと」

これ以上公爵家との繋がりを説明するには、キャサリンとの出会いも話さないとダメかもしれない。でもそれは話してはいけないような気がしたので、困った顔で笑みを浮かべる。

「ん、んん。そういえば、村のほうはどうですか」

何か察したのか、ドゴールさんたちはそれ以上聞かないでくれた。

私たちがお互いの近況を話していると、熊獣人のマックスさんが部屋の入口から顔をのぞかせた。

「サツキ様あてに、客なんだが」

「え?」

――ここに着いてそれほどでもないのに、いったい誰?

「エクスデーロ公爵家って言ってるんだが」

頭に浮かんだのは、王都に入る前に精霊たちがキャサリンの護衛の女の人に声をかけてくれると言っていたこと。

「あ、女の人かな」

「いや、男だけど」

「え」

それでもエクスデーロ公爵家の名前を出されたら、向かわないわけにはいかない。

私はマックスさんの後をついていくと、開いたドアのところにいたのは、先ほどお茶をいれてくれたライラちゃん。

「モチヂュキ様ですか?」

「え、あ、はい」

「お客様は1階でお待ちなのですが、こちらにご案内しても?」

「マックスさん、大丈夫かな」

「ドゴールに聞いてくる」

サッと離れたかと思ったら、すぐにドゴールさんも連れて戻ってきた。

「ライラちゃん、公爵家のって本当?」

「はい。手にされていた剣に公爵家の紋章がありましたし、奥さんも確認したんで」

「オクサーナが確認してるなら大丈夫か……上がってもらってくれ」

しばらくすると、ライラちゃんといっしょに、サントスさんくらいの年齢の男の人がやってきた。見覚えのある騎士のような格好。前に前公爵と一緒に村に来た騎士たちと同じ格好だと思う。

「失礼、モチヂュキ様でいらっしゃいますか」

「は、はい」

「(まさか、本当にいるとは)……ハンナ・フォグトールをご存知か」

一瞬、驚いたように目を見開いたけれど、男性はすぐに表情を戻す。

「えーと、キャサリンちゃん……じゃなくて、キャサリン様の護衛をされてる方ですか?」

「はい。そのフォグトールから、モチヂュキ様がどちらにいらっしゃるか確認を頼まれまして」

「なるほど?」

「もし、よろしければ、夕方に公爵家にいらしていただけないか、とのことです」

「えぇぇ!?」

「こちら、フォグトールからです」

そう言って差し出されたのは封筒。封はしていなかったので中を開けると、短い文章なのだけれど、急いで書いたのか、前公爵ほどではないにしても達筆で……読めない。

かろうじて、最後のサインに見覚えがあった。キャサリンの名前だ。

「そちらの封筒を門衛にお見せください」

「あ、はい」

「では、失礼いたします」

サッと胸に手をあてて挨拶をして、その男の人は帰っていった。

「……公爵家、行かないとダメかなぁ」

手にした封筒に視線を落とし、呟いてしまう。

――ちょっとお茶でも飲みながら挨拶だけ、と思ったんだけどなぁ。

わざわざ公爵家に行くとは考えてもいなかった。参った。