軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第746話 王都に入る街道にて

エイデンが戻ってきて食事を終えると、私たちは林から抜けて街道へと戻った。御者台にはマークとエイデン、馬車の脇をザックスが歩いている。

すでに日ものぼり、上空は青空が広がっている。

その頃には、馬車や旅人たちが街道を行き交い始めていて、馬車で横入りするのが申し訳ない感じに混んでいた。

一応、後ろになって譲ってくれた荷馬車のおじいさんに、タブレットの『収納』にしまっておいたミルク飴をザックスにお願いして渡してもらった。

それくらい長い列になっていたのだ。

馬車の中では、ノワールたちは相変わらず子供の姿のまま、フェリシアちゃんと一緒にトランプで遊んでいてくれるので助かる。

「このまま王都を抜けて北上する感じかな」

私はタブレットの『地図』で目的地であるエクスデーロ公爵領を確認する。

正確には北西で、その先には海があるらしい。

――海産物が食べられるかな。

こちら(異世界) で生魚が食べられるかはわからないけれど、海産物が手に入るのだったら、食べてみたいとは思う。

しかし、その前に王都だ。

せっかくここまで来たのだから、王都観光もしてみたい。ケイドンの街くらいしか知らない私なので、他の街にも興味はわく。

馬車の窓から外を見ると、王都を囲う城壁のような高い石壁が遠くまで続いている。それだけ大きな街ということなんだろう。

「サツキ様、キャサリン様にはご連絡せずともよろしいのですか?」

隣に座って編み物をしていたマグノリアさんが聞いてきた。

彼女の手にあるのは、ホワイトウルフの毛で作った毛糸だ。色は薄いピンク。フェリシアちゃん用のセーターを編んでいるようだ。

私が編むわけではないので、そんなに高機能な能力はつかないものの、かなり丈夫なセーターにはなると思う。

「ああ、そうだよね。せっかく王都に寄ったのに、連絡いれないと、怒られちゃうかな」

「フフフ、寂しく思われると思いますよ」

マグノリアさんに笑われてしまったが、どうやってキャサリンちゃんに連絡をしたらいいのやら。

『だったら、ぼくらがいってこようか?』

そう声をかけてきたのは、風の精霊。

「え、いいの?」

『うん。キャサリンのそばには、ぼくらのことばのわかるのがいただろう?』

「あ、護衛の女の人ね!」

『そうそう。あいつだったら、つたえられるはずだよ』

「でも、どこにいるかなんて、わかるの?」

『フフン、かぜのせいれいをなめるなよぉ』

『ひとこえかければ、すぐにわかるさ』

そう言うと、閉まっている窓からするりと抜け出して言ってしまった。

「……精霊様ですか?」

マグノリアさんが、びっくりしたような顔で聞いてくる。

彼女は精霊が見えないので、私が独り言を言っているように見えるはずなのに、そう聞いてくる。

「はい。キャサリンの護衛さんに声をかけてきてくれると」

「まぁ、凄い……」

「その前に、王都の中にいつ入れるかっていう問題がありますけどねぇ」

窓の外の景色は、先ほどみたのと変わらない。まったく動いていないのだ。

――ETCみたいなのがあればいいのに。

のんきにも、そんなことを思ってしまった私であった。

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ちなみに、荷馬車のおじさんは、エイデンの威圧に負けました(笑)