軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

<ケイドンのギルド職員>(2)

数年このギルドで受付窓口をやっているシンシアではあったが、アースドラゴンが持ち込まれたのを見るのは初めてだった。

「ちょ、ちょっと、どういうこと」

若手の女の子は、ガクブル震えて解体所の隅に立っている。

一方で解体所の男たちは目をキラキラさせながら、アースドラゴンに触れて状態を確認しては歓声をあげている。

シンシアの目で見ても、かなり状態は良さそう。目立った傷も見当たらない。どうやって討伐したのか、と考えていると。

「おい」

黒髪のイケメンが不機嫌そうにシンシアに声をかけてきた。

「依頼はこれでいいんだよな」

ひらひらと依頼票を振りながら聞いてきた。

どうも若手の女の子も、解体所の男たちも、彼の依頼票を確認する余裕がないようだ。

シンシアは慌ててそれを受け取って、内容をチェックする。確かに「アースドラゴン1頭」と書かれている。依頼主は、王都の錬金術ギルドからだ。

「はい、確かに。これは、あなたが?」

「俺と、こいつら二人だな」

「えっ」

イケメンは冒険者登録して、まだ2年にも満たない。通常であれば、せいぜいEランク程度。しかし醸し出す雰囲気からも、相当の手練れだと、長年の受付担当の勘が言っている。

彼単独でも、アースドラゴンを討伐できるか、といったら難しいはず。

その上、シンシアの記憶では、最後にザックスとマークの仕事を受けつけた時(街のゴミ捨て場の清掃依頼)はEランクに上がったばかりだった。

――そんな彼らが、アースドラゴンを持ってくるなんて。

そもそも、市販されているマジックバッグに入れられる大きさではないのだ。マジックバッグ自体、高額で普通の冒険者には手に入れにくい物なのだ。

「おっさんたち、他のもあるんだがな」

「ああ、エイデン様、すまんすまん」

シンシアが確認する間もなく、イケメンは解体所の主任の男に声をかける。

すると主任の男は、アースドラゴンを一撫でしてから、嬉しそうにカウンターのほうにやってきた。

「いやぁ、うちに卸してくれるのは久しぶりなんで、楽しみですな……どうぞ、あちらに」

両手を揉みながら、空いているスペースのほうへと彼らを案内していくのを、シンシアはあっけにとられている。

「(ねぇねぇ)」

いつのまにかシンシアの背後にやってきている受付担当の女性たち。

「(なっ、あんたたち、仕事は)」

「(今は誰もいないわよ)」

「(そうよ。それよりも、あの人)」

「(確か、前にポールが担当した人じゃない?)」

ポールとは、受付窓口のチーフ担当。今は王都の本部で研修を受けている。

「(そうそう! あの時は確か、シンシアは研修でいなかったのよね)」

「(Aランクの昇格試験を断った人よね!)」

「(もったいなーい!)」

その言葉にギョッとする。

――たった1年ちょっとで、Aランクですって!?

再び、イケメンたちのほうへと目を向けると……空きスペースはなくなり、巨大な魔物の山がいくつか出来あがっている。

「ほー! こりゃぁ、火山亀じゃないですか。1、2、3……6頭も! それに、砂漠狼? レッドリザードまで……エイデン様は、いったいどこに行ったんです?」

「……どこでもいいだろう。あと、こいつらのは、これだ」

魔物の山のそばに、二回りほど小さい魔物の山が一つ出来上がっている。それでも、かなりの量だ。

「へぇ、ザックスとマークがねぇ。……おいおいおい、こいつは一角ウサギの亜種じゃねぇか」

「亜種だって?」

「お前らのランクじゃ、狩れねぇだろ。エイデン様、甘やかしちゃいけねぇ」

解体所の男たちに睨まれたザックスたちだったけれど、二人は憮然とした顔でギルドカードを差し出して見せる。

「失礼だな」

「俺たちはCランクだ。こいつらはDランク相当だろ。問題ないし」

「へ!?」

「マジか!?」

驚きの声をあげたのは、シンシアだけではない。その場にいた者たち全員が、言葉もなく固まってしまったのであった。