軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第630話 ネドリの従弟がやってきた

ネドリから話を聞いて一週間もしないうちに、ついに村にネドリの従弟が、他の冒険者の仲間を連れてやってきた。

どうも村の近くで見かけられていた冒険者たち、というのが従弟の仲間だったようだ。

正面の門から堂々と入ってくればいいものを、村の様子を伺うためなのか、村の北側で怪しげな動きをしていたのを、ホワイトウルフたちに見つかって囲まれてしまったようだ。

そこで仲間の一人が風魔法でホワイトウルフを攻撃しようとして、なぜか魔法が途中で消えてしまった。慌てて何度も魔法を発動するも、全て、不発。それだけで、仲間全員が恐慌をきたしてしまったらしい。

……邪魔をした風の精霊たちが、状況を報告しながらも、自慢気に話している(遠い目)。

結局、ちょうど北側の畑に出ていた村人が気付いて、同じように南側の畑の手伝いをしていたネドリに声をかけたらしい。

立ち枯れの拠点から村にかけての道の脇に植えてある杏(結界・浄化機能付き)の実がなっていたので、ハノエさんのところに差し入れに来ていた私も、一緒に様子を見に行くことにしたのだ。

村の北側、堀の手前あたりでホワイトウルフの集団がグルグルと動き回っている。その集団の中央に、4人の男たちが武器を構え、振り回しているけれど、かすりもしない模様。

「ネドリ兄さん!」

私たちに気付いたのか、泣きそうな顔になっている若い男が、甲高い声でネドリの名を呼んだ。

見た目はネドリと同じような白っぽい毛色だけど、顔はあまり似ていない。ネドリは目鼻のはっきりした濃いめのイケメンに対して、だいぶ薄いし、目力もあんまりない感じ。そして何より、ネドリよりも一回り小さい。彼がネドリの従弟なのだろう。

他のメンバーは犬っぽい獣人族が二人に、魔法使いのようなローブを着た人族が一人。従弟を含め、全員、年齢的には20代前半くらいだろうか。

その4人に対して、ホワイトウルフは20匹近くで囲んでいた。しかも、うちのホワイトウルフは、食べている餌がいいのか、普通のサイズよりも一回りくらい大きいらしく、見慣れなければなかなかの迫力だと思う。

魔法は効かないわ、攻撃がことごとく躱されるわで、そりゃぁ、真っ青な顔で泣きそうにもなるか。

「ダート……」

それが従弟の名前らしい。彼の情けない顔に、ネドリも呆れた顔になっている。

囲っていたホワイトウルフたちは私に気付いたようで、一斉に私のほうへと集まってきて、みんな大人しくお座り状態。安易に冒険者たちを攻撃しなかった彼らに、一匹ずつに「えらい、えらい!」と頭を撫でてやると、それぞれの大きな尻尾がブンブン振られて……埃が舞った。

その埃は風の精霊たちが面白がって、従弟たちのほうに流されていて、ちょっと可哀想な状況になっている。

咳き込んでいる彼らの様子に私は笑いそうになってしまうけど、ネドリの顔は厳しい。

「……迎えにきたんだな」

「げほっ、は、はいっ、そうです」

ネドリの重くて低い声に、ピシッと背筋を伸ばして返事をする従弟。同行していた冒険者たちも身体を強張らせている。