軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第628話 夏野菜と、ネドリの家族の話

途中から畑の野菜の収穫を手伝ってもらって、一緒に村に行くことにした。籠に山盛りの夏野菜に、ガズゥは嬉しそうだ。

ガズゥの抱えている籠を見て、何か色味が足りない気がする。トマトの赤に、ピーマン、キュウリ、枝豆の緑、ナスの紺。

――ああ、黄色がないのか。

黄色といえば、トウモロコシ。某有名アニメで女の子が抱えて走っているシーンが頭に浮かぶ。今年はやらなかったけれど、来年は育ててもいいかもしれない。

持ちきれない分は、村で配るようにと『収納』にしまいこんだ。

道すがら、ネドリの家族の話を聞いてみた。

白狼族の里の長でネドリの祖父母も、両親も健在だそうだ。兄姉が一人ずつで、兄夫婦には息子が二人、姉夫婦には子供がいないとか。

兄夫婦は再婚で、奥さんはネドリの幼馴染なのだとか。長男は前妻(出産時に亡くなった)、次男が今の奥さんの子供で年齢はガズゥと近いらしい。

ネドリの結婚の報告も手紙だけで済ませていて、ガズゥは当然会ったことはない。

本来なら、ネドリの父、そして長男へと里の長は引き継がれていくはずが、先祖返りのガズゥの存在が伝わってしまって、ややこしいことになっているらしい。

そして、今回迎えに来るというのは、ネドリの母方の従弟だそうだ。

村にいた頃は、よく懐いていたそうで可愛かったらしいが、前に会った時にはネドリと負けず劣らずの体格の、強面に育ってしまったらしい。

「従弟にはハノエとの結婚には、酷く反対されまして」

ネドリの里の者は、里の者同士で結婚するのがほとんどらしく、里から出て行った者も結局戻ってきて、誰かしらと結婚していたらしい。

それが黒狼族に婿入りしたものだから、祖父からは『戻って来るときは一人で戻ってこい』との手紙の返事がきたらしい。それが今回は掌返しで、ガズゥを送れというのだから、勝手なものである。

ちなみに、後日、ネドリ大好きの従弟は激怒してわざわざ村までやってきたらしい。しかし、なんとハノエさんに撃退されたらしく、二度と村には来なくなったとか。

そういえば、前に女性では村で一番の狩人だったと聞いたことがあった。従弟が弱いのか、ハノエさんが強いのか……たぶん、後者なんだろう。

――ハノエさん、強すぎる。

思わず笑ってしまった。

村の中に入ると、あちこちで布おむつが干されて、風にはためいているし、赤ん坊の泣き声も聞こえてくる。今、村には6人の獣人の赤ん坊がいるから、なかなか賑やかだ。

一応、ママ軍団には紙おむつをプレゼントはしているものの、勿体ないと言って、夜にしか使っていないらしい。夜だけでも楽になるなら、それでもいいかな、とは思う。

魔道具の洗濯機は大活躍中のようで、大量の洗濯物で溢れていて、村のおばさんたちの井戸端会議の場になっている。

「あら、サツキ様」

「お疲れ様です~。よかったら、皆さんで食べてくださいな」

「まぁ、まぁ、まぁ。ごちそうさまです」

ガズゥとネドリが抱えている籠の野菜に、おばさんたちの手が伸びる。

人気は赤いトマトのようで、徐々に減っていくたびにガズゥの顔が引きつっていくのをみると、思わず笑ってしまった。

「大丈夫よ、まだあるから」

私は『収納』から夏野菜山盛りの新しい籠をとりだして、こっそりガズゥに耳打ちすると、顔が真っ赤になってしまった。