軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第593話 獣人の村にて(1) 眼福エルフ

翌日、朝も早めの時間に村に向かった。

大地くんから、レィティアさんたちの入村の許可を頼まれたからだ。

最初、別に入れなくてもいいんですけどね、と大地くんは言っていたんだけれど、稲荷さんが村の他の仕事を手伝わせればいい、となかなかにいい笑顔で宣ったのだ。

王族のはしくれのレィティアさんができる仕事って? と思ったら、エルフの村では片手間に薬師としての仕事をしていたそうで、オババの手伝いくらいなら出来そうだというのだ。

一方のディアナさんはというと手仕事は苦手で、もっぱら狩りに出ることが多かったそうで、今回の魔石に魔力を込めるというお仕置きが一番キツかったのはディアナさんだったかもしれない。

「おはようございます~」

エルフ一行が泊っている宿舎に向かうと、すでに数人の護衛のエルフたちが剣の訓練をやっていた。

「おはようございます。サツキ様」

私に気付いて返事をしてくれたのは、護衛の中でも一番年長に見える男性。

正直、みんな似たような美形(指輪のファンタジー映画に出てくるような戦闘民族っぽい感じ)過ぎて、違いがわからないんだけど、この人だけわかるっていう。

「あ、レィティアさんたちは」

「奥様たちは今は中でお食事中かと」

「あら、ちょっと早かったですね。大地くんが昨日来たんで、村に入れるようにしようかと思ったんですが」

「なるほど。サツキ様は、しばらく村にいらっしゃいますか?」

「ええ。大地くんのところに顔を出すつもりなんで」

「では、奥様にはお食事が済みしだい、お声掛けいたします」

「よろしくお願いします」

二コリと笑みを浮かべた護衛のエルフのいい笑顔に、少しだけドキッとしてしまった。

――いやぁ、眼福、眼福。

朝からいいものを見た、と気分よく村の中へと入ると、さっそくギャジー翁の家へと向かう。稲荷さんが大地くんの居場所をどううまいことやったのか気になったのだ。

家のドアをノックすると、『はーい』という返事とともにドアを開けてくれたのは、ゆったりした薄緑色のチュニックのような服のヴィッツさん。

護衛のエルフたちとはまた違った美形(もう少し中性っぽい柔らかい感じ)で、こちらも眼福。

「おはようございます。大地くん、いますか?」

「ああ、サツキ様、おはようございます。大地?……ああ、アースですね。おります。アース! サツキ様がいらしたぞっ」

「はーい……おはようございます」

奥のほうから現われたのは、紺と白のボーダー柄のロングTシャツに、細身のジーンズを穿いた大地くん。エルフなヴィッツさんと並ぶと、映画にでも入り込んだみたいな感じだ。

そういう自分も、村の中では浮いた格好(今日は大きめなポケットのついてるカーキのカーゴパンツに、白Tシャツにグレーのパーカー)をしているんだけれど。

「おはよう。お母さんたちを村に入れるようにしようと思って来たんだけど、ちょっと早すぎたみたいで」

「ああ、すみません」

「で、待ち時間の間に、稲荷さんが何をしてったか、見てみたいなぁと」

私の言葉に、大地くんも苦笑い。ギャジー翁に確認してくる、と言って奥に戻っていく。

「あー、サツキ様?」

「うん?」

「驚かないでくださいね?」

ヴィッツさんの言葉に、稲荷さんがやらかしていると確信する。

――何やってるんだい。稲荷さん。

私は心の中でそう呟きながら、ヴィッツさんと世間話をしながら大地くんが戻ってくるのを待った。