作品タイトル不明
第572話 炭酸水の効能と、子供たち
マークが何やらぼそぼそと言っている。
「(なんだ、これ。ただの水じゃない? でも、これでいいんだよな?)」
残念ながら私の耳では聞き取れない。
しばらくして下りてきたマークが持ってきたボトルには、ぷつぷつと炭酸の空気が張り付いていた。
「サツキ様、これ、なんですか」
「これね。炭酸水。マークたち、この前の出産祝いの時、お酒にいれてなかった?」
「ああ、あのプチプチしたアレですか!」
驚いたマークがボトルをしげしげと見ている。
精霊たちがじーさんが頑張った、と言っていたけど、念のため飲料なのか、ちゃんとタブレットで『鑑定』してみる。
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▷水の 精霊(じーさん) 肝いり炭酸水
水の精霊たちが頑張って作った炭酸水
効能 :飲む場合、便秘解消・疲労回復
洗顔に利用すると美肌効果がある
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「え、美肌効果!?」
単純に飲み方の種類が増えるってだけでも嬉しかったけれど、まさかの美肌効果とは。
しかし、マークの手にあるボトルは500mlくらいしかない。洗顔に使ったら一発でなくなる。
私は『収納』の中を探して、以前、うちの山の湧き水で使っていた大きめのポリタンク(蛇口付き)を取り出した。それも2個。
「マーク、これに炭酸水入れてきてくれる?」
「え、これって、どうやって」
キャップをくるりと開けてみせると、おおー、と声をあげる。
2個とも渡すと、軽やかに上のほうに登っていった。
あれがいっぱいになるのに、どれくらいかかるかわからないので、その間に私は拠点までの道を作ることにした。
うちの山の湧き水までの階段を作った時のように、タブレットで『整地』『地固め』『盛土』『切土』とトントンと作っていく。邪魔な木はいつものように『伐採』しまくっている。
下までおりきったところ、ちょうど拠点周辺の草は刈り終わったようで、ベシ―たちが心配そうな顔でこちらを見ていた。
「何があったんですか?」
「ああ、ごめんね。上のほうに湧き水があって、今、マークに頼んでるの」
「湧き水?」
「気になるなら見てきていいわよ」
「はいっ!」
子供たちがいっせいに駆け上がっていく。
――若いなぁ。
彼女たちの背中を見送った私は、精霊たちが飛び交っている拠点の中に入る。
薪が少し足りなさそうなので、せっかくなので補充する。『枝払い』をした大きな木を『収納』から1本取り出して、地面に転がす。
「さて、風の精霊さん、お願いできる?」
『やったー!』
『任せて~!』
ストトーンと適度な長さに切られて、薪が出来上がっていく。さりげなく乾燥までしてくれるなんて、さすが精霊である。
続けて、1本、2本とやっているうちに、子供たちが帰ってきた。マークとケインがポリタンクを持って現れた。
炭酸水がいっぱい入ったポリタンク、けっこう重かっただろう。二人とも額に汗を滲ませながら運んできてくれた。
「あ、ありがとうね! 重かったでしょ」
私は慌てて『収納』からプラスチック製のコップと、冷えた麦茶のペットボトルを取り出して、皆と一緒にぐびぐびっと飲んだ。