軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第558話 お花見とおにぎり

「カンパーイ!」

真っ青な空の下、桜並木の桜が満開だ。

ピンク色の桜吹雪が舞う中、村人たちがお酒でいっぱいになったコップを掲げて乾杯の声をあげる。

大地くんが来た翌日には、うちの山の桜が一気に咲いた。

絶対、精霊たちが忖度したに違いない。

さすがにすぐに花見というわけにはいかず、その翌日、大地くんが来て3日目に村人総出で、昼間から花見になったわけだ。

「いやはや、アース殿、こいつは美味いな!」

「あ、はい」

ドワーフのゲインズさんが、ガハハと笑いながら飲んでいるのは、ウォッカだ。それも相当上等なモノらしい。すでに何杯か飲んでいるのか、珍しく顔が真っ赤になっている。

大地くんが稲荷さんに持たされた酒の中に入っていたヤツだろう。

さすがに大地くんは、自分用にと買ってきていたコーラだ。

「ほれ、これ、食え」

「うめーぞ。スピーディーの串焼きだぁ」

「サツキ様からいただいたタレってのが、また旨くてよぉ」

ドワーフたちだけでなく、獣人たちも大地くんにと、どんどん焼きスピーディーを運んでくる。タレは市販のタレなので、外れはないはずだ。

「アース、食べてる?」

「これもおいしいよ」

「ん」

今度はガズゥたちが、オーク肉の焼肉をモリモリで盛ったお皿を持ってきた。

「ありがとうな」

――うわー。凄く嬉しそう。

どうも大地くんは、獣人の、それも子供が好きらしい。ガズゥたちを見る目が(細いけど)キラキラしている。

盛り上がっているのは、大地くんの周りだけではない。

「ほら、ケイト」

「ありがとう」

「リリス、焼きボドウリ(かぼちゃ)、どうだ。好きだよな」

「ちょっと、盛りすぎよ」

ケイトとリリス、二人の妊婦のところに、旦那さんたちが貢ぎまくっている。

だいぶ大きなお腹になっている二人は、すでにいつ生まれてもいいくらいだ。

同じようにママ軍団たちも、お腹が目立ってきている。この春は、本当にベビーラッシュだ。その中には『魔王の卵』も含まれるのか、わからないけれど。大地くん曰く、いつ卵から孵るかまではわからないらしい。

「サツキ様、これ、食べてもいい?」

「いいわよ、どんどん食べて!」

「わーい!」

孤児院の子供たちがおにぎりを手に取ると、大きな口で頬張っている。

私はおにぎりを山ほど作ってきた。中身は簡単な梅干し(私お手製)と、おかか、肉そぼろ。肉そぼろは作り置きしていたのを使っている。てっぺんに中身がわかるように、少しだけ載せているせいか、人気なのは、肉そぼろのようだ。

冒険者たちにアルファ米を持たせたり、獣人の村人たちに何度か差し入れもしたので、お米には慣れてきている。

そろそろ、村で米作りをお願いしてもいいかなぁ、なんて思っている。

本当はママ軍団あたりにお願いするつもりだったけれど、赤ちゃんが生まれたら、それどころではないのは目に見えている。

「サツキ様、これはなんですか?」

お米初体験のザックスくんが、しげしげと見ている一方、フェリシアちゃんは、孤児院の子たちを真似て勢いよくがぶりと食べている。

「これは、おにぎりよ。お米っていう穀物でできてるの」

「オコメ、ですか」

「まぁ、食べてみて」

ニコニコしながら勧めると、ザックスくんもおにぎりにかぶりつく。

「んっ!?」

目を大きく見開くザックスくん。

――よし。これは、気に入ったな。

内心、ニヤリとする私。食べきったザックスくんは、おずおずともう一つのおにぎりに手を伸ばしている。なかなか、可愛い。

さて、私も食べようかと、おにぎりの山があったところに目を向けると、かなりの数を作ってきたはずなのに、かなり減ってきていた。

――はっ!? お前かっ!

私の隣で、ばくばくとおにぎりを食べているエイデンに気が付いた。

「食べ過ぎだよ」

「ぐぅっ!?」

思わず肘鉄を食らわせた私なのであった。