軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第556話 ギャジー翁と魔道具

私たちはモリーナの家から、ギャジー翁の滞在しているログハウスへと移動した。新たに『タテルクン』で建てた『ログハウス(大) 2階建て 風呂・トイレ付き』だ。私のログハウスよりも、各部屋が大きくなっている。

広いリビングの半分にドワーフ製の立派なテーブルがドンッと置かれている。残り半分は、すでに何やら魔道具の作業スペースになっているようだ。

「こちらはエルフの里のお茶です」

ヴィッツさんがティーカップに赤黒いお茶を注いでいる。色合い的には手を伸ばしたくはない感じではあるけど、大地くんが嬉しそうにティーカップを手にしているのを見て、私もちょっと口にしてみる。

「……甘い」

色合いに反して、さらっとした口当たりのベリー系の甘味がフルーツティーっぽくて少し驚く。

「うむ、これは……イエッカか?」

隣に座るエイデンが少し驚いたようにギャジー翁に目を向ける。

「さすがエイデン様。おわかりで」

「久しぶりに飲んだ」

「イエッカって何です?」

テーブルを挟んで向かい側に座りながら、ニコニコと私たちを見ているギャジー翁に問いかける。

「イエッカはエルフの里でのみ生えるつる性の植物でしてね」

その実もかなり甘いけれど、この葉もお茶にして飲むと、このように甘い味になるのだそうだ。ただ、他所の土地ではなかなか根付かないということで、かなり貴重な茶葉なのだそう。

内心、うちだったら生えるんでは、と思ったけれど、とりあえず口はつぐんでおいた。

「アース、久しぶりですね」

「はい、ご無事に到着されてよかったです」

「フフフ、カスティロスたちのおかげで、無事に来れましたよ」

ギャジー翁は、移動の間にあちこちの村や町(主に獣王国)に寄ってきたことや、途中、魔物の襲撃があった話をしてくれた。私は一番近いケイドンの街しか知らないので、興味深かった。

「そうだ。ヴィッツ、モリーナの方はどうだった?」

「……師匠の課題の半分も出来ておりませんでした」

「はぁ……基礎が出来ていないというのに、どうして、『瘴気変換器』なんて物が作れるのやら……」

呆れたような声で呟くギャジー翁。

「『瘴気変換器』ですか?」

大地くんは細い目を大きく見開いた。

「ああ、そうなんだよ。実物は預かっているんだが……ヴィッツ持ってきてくれるかい?」

「はい」

ヴィッツさんが持ってきた道具に大地くんはくぎ付け。手に持って色々調べているようだ。

「ああ、それとサツキ様」

「はい?」

どうも魔道具の話で盛り上がりそうな予感。私がここにいてもいいのだろうか、と思っている所にギャジー翁が声をかけてきた。

「できれば、サツキ様のお持ちの道具で、私どもが知らないものがあれば教えて頂けると嬉しいのですが」

大地くんからその手の情報はいっていないのか聞いてみると、彼がギャジー翁のところに世話になりだしたのがここ数年ということと、そもそも大地くんは中学校からあちらに通い始めたとかで、あまりあちらの生活に詳しくないのだそうだ。

ギャジー翁が最初にあちらの道具を元にして作ったのが、洗濯機の魔道具なのだそうだ。

何があるか、と考えて、すぐに浮かんだのは。

――あ、冷蔵庫。

これから季節が夏になったら、冷たい物が欲しくなる。一応、小さな冷蔵庫はあるにはあるけれど、大きな冷蔵庫が魔道具としてあったら大分便利だ。

魔道具だったらいいのに、と思う物は他にもある。

ドライヤーとか泡立て器とか。あと、スマホみたいな通信機器なんかもあったら便利そう。

私は何からお願いしてみようか、と、少しばかり悩むのであった。