軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第555話 大地くん、村に到着

スーパーカブで山道をゆっくり走る。その後ろを大地くんがマウンテンバイクでついてきている。

私たちは村に滞在しているギャジー翁の元へと向かっている。

親である稲荷さんはあちらの仕事があるということで、そのまま軽トラで戻ってしまった。

エイデン? エイデンは……私の前を走っている。獣人たちも似たようなものだから、見慣れたものではある。

立ち枯れの拠点を抜けて、村のほうに向かう。

スーパーカブをとめて、私は『収納』してしまう。置きっぱなしにすると、モリーナに悪戯されそうで怖いから。大地くんは彼独自の空間収納があるそうで、持ってきた荷物同様、彼の脇に黒い空間にしまってしまった。

「サツキ様っ!」

スーパーカブの音に気付いたのか、村の入り口のドアが急に開いた。

声をかけてきたのは、物作り好きのオースくんと、ドワーフのドレイクとエルモだ。

「こんにちわ」

「こんにちは、サツキ様、エイデン様」

「今日は……お客様ですか?」

「うん、ギャジー翁はいるかな」

「あー。はい、モリーナさんの声が聞こえるんで……いると思いますよ」

くすくすと笑っているオースくんの言葉に重なるように。

『すみませんっ、すみませんっ!』

『……』

『はいっ、はいっ!』

ギャジー翁に叱られているのか、モリーナの大きな声が聞こえてきた。

「……相変わらずみたいですね」

呆れたような声の大地くん。彼とも馴染みの相手ということなのだろう。

一方のオースくんたちは、私の後ろに立っている大地くんに興味津々。でも、私のお客さんということで遠慮をしているようだ。

「えーと、彼は稲荷さんの息子さん。稲荷さんってわかる?」

「は、はいっ!」

「(誰?)」

「(オース、知ってるのか)」

「(ガズゥたちがお世話になった人だよ)」

ドレイクとエルモはわからないようで首を傾げていたが、オースくんは聞き覚えがあったようだ。

「……大地です。よろしく」

ぺこりと頭を下げる大地くん。見た目の年齢的には、オースくんたちの方が少し上に見えるけれど、実年齢のほうはどうなんだろう。

チラッと大地くんに目を向けると、頬を赤らめてオースくんたちを見つめている。

――あれは、獣人とドワーフを見て興奮してる?

細い目は変わらないので、表情が分かりづらいけれど、きっとそうなんだろう。

「彼は、ギャジー翁のお客さんでもあるの。しばらく、村に滞在するから、よろしくね」

「は、はいっ」

「お、俺はドレイク、こいつは弟のエルモ。よろしくな」

「オースです。よろしく」

同世代の彼らの雰囲気に、仲良くやっていけそうでホッとした。

私たちはモリーナの住む家に向かう。村の様子が気になるのか、大地くんはキョロキョロと周囲を見ている。

「モリーナの家は、あそこ『は、はいー!』……だよ」

モリーナの悲鳴のような声がかぶさってくる。

――ギャジー翁はそんなに怖そうなイメージなかったけどなぁ。

モリーナの家のドアをノックすると、顔を出したのはモリーナではなくアビー。

「(こんにちは。ギャジー翁ってこっち?)」

「(いえ、お隣です)」

「(え、じゃあ、モリーナは誰に……)」

「ヴィッツ!」

アビーとこそこそと話していると、大地くんが私たちの脇を抜けて声をあげた。

「アース! 来たか!」

どうもモリーナを相手にしていたのは、ギャジー翁のお付きの人だったらしい。大地くんと仲良しなのか、彼のところまでやってくるとギュッと抱きしめて背中をトントンと軽く叩いている。