作品タイトル不明
第550話 ファミレスでの食事
軽トラの荷台は、買った物が山積み。少し気を付けて運転をする。
今日は大型のショッピングモールには寄らなかったので(スーパーにはフードコートはない)、帰り道にファミレスに行くことにした。本当は、冬ごもり前に行った蕎麦屋に行きたいところだったけれど、時間が遅かったので仕方がない。
四人掛けの大きなテーブルに一人座る私。
――意外に人が多いな。
時間帯でいえば、もうランチの時間ではないし、田舎道にある古いファミレスなので、地元の人くらいしかいないかと思いきや、キャンプ場の利用客らしき人達の姿も見受けられた。
私は大根おろしのソース付きの若鶏のグリルを頼むと、さっさとドリンクバーに向かう。久しぶりにコーラを選んだ。
料理が届くまで、久々のスマホチェック。冬ごもりの間の連絡は一人だけ。山を買った後、結婚式の二次会に行った、会社の元同期からだ。
「え、赤ちゃん生まれたの!?」
彼女からの出産報告のメッセージとともに、赤ん坊の写真が届いていた。
「うわっ、ほっぺ、ぷにぷにじゃん」
メッセージは年末あたりに送ってくれたようで、今頃はもう少ししっかりした顔になっているかもしれない。
私はお祝いのメッセージとともに、『うちの家族です』といって、暖炉の前で寝転ぶマリンや、ログハウスの前でどろんこ状態でお座りしている小さい頃のウノハナ・シンジュ・ムクの画像を送った。(さすがに、今の大きさの彼らの画像は送れない)
こちらでの、今でも繋がっている唯一の友人ともいえるので、何かお祝いの品を送ったほうがいいだろうか。
彼女の住所は、結婚報告のハガキが稲荷さんのところに届いていたので、スマホに登録してあるのでわかる。
ネットでプレゼントを選んでいるうちに、頼んでいた料理が届いた。
「赤ちゃんっていっても、すぐに大きくなっちゃうしなぁ」
ふと、村の妊婦さんたちのことを思い浮かべる。
グルターレ商会が持ってきた布関係は、その日のうちに完売になっていた。赤ちゃんだけではなく、孤児たちもどんどん大きくなっていくのを考えると、いくらあっても困らない。
まさに、今、村の女性たちは子供たちの服作りにかかりきりだろう。
――こっちとは環境が違うからねぇ。
私は結局、すぐに着なくなるベビー服よりも、と、ベビー用のタオルのギフトセットにした。
「さて、いただきまーす」
こちらでの食事も久しぶりだ。ワクワクしながら肉を口に運ぶ。
――うん? 肉の味が薄い?
大根おろしのソースの味が強くて、鶏肉のほうが淡白なのかもしれないけれど……なにか物足りない。
黙々と食べながら考えていると、気が付いた。
冬ごもりの間食べていた鶏肉……正確にはビャクヤやエイデンが狩ってきてくれたワイルドコッコやスピーディー(ダチョウもどき)等の魔物の肉の方が、味が濃かった。その味に私の舌が慣れてしまったということかもしれない。
――もしかして、牛とか豚の肉もそうだったり。
今日は肉は買ってきてないからわからないけれど、可能性もあるかもしれない。
――でも、あっちの肉も十分美味しいから、まぁ、いいか。
私は、大根おろしのソースをたっぷりつけて、最後の一切れを口の中に放り込んだ。