作品タイトル不明
第506話 冒険者ギルドに行く
スコルとメリーは、買い出しに行ってしまって、私たちは2人だけで冒険者ギルドに向かっている。私の少し前をエイデンが歩いている。
――なんか、視線を感じる?
周囲を伺うと、どうも女性たちの視線がエイデンに向いているようだ。
……確かに、人の姿のエイデンはかなりのイケメンだ。女性たちが気になるのもわかる気がする。
――でも、中身がアレだからなぁ。
思わずクスリと笑ってしまったのが聞こえたのか、エイデンが不思議そうに振り返る。
「なんでもないよ。ねぇ、アレが冒険者ギルドよね」
「ああ、そうだ」
私は冒険者ギルドには1回しか来たことがないけれど、なんとなく見覚えがあった。
エイデンが勢いよくドアを開けると、一気に視線が集まった。先程までの女性たちの視線とは違い、鋭い視線だったり、興味津々な視線だったり。そして、あちこちでボソボソと話している。
なんとなく不愉快な感じだけれど、エイデンは気にもせずにカウンターの方に向かう。
カウンターに座る女性スタッフの目がキラキラとエイデンを見つめている。明らかに目がハートになっている子もいる。
しかし、エイデンは一番端に座っていた男性スタッフの方へと向かう。
「買取を頼みたい」
男性スタッフに声をかけるエイデン。慣れている様子に、アレ? と思う。
「エイデン様! いつもありがとうございます! どうぞ、奥の方へ!」
嬉しそうに笑顔を浮かべている男性スタッフは、そそくさと立ち上がると奥の方を手で指し示す。
エイデンはエイデンで、小さく頷くとそのまま奥の方へと向かって行くので、私も後をついていく。
「ねぇ、よくここに来るの?」
「うん? たまにな」
「あの男の人の様子だと、たまにって感じじゃないけど」
「ああ、あいつがいつも対応してるからじゃないかな」
いつもたくさん魔物を狩ってくるなぁ、魔物狩りが好きなのかなぁ、と単純に思っていたけれど、もしかして冒険者ギルドの仕事のついでに狩っていたってことなんだろうか。
――それにしたって、毎回量が多い気はするんだけれど。
そんなことを考えているうちに、突き当りのドアをエイデンが開けた。
もわっと、生臭い匂いが漂ってきたので、顔をしかめてしまう。
「おう! エイデンの旦那じゃねぇか! なんだ、また大物かい!」
威勢のいいおじさんの声が聞こえてきた。
「そっちで出していいか」
「おうよ! おい、手が空いている奴ら、呼んで来い」
「うっす!」
入ってみると入り口には大きなカウンターがあるのだけれど、エイデンはそのカウンターを越えて大きく開けたスペースに行くと、ドンドンと魔物を取り出していく。
この前、村でもかなりの量の魔物を出していたのに、まだあったのか、と唖然とする。
「ああ! さすがです。エイデン様!」
いつの間にか、さっきの男性スタッフが現れてメモを片手に魔物をチェックしている。
「これはワイルドグリズリーの亜種ではないですか!」
「えっ、オークジェネラル!? こんなのどこで!」
「ブラックワイバーンなんて、久しぶりに見たぞ」
「……これ、カイザルタイガーじゃねぇか」
男性スタッフ同様、いつの間にか、ガタイのいいおじさんやお兄さんたちが集まり、エイデンの魔物に感嘆の声をあげている。
魔物の名前はさっぱりだけれど、彼らの様子からしても珍しい物だったんだろう。私たちは普通に、旨い、旨いと食べてたけれど。
「よし、エイデン様、しばらくここでお待ちください!」
メモをし終えたのか、男性スタッフは猛スピードで部屋を出ていく。
「エイデンの旦那、こいつは全部買い取りでいいのかい?」
「ああ、かまわんよ」
「ありがてぇ! よーし、お前ら、気合入れてやるぞ!」
「おう!」
おじさんたちも大盛り上がりで、なんとなく村の獣人たちの姿と重なった。