作品タイトル不明
第486話 街灯とモリーナ
先日買ったヨーロッパ風の街灯っぽいソーラーガーデンライト。
地面に刺して使うタイプなんだけど、高さが180cmと、私の身長よりもはるかに大きくて、私じゃ真っすぐに挿せない。そして、ちょっと重い。
自分で抱えることは出来たとしても、真っすぐに立てるとなると、難しい。それが6本もある。
「どれ、ここでいいか?」
そう言ってズポッと街灯を挿したのはエイデン。軽々と持ったかと思ったら、見事に真っすぐに立っている。
獣人たちにお願いしてもよかったのだけれど、急ぎではなかったし、エイデンが帰ってきたら頼もうと思っていたのだ。
果樹用棚が完成した後、さっそくエイデンにお願いしたら超ご機嫌。
朝早くからログハウス前の東屋で待ち構えてたっていう……。
……『待て』ができるようになった模様(遠い目)。
「ありがとう。あとは、あっちね」
最初の2本は、ログハウスの敷地の出入り口(トンネル側と桜並木側)に1本ずつ挿してもらった。まだ昼間なので、どれくらい明るくなるかわからないけれど、低いタイプのガーデンライトとはまた違った明るさになるに違いない。
「あと4本はどうする」
「そうねぇ」
まずは、トンネル側の道の途中、立ち枯れの拠点へと向かう分かれ道に1本。
エイデンと一緒に行って挿してもらった後、少しでも太陽光が入りやすいようにと、周辺の草や木々を切っていく。
次に立ち枯れの拠点の入り口に1本挿した後、村の入り口へと向かう。
大きな門のそばにガーデンライトを挿してもらっていると、興味深そうに近寄ってきたのは孤児院の小さい子供たち。
「エイデンさま、それはなーに?」
懐いている女の子たちは、エイデンの長い足にへばりついている。
「これは……がーでんらいと、だったか?」
「そうそう。これはね、夜になると光るのよ」
「よるじゃないと、ひからない?」
「そうね、ほら、うちのお庭で夕方になると光ってるのがあるでしょ?」
「あるー!」
「あれは足元が明るいんだけど、これは上のほうでライトが光るのよ」
「へぇー」
小さい子たちが目を大きくして見上げている姿は、やっぱりかわいい。
「最後の1本はどうする」
「これはドワーフたちの住んでるあたりがいいと思うの」
「よし。ほら、離れろ~」
エイデンの優しい言葉に、素直に離れていく子供たち。しかし、何が楽しいのか、キャッキャと後はついてくる。
最後の街灯を挿したのは、ドワーフたちの住居が集まる通りの中ほど。
子供たちが最後の1本だからか、わーいと一様に嬉しそうな声をあげる。
「なにごとぉ?」
そこに魔道具師のモリーナが、ぬぼーっと店から出てきた。髪の毛は相変わらず、もさもさで、目の下にはクマができている。もしかして、徹夜でもしたんだろうか?
「……あ!? そ、それはっ!」
目に見えない速さで街灯の下にやってきた。
「モ、モリーナさん?」
「これは……街灯……いや、でも」
ぎゅいんっという音が聞こえそうなくらいの勢いで、私に顔を向けてきた。
「これは、これは、もしや『がーでんらいと』ですかっ、サツキ様っ!」
――ホラーですかっ!? 怖すぎですからっ! モリーナさんっ!
「おい、エルフ、黙れ」
「はっ! ぎゃっ! 痛い、痛い、痛いですぅ~!」
エイデンに頭をつかまれ、宙に浮いてジタバタしているモリーナの姿は……ホラーからギャグ漫画に変わった模様……。