作品タイトル不明
第482話 ホワイトウルフのマスコット
ついつい夢中になって、気が付けば2日ほどで、フェルトボールのヘアゴムが21個出来てしまった。おかげで黒いゴムは使い切ってしまった。春まで新しく追加できないけど、今のところは使い道がないので、よしとする。
ちなみに、1個はマリアンヌ専用のヘアゴム(超強力)。
残りは比較的抑えめにしたつもりなので、防御力アップ程度で済んでいる。これなら、孤児院の女の子たちにあげても大丈夫だろう。
「色付きの毛糸は使い切っちゃったけど、白い毛はまだ残ってるんだよねぇ」
タブレットの『収納』には、ホワイトウルフの毛が大量に残っている。
普通のホワイトウルフたちは、基本的に毛梳きチームに梳いてもらっているんだけれど、ビャクヤ一家は、私のところに毛梳きをしてもらいに来る。他のホワイトウルフたちとは体格が違うから、ちょっとした運動になるし、毛の量も馬鹿みたいになるのだ。
そんな中、ビャクヤの毛は別格なのか、リスト上でも別名義『ホワイトウルフ(ビャクヤ)の毛』になっている。
――これ、絶対、ヤバいヤツ。
私でも予想ができる。マリアンヌのヘアゴムの飾りをこれで作っていたら、倍返しどころではなく、即死とかしそうだ。
「せ、せっかくだから、もう一つ、何か作ろうっと」
何がいいかな、と思いながら、ふと、斜め掛けバックに目がいく。
そこには、私が初めて作ったホワイトウルフの顔のチャームが下がっている。2年近く使っているせいか、薄っすらくすんだ色になっている。
――ホワイトウルフのマスコットでも作ってみるか。
中心になる部分にだけ、ビャクヤの毛にして、マリアンヌを守ってくれますようにと願いながら、チクチクチクと、黙々と針を刺す。
精霊たちが興味津々で見つめているのがわかる。
『またちがうのをつくりだしたぞ』
『こんどは、どんなすごいのができるかな』
コソコソと何か言ってるけど、聞き取れない。
「よーし」
掌サイズの白い塊が出来上がる。形はダルマ、というか、おきあがりこぼしっぽい。さすがにリアルなホワイトウルフは無理なので、デフォルメしたマスコットだ。
上の方(少し細い)に小さな耳をつけ、顔は黒い刺繍糸、目は小さな濃い青の魔石を接着剤で貼り付ける。
「おお、いいんじゃなーい」
ちょっと自画自賛。
最初のヘアゴムを作った時みたいに夢中にはなっていなかったはずなので、そんなに過激な力はついてないはず、と『鑑定』してみる。
――結界と浄化ね。悪くないわ。
結界の範囲はマスコットの最大半径5メートル。それより狭い室内だったら、その室内全体が結界の範囲になるようだ。結界の中に入ることができるのは所有者と、所有者が認めた相手のみ。
「……うん、これは、寮のお部屋に置いておいてもらおう」
お貴族様もいるような寮だと聞く。部屋のセキュリティがどうなってるのか知らないけれど、泥棒除けくらいにはなるだろう。
――マリアンヌは、ミサンガ出来たかな。
必死に練習してるマリアンヌを想像して、ちょっと笑ってしまった私なのであった。
* * * * *
『ねぇねぇ、あれじゃ、ものたりなくなーい?』
『そうだなぁ』
『はいろうとしたやつは、どっかにぶっとばすとか』
『びりびりしびれるとか』
『みずでびっしょりになるとか!』
精霊たちの物騒な会話は続いていく。