軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第469話 護衛と冒険者、獣王国と帝国情報

行商の荷馬車から少し離れたところに、いつもの護衛の人達が集まっていた。3人のエルフの護衛たちとともにいるのは、Bランクパーティの『焔の剣』の面々だ(たまにしか来ないから、パーティ名とリーダーのドゴールさんくらいしか名前を覚えていない)。

その周りには、ガズゥたちや孤児院の男の子たちが集まって楽しそうだ。

皆、温かい飲み物を手にしているのは、ベシーやリンダたち孤児院の女の子たちが出してくれたみたい。

「いやぁ、これ、美味しいね。微かな甘味がいい。熊獣人のマックスには物足りないかもしれないけど」

「……もしかして、カナカの実か?」

虎獣人が目を見開いて驚いている。

その熊獣人のマックスさんがベシーに問いかける。

「は、はい。乾燥させたのをお茶にしました」

「へぇ……これくらいの甘さだったら、サントスでも飲めるんじゃねぇか」

「……飲める」

サントスと言われた人族の男性が、ボソリと答える。

女の子たちは気に入ってもらえたのが嬉しいのか、頬を染めながら見つめている。

年上の男性で、冒険者ってだけでも、カッコよく見えるんだろう。

クスッと笑った私は、エルフの護衛たちと『焔の剣』のリーダーのドゴールさんたちの方へ向かうと、にこやかに迎え入れてくれた。

「お疲れ様です」

「ああ、サツキ様」

「今回もお世話になります」

「最近は、どうですか?」

「そうですねぇ」

まったく他の街に行かない私だけに、こちらの世界での情報には疎い。疎いどころではないかもしれない。たまにエイデンやネドリ、他の村の冒険者たちがもたらしてくれる噂話くらいしか知らないのだ。

「そういやぁ、獣王国の新しい国王様のところに4人目のお子さんが生まれたらしいですよ」

「あそこのご夫妻は仲がいいから」

「先代と違って、王妃一筋だもんな」

獣王国っていうと、我儘姫がいたところだ。

新しい国王は、まだ30代前半だそうだ。姫、姫、王子の3人だったのが、4人目に姫が生まれたそうだ。

一応、母が同じ王弟が2人いるけれど、腹違いの我儘姫がいたおかげで、仲がいいらしい。

「なので、獣王国の王都では、お祭り騒ぎになってるらしいです」

「へぇ」

よその街なんて、ケイドンくらいしか行ったことがないし、王都っていうところがどんな感じなのか、気にはなる。

いつか観光旅行にでも行ってみたい。

「それに比べて、帝国はヤバそうですよ」

「ああ、皇帝の力が弱まっているなんていう噂があるくらいだからな」

「前だったら、そんな噂をするヤツは見つかり次第すぐにバッサリやられてたが、そんな余裕もないらしい」

「野盗も多くなったな」

「今回の行商でも、俺たちは帝国の西半分くらいまでしか周れなかったんです」

「東側は、ジェアーノ王国とモンテマス王国と戦争してますからね」

「モンテマス?」

そのモンテマス王国っていうのは、ジェアーノ王国のお隣で、ジェアーノ王国同様、帝国との国境があるのだとか。

というか、まだ揉めてるのか、あそこは。ラインハルトくんは無事だろうか。

「ジェアーノとモンテマスは、古くからの同盟国というのもあるけど、ジェアーノの王妃は、モンテマスの末姫だし、モンテマスの王弟の奥様は、ジェアーノの国王の実姉だしね」

……がっつり身内ですね。

「農作物の不作の話や、貴族たちの不穏な話も聞く。戦争なんぞ、している場合ではないと思うんだがな」

そうなんですねぇ、と言いつつも、この村ののんびりした空気のせいか、遠い土地での話のせいか、現実味を感じない。

「あれ、もしかして……ドゴールさん?」

誰かと思ったら、ガンズさんと、彼を支えているのはコリンナさんだ。

もう外に出て歩けるくらいになったようで、ホッとする。

「ガンズじゃないか!」

「お久しぶりです!」

「お前、どうした。というか、こちらは?」

「あ、え、えと」

――ガンズさん、照れている場合じゃないでしょうがっ!

内心、ツッコむが私が口出しするのも、と思っていると、コリンナさんがおずおずとした感じで名乗った。

「コリンナです。あの『焔の剣』のドゴールさんですよね? 私のこと、覚えてませんか?」

「コリンナさん? コリンナ、コリンナ……ああ! もしかしてケセラノのギルド!」

「そうです! わ、覚えててもらえて、嬉しい」

三人の楽し気にやり取りしている様子に、私も笑みを浮かべて見つめるのであった。