作品タイトル不明
第457話 ベビー用品を買う
ガンズは相変わらず、寝たきり状態だ。
たった数日だというのに、立派だった体格も、動かないせいか筋肉が落ちてしまっている。食事はなんとかメリーが食べさせているようだけれど、大変そうだ。
なんとか元気になってほしいと思っても、心の傷の方までは癒せないのが悔しい。
こんな状況なので、ボドルさんたちの結婚式はひっそりと行われた。ガンズが元気になったら、盛大にやればいい、そう言っていた。
ケニーとラルルは、何やら思うところがあるのか、再び村を出ていった。思いつめたような顔をしていたのが、少し心配ではある。
ネドリは二組の結婚式が終わったら、再びエイデンと一緒にどこかに行ってしまった。エイデンに振り回されているんじゃないか、と、少しだけ気の毒になる。
村のことはいいのか、と思わずハノエさんに言ったら、「あの人はちゃんと帰ってくるからいいんですよ」と豪快に笑い飛ばされてしまった。
今日は冬ごもりに向けての買い出し。完全に封鎖するまでに、あと1回くらいは来られそうではあるけれど、買える時に買っておかないと、と思う。
そして、この冬に何を作ろうかな、と思って、すぐに思いついたのはベビー用品。
村でもマル以来の出産ということで、村人たちはお祝いムード。ただ、ガンズのことがあるので、大騒ぎという感じではない。
リリスさんとケイトさんも、妊婦って感じでもなく元気に村の手伝いをしているせいもあるかもしれない。
今は二組の夫婦のための、新しい家を建てるのに忙しそうだ。
たぶん来年の春の初めくらいには生まれるかも、と言われてるから、冬ごもりが終わってからでもいいかもしれないけど。
「使い捨ての紙おむつとか、あると便利だよね。それぞれに1個買っとくか。それと、基本布おむつみたいだし……あ、あった」
ドラッグストアの中の紙おむつの棚。色んな種類があったけれど、新生児用のを手に取る。
――獣人の赤ちゃんって、尻尾ってどうなってるんだろう。
ちょっと予想がつかないけれど、念のため、あってもいいだろう。
そして、同じ棚の端の方に、布おむつ用と書かれた布を発見。
「あーとーはー、肌着とかスタイみたいなのは専門店かな」
広いショッピングモールの中で見つけたのは、よくCМで見るベビー用品の専門店。
前に一度、会社の先輩に出産祝いで買いに行ったのを思い出す。あの時は、そこそこの値段の 物(すでにセットになってたやつ) を買ったんだけど。
「うわ、安っ」
数百円単位で買えるって凄いわ。これなら、大量買いも出来る。今はまだ性別もわからないし、色々買ってもいいだろう。それに、たくさん買えば、一つくらい見本にして、冬の間の手仕事でベビー服作ってもいいだろう。
思った以上にベビー服の種類が多くて、思わず店員さんに聞いてしまった。
そしたら、あれもこれもとおススメされて、カゴが一杯に。こんなにたくさん用意しなきゃいけないのか、とちょっとびっくり。1つ1つは安いと思ったのに、結局、思った以上の金額になってしまった。二人分のお祝いだと思ったら、それほどの値段ではないのかもしれない。
ベビー用品のお店で買い物を終えると、今度は手芸店。
たくさんベビー服を買ったつもりではあるけれど、サイズが合わないとかの可能性もある。結局、手作りになる可能性も捨てきれないので、様々な色合いのタオル地の生地を爆買いした。
残念ながら、あちらには、タオル地のような柔らかさのある生地は身近にはないのだ。
それに、小さめのカラフルなボタンやスナップボタン、細めのゴムも買っておこう。スナップボタンは、ドワーフたちに頼めば、似たような物を作ってくれるだろうか。
買ったようなレベルでは作れないだろうけれど、ママ軍団だったら、上手いことできるんじゃないかって、勝手に思っている。
「ベビー服は作れなくても、靴下くらいなら、私でも編めるかなー」
そう呟きながら、今度は毛糸の棚の方へと足を向けるのであった。