作品タイトル不明
第434話 芋が大豊作はよかったのだけど
村の畑でも収穫が始まった。
今、村の畑で主に育てているのは、芋2種類と豆だそうだ。これらが一番、広い畑で作られている。他にもトマトっぽいのやら、ピーマンっぽいのも植えているようだけれど、皆、家の敷地で作る家庭菜園程度の規模だ。
村の畑といっても、私の敷地内の畑だ。もしかして、ログハウスの畑同様に、凄いスピードで生えたりしない? と心配だったけれど、普通の成長速度だったようで、少しホッとした。
このまま、普通に育つかなー、と思っていたんだけど、そうはいかなかったようで。
「さ、五月様!」
立ち枯れの拠点で、トマトの最後の収穫をしているところに、狼獣人のオクタさん(40代半ば)と孤児院の年長組の子供たち(リンダとケイン)が籠を背負いながら現れた。
オクタさんはオババの甥っ子で、畑周りの面倒を見ているそうで、年長組の子たちは、畑仕事も手伝っている。
「イポモアとバカラモ、両方とも収穫したんで、ぜひ食べてみてくだせぇ」
ニコニコと笑いながら、オクタさんが背負い籠を下ろして、中を見せてくれた。
バカラモというのはじゃがいもっぽい芋なのは、獣人たちとの食事によく出ていたので知っている。小粒の新じゃがくらいのサイズで、ケインの籠には、バカラモでいっぱいだ。
オクタさんとリンダの籠の方は、赤紫の皮の大きめな芋で、これがイポモアという芋なのだろう。色合いの感じからしてサツマイモっぽく見える。
「いやぁ、まさか、あんなに大豊作になるとは思いもしませんでしたわ」
獣人の村でも、育てていたそうだけれど、土地のせいなのか、あまり多くは収穫できなかったそうで、倍どころの騒ぎではないらしい。
その上、聞くところによると、イポモアの大きさも通常のよりも一回り大きい物が多かったそうだ。
精霊たちが頑張ったってことだろう。
「どうぞ、こちらをお納めくだせぇえ」
3人とも籠ごと置いていこうとするものだから、さすがに貰いすぎではと慌てると、オクタさんの方が困った顔になる。
「実は、倉庫の方が今はいっぱいになってしまって……畑の方にもまだ抜いていないのが残ってるくらいなんです」
少し前に、村用の貯蔵のための倉庫を、ドワーフたちに畑の近くに作ってもらったそうだ。
その倉庫には、グルターレ商会が来た時に買った、小麦や燻製肉なども入れてあるそうで、今回収穫したバカラモやイポモアの多くは、この貯蔵用の倉庫に保存するつもりだったそうだ。
しかし、大豊作な上に、イポモアは芋自体が、デカくなったせいで、収納スペースが足りなくなったらしい。
「な、なるほど……」
バカラモはよく食べるので、消費は早いらしいのだが、イポモアは非常食の意味合いが強いらしい。非常食なら、それこそ保存しておいた方がいいのでは、と思うのだけれど、今から倉庫を作るのも、と。
でも、話の感じじゃ、この籠3つ程度じゃ焼け石に水なんじゃ、と思ったり。
とりあえず、イポモアが見た目通り、さつまいもと同じだったら、干し芋とかにもできるんじゃないだろうか。それに芋焼酎みたいなのもできるんだったら、ドワーフたちが喜びそうな気もする。作り方、調べなきゃわからないけど。
……一番は、私が倉庫を作るのが手っ取り早い気がする。