作品タイトル不明
第432話 バターを練る、練る
「あははは、はぁ、はぁ、はぁ……よ、よし、じゃあ、白い液体をコップにいれて」
笑いすぎて息が上がってしまった私だったけれど、3人それぞれの瓶から、水分だけを味見用の小さなコップに注ぐ。
「さ、さてと……味はどうかな」
コクリと飲んでみると、だいぶスッキリした味わい……美味しいかと聞かれたら微妙だけれど、ちょっと疲れていた私には、十分だ。マカレナたちにも味見をさせたら、全部飲んでしまった。彼らには美味しかったようだから、まぁ、いいか。
この水分、バターの作り方を調べた時に、ケーキやクッキーみたいなお菓子から、スープや肉の煮込み料理などに使ってもいいともあったので、前にバターを作った時はチキンのスープにして食べた。
他にも、カッテージチーズだったか、リコッタチーズだったかが作れるって書いてあったので(どっちだか忘れた)、次は挑戦してみよう。
瓶の中の固形部分を、スプーンで取り出して、ボウルに移していく。瓶の八分目くらいに入っていた牛乳から出来上がった量は、その半分にもならなかった。
ボウルのバターを木ベラで、滑らかになるまで練りこんでいく。
「これに、少し塩を加えて~、練りこんで~」
「ねりこんで~!」
「ねりこんで~!」
無事にプレーンなバターが出来上がった。
味見をするために用意したトーストにバターを塗って食べてみたら、思った以上に美味しかった!(3人で作ったからだろうか?)
その後、半分はそのまま、もう半分をハーブバター(コショウに乾燥させたタイムとローズマリーを使った)にした。今日の夜はハーブバターを使ってお肉を食べよう。
出来上がったバターを、それぞれ2つずつを小さいタッパーに移しておく。1セットは『収納』して、もう1セットはマカレナたちのお土産だ。
そういえば、レーズンバターなんてのもあったっけ。レーズンはないから、次の買い出しの時にでも買ってこよう。
「マカレナ、作り方は覚えた?」
「はいっ!」
ニコニコ笑顔で、小さなタッパー2つとともに、綺麗にしたジャム用の瓶もリュックにしまいこむマカレナ。戻って自分たちでも作る気満々だ。
空いた牛乳の瓶を抱えたブルノもご機嫌だ。
「ハーブが必要だったら、立ち枯れの拠点で採ってきてもいいからね」
「本当ですか!? ありがとうございますっ!」
嬉しそうなマカレナとブルノの様子に、私も思わずにっこりしてしまった。
* * * * *
マカレナたちはログハウスの敷地から、ダンシングな歌を歌いながら、ゆっくり牧場へと戻っていく。
チャッチャカチャチャ、チャチャチャ♪
チャッチャカチャチャ、チャチャチャ♪
歌詞は何を言ってるかはわからなかったけれど、リズムが楽しくて、覚えてしまった。
そして、その歌声に合わせて、マカレナの背中でダンシングな精霊たち。
これを見たら、五月は再び、お腹を抱えて笑ったに違いない。
『バターおいしー』
『ハーブもおいしー』
『ぼくじょうにはやす?』
『うしにたべさせる?』
『もっと、ぎゅうにゅう、うまくなる?』
『イェーイ!』
精霊たちの盛り上がりは、マカレナたちには聞こえない。