軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第403話 村の大改造

はっきりいって、村には大人数が泊まれるような宿屋はない。

そもそも他の旅人が来る前提がなかったから、そんなものを用意する必要性もなかった。

グルターレ商会が来るようになっても、カスティロスさんたちはネドリの屋敷の客室、護衛や冒険者の人達用に作った小さめのログハウスを使っているのだ。

ネドリの屋敷はそれなりに大きいけれど、さすがに王族が泊まるようなレベルではないんだとか。

「今更、宿屋を用意するにも、切り盛りできるような者はおりませんし」

「こんなことも、せいぜい年に1回あるか、ないかだもんね」

普通、高位のお貴族様やら王族様やらが、やってくることなんて稀なはずだ。

「どうせ、お付きの人も来るわけだし、箱だけ用意して、勝手にやってってしちゃダメかなぁ」

「……(神のいとし子である)サツキ様の言葉であれば、否やはないでしょう」

「いや、私の言葉っていうか……。キャサリンたちはまだしも、王族が来るとか、そもそもおかしいし」

なんか言っているうちに、ムカムカしてくる。

余計な仕事、増やしやがって的な、苛立ち?

「そういえば、変化の魔道具は」

「さすがに村人全員分は難しいかと」

「だよねー」

獣人を下に見る傾向のあるコントリアの人のことを考えると、村の中に彼らを入れるのは、やっぱり嫌だなぁ、と思う。

全員が全員とは思いたくはないけど、貴族や王族っていうだけで、そういうイメージがあるというか。できるなら嫌な思いはしたくない。

「……一度、村自体、大きく作り変えようか」

「えっ」

手持ちの素材の量の方は心配なところはあるけれど、久々に大々的に『ヒロゲルクン』と『タテルクン』を使うのもいいだろう。

それに、新たに建てられた家も増えて、手狭な感じになっているし、村自体を広げたほうが良さそうだ。

「そうとなったら、ちょっと図面を引かないとダメか」

「……ヘンリックにも声をかけますか」

「うん。お願い」

時間の余裕はない。

これはエイデンにも声をかけて、素材集めしてもらわないといけないだろう。

……ヤバいところからも集めてきそうだけど。

ヘンリックさんたちの協力の元、村の大改造が始まった。

まずは、石壁で囲っていた村の範囲を倍くらいにして、外にあった畑の一部を中に入れ込んだ。それに伴い、水堀の位置も変わる。

エイデンがどこからかトってきた(遠い目)石壁の素材が大活躍なのは、言うまでもない。

「すげぇ……」

タブレットの『ヒロゲルクン』をいじっていると、背後に孤児たちが集まってきていた。

彼らが私の作業を見るのは初めてだから、興味津々だ。

「サツキ様の邪魔をしてはいけない」

司祭様の小さな声が聞こえたので、振り返ってみると、子供たちとともに教会の建物の方へと向かっている。

教会は今まで通りに、そのまま石壁の外に置かれている。ここは外部との窓口になる場所みたいな位置づけだから。

だけど、司祭様や孤児たちの生活する家である孤児院は、村の中へと移動させた。子供たちが変な貴族とかに絡まれたら面倒だからだ。

そして村を囲う水堀を挟んだ反対側、今は荒地になっているところに、新たなログハウスを数軒建てる。

ここが来訪者たちのための宿舎になるのだ。

「五月、木材はアレで足りるか?」

エイデンがニコニコしながらやってきた。

その背後には……うん、すごい量だね(遠い目)。

「たぶん大丈夫。ありがとう」

「他には、何かあるか」

「今のところは、何もないよ」

「そうか」

ご機嫌なご様子のエイデン。私が彼に頼ったことが嬉しかったらしい。

最初、コントリアの王族諸々がやってくるということに、すんごい不機嫌になっていたのに比べれば雲泥の差である。

このまま、ご機嫌エイデンでいてほしい、と切に願う私なのであった。