軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第331話 長閑な昼下がり……のはずが

大型のガーデンフェンスが、少しずつ距離を伸ばしていく。

最初は山際に設置するつもりだったけれど、せっかく『伐採』で広がった敷地部分も含めてしまえと、森の際に設置することにした。

これだったら、フォレストウルフたちを保護できるスペースもできるかなと。

どうせなら、この空地に何かしら、別の苗木を植えてもいいかもしれない。

――何を植える?

ここまで収穫しに来るのは面倒だから、果樹はないかな。

魔の森は奥に行くほど暗い感じだから、ここら辺は明るい色味の木とかどうだろう。

……どんだけ、ここに居続ける気だ、私。

木材をまとめて『伐採』したのがよかったようだ。間断なく設置していくうちに、結構な距離を稼いだのではないだろうか。振り返って見ると、拠点がすでに小さく見える。

ちなみにフォレストウルフたちはホワイトウルフたちの後を、大人しくついてきている。

カーン

カカーン

ドーンッ

ワー!

時折、獣人たちが小気味よく木を倒していく音と、倒れた時の歓声が聞こえてくる。

私の方はほぼ無音で『伐採』して、ガーデンフェンスが出来上がっているだけに、賑やかだ。

一方で、北側の方から微かに聞こえるのは。

ズーンッ

ズズズーンッ

……何が起きているのか心配になるような低音。

エイデンの伐採方法が気になるところだ。

気が付けば『ヒロゲルクン』で『伐採』した範囲の先端まで辿り着いた。

太陽がちょうど天辺にきているようなので、お昼くらいだろう。

「さて、一旦、ここまでにして、お昼にしようかな」

今私がいる場所は、ちょうど山のカーブの始まったあたり。拠点も見えなくなっている。

さすがに、ここから拠点まで歩いて戻るのは面倒だし、ここから先の作業を考えたら、ここで食事休憩にした方が良さそうだ。

空地の枯れ木や切り株を撤去して、軽く地ならしした後にレジャーシートを敷く。

小さな折り畳みのテーブルを出して、固形燃料と小さな折り畳みコンロを取り出す。

最近はすっかり魔道コンロ一辺倒だったけれど、山に住み始めた頃に使ってたなぁ、としみじみしながら、小さなポットを載せる。

そこに水筒の水を注ぐと、気が付くと水筒の中がまた一杯になっている。水筒の縁で、人の身体をした水の精霊がニコニコしながら見上げていた。

もしかして、あっちからついてきたのかもしれない。

「ありがとね」

『ウフフフ』

精霊の楽し気な笑い声に、私もつられて笑みを浮かべる。

お湯を沸かして作るのは、カップラーメン。醤油味。これが楽だし、馴染みの味なのだ。ズルズルッとすすって、ため息をつく。

「はー、外で食べると、なんで美味しいんだろうねぇ」

そう呟きながら周囲を見る。

ホワイトウルフたちの食事は大丈夫なのかと思ったら、私が作業をしている間に、魔物を狩って自由にしちゃってるんだとか。

ビャクヤはずっと一緒にいるけれどいいんだろうか。

少し心配に思いつつビャクヤの方を見ると、耳をピクピクッとさせながら魔の森の方を見ている。

何か気になるのか、と声をかけようとした時。

ドドドドッ

ドスンドスンッ

遠くから重たい何かが走ってくる音が聞こえてきた。

ホワイトウルフたちは警戒体勢に変わる。

「何!?」

『オークです……3体来ます』

「オ、オークって、もしかして、さっきのフォレストウルフのっ」

私の言葉が言い終わる前に、ガーデンフェンスにぶつかる激しい音が聞こえた。

オオオオオッ

某アニメのガキ大将の歌声、とまではいかないものの、その酷い声に、耳を塞ぎたくなる。

私はそこで初めて『オーク』という魔物を見たのであった。