軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第258話 襲撃

彼らが横になっている間に、馬たちに水や人参をあげた。

人参はログハウスのそばの畑で作った物。精霊たちのおかげなのか、大きくて形のいいものばかり。ぼりぼりといい音をたてて食べている。

水はビニール製のウォータータンクに入れてきた人工池の水だ。タンクの中には、どんな効果があるかわからないけど、水の精霊に勧められた魔石も入れてある。もしかして、もっと美味しくなるんだろうか。

大きな飼い葉桶みたいなのがあればよかったんだけど、当然手持ちにはなかったので、『収納』に入れたままだった、レンガ作りで粘土を混ぜるのに使ったプラスチック製の箱に入れてあげたら、みんな頭をつっこんで飲むこと、飲むこと。

やっぱり、この子らもしんどかったよねぇ、と思いながら身体を撫でてあげた。

ホワイトウルフたちも、物欲しそうに見ていたので、魔物の肉の塊を与えると、勢いよく食べ始めた。食べ終えた子は車の影に横たわっている。この子らの暢気な様子に、私もちょっと安心した。

日差しが動いて、ドゴルたちに当たるようになってきた。

「もうちょっとしたら、起こそうか」

空になった箱を『収納』しながら、ケニーにそう言った時、周囲にいたホワイトウルフたちが唸り始めた。

「……どうしたの?」

不安に感じた私は、周囲を見渡す。開けた荒野の中、本来なら動く物もないはずのところ、少し先で土埃をあげて何かが近づいてきている。方向的には、あの街があった方だけれど、もしかして魔物? と思って慌てて、寝ている子たちを起こす。

ケニーは腰に下げている剣に手を伸ばしながら、皆に馬車に乗るように叫ぶ。

「サツキ様、あれは魔物じゃない」

「え」

「たぶん、人族の冒険者だ」

「だったら」

大丈夫なんじゃ、と言いかけたところでケニーが「急げっ」と叫ぶ。

「あいつら、ホワイトウルフを狙ってる。それに俺たちが獣人だってわかったら、捕まえて、奴隷商に売り渡すに決まってるっ」

こんなに離れてるのに、彼らの会話が聞こえるの!?

それに、何、即奴隷って。

ケニーの言葉に驚きつつも、ホワイトウルフを狙う、という言葉で、前に街に行った時に聞いた、なんとかっていう冒険者パーティがいたのを思い出した。

もしかして、まだ、ホワイトウルフを狙ってたの? と思いながら、急いで軽トラに乗り込む。

「ドゴル! 先に行け!」

そう叫ぶケニーは、まだ助手席に乗り込んでいない。

ドゴルたちの荷馬車が走り出し、その両サイドにホワイトウルフたちも並走していく。

「ケニー!」

「サツキ様、ここは俺が時間を稼ぎます!」

「何言ってるの!」

どう考えたって、多勢に無勢。そうこうしているうちに、馬に乗っている人影が、私でも目視できるほどに近くなった。

「急いで乗って!」

私の怒鳴り声に、助手席ではなく荷台に乗ったケニー。私はエンジンをふかして、ドゴルたちの馬車を追う。

軽トラのスピードであれば、すぐに追いついてしまう。このまま先行して走ってしまうことはできるけど、相手は馬。当然、馬車の方がスピードは出ない。

サイドミラーを見ると、案の定、追いかけてきている馬との距離が縮んでいる。

「ケニー!」

「はいっ」

「蛇行運転するから、摑まれるところがあったら、掴まって! ホワイトウルフたち、少し離れて!」

私はケニーの返事を待たずに、ぐりんぐりんとハンドルを動かす。乾燥している土地のせいで、土埃が盛大に舞い上がる。これで、少しは相手の視野の邪魔になるはず。

「げっ、これでもスピード落とさないの!?」

むしろ蛇行したせいで、軽トラにかなり近くまで迫ってきていた。

「もう! それじゃ……ケニー!、耳塞いで!」

思いっきりクラクションを鳴らすと、先頭を走ってた馬が驚いたのか、ロデオのように前足をあげて止まったようで、他の馬もつられて止まった。それでも、まだ追いかけてくる根性の馬が1頭。騎乗している男が何やら叫びながら、凄い形相で大きな剣を振り上げている。

「もう、やだー。どうして、こういう時にエイデンいないのよぉ~!」

そう叫んだ時、周りがシュッと薄暗くなった。