作品タイトル不明
第248話 興味津々エルフ集団
すっかり日も落ちて、あたりは真っ暗……なのは荒地の方。私たちがいる東屋周辺は、焚き火の他に、LEDのガーデンライトのおかげで、ほんのり明るい。
「いやぁ、こいつは凄いですなぁ……魔力ではなく、太陽の光が元になってるとは……どうなってるんだ?」
テーブルの上に簡単な料理や飲み物が並んでいるのに、ガーデンライトの前にしゃがんで、しげしげと見ているのはエルフの集団。エイデンに怒鳴られて、腰を抜かして偽装が剥げちゃったエルフたちだ。
そのエイデンは不機嫌そうに東屋の柱に背を預けながら、エルフたちを睨んでいる。
ちなみに、ケニーたちはエイデンの怒鳴り声ですぐに戻ってきたけれど、相手がエルフだとわかった途端、慌てて長屋に引っ込んでしまった。
エルフたちは予想通り、稲荷さんの奥さんから話がいった行商人の方々だそうで(グルターレ商会というそうだ)、本来はコントリア王国(キャサリンたちの国の名前らしい)の王都に向かう予定だったのを、わざわざ立ち寄ってくれたらしい。
はっきりいって、恐ろしいほどの美形の集団。
年齢不詳だし、みんな似たような顔立ちをしている。髪色だって、プラチナブロンドのストレート。よくよく見ると、目の色が若干違うかな、という程度。みんな、誰かの影武者かよ、とツッコみたくなるくらい、全員が似ている。
「魔石を使わずに、明かりを使えるとは……素晴らしいっ!」
そう叫ぶのは、さっきまで老人だったレディウムスさん。御年702才。
……このレディウムスさんを『小童』扱いするエイデンの年齢っていくつなんだ……。
「サツキ様、このライトもですか?」
目をキラキラさせながら、東屋の屋根の端に下がっているLEDのランタンを見ているのは、老人を宥めていた若者だった、カスティロスさん。レディウムスさんのお孫さんなのだとか。同じような顔だけど、確かに、若干、本当に、若干、若い?
「それもですね。ソーラーパネルはこれです」
「そーらーぱねる……なんとも不思議な響きですね。それと、これは……精霊か?」
最後はなにやら真剣な目でボソボソ呟いている。その横顔は、なかなかの美形っぷりだ。
彼らがなぜ人族に偽装していたかというと、国によって多少の違いはあれど、エルフを含めた亜人と言われる種族に対する差別が、酷いことが一番の理由だ。特にエルフは美形揃いということもあり、最悪、捕らえられて奴隷にされることもあるのだそうだ。その対策の偽装だという。
――あー、やだやだ。また奴隷か。
確かに愛でたくなる容姿ではあるけれど、奴隷はいかんだろ、と思う。
「いやぁ、レィティア様からお話を聞いた時は、何の冗談かと思いましたが、本当に、こんなところに住んでいる人がいるとは思いませんでしたわ」
ようやくガーデンライトの観察に満足したのか、椅子に座ってワインに口をつけたレディウムスさん。
「うん!? このワインは!」
「お口に合いましたか」
「雑味もなく、ほのかに残るベリーのような味わいがなんともいえず、いいですな……おやっ!? このコップはなんですっ? うん? ガラスじゃないっ!?」
今度はスーパーで安売りしていたワインに感激して、プラスチック製のコップに驚いている。
なんか、申し訳ない気分になるのは私だけだろうか……。