作品タイトル不明
第239話 新たな建物と木材集め
ガズゥはエイデンとホワイトウルフたちと一緒に狩りに行っている。
そして、今、ケニーが木を切っているのは、移住してくる仲間たちの家を作るためだ。材料さえあれば、私が作れるという話をガズゥから聞いてから、俄然やる気が出てきたようだ。
最初、建築までの知識はなかったケニーたちは、仲間が来るまではテント暮らしを覚悟していたのだとか。地べたでないことだけでも、かなり嬉しかったらしい。
その上、移住してくるという獣人たちの棲み処の用意も必要だ。
ケニーたちに聞いたところ、29世帯あるとのこと。その数の家を新たに建てるとなると、材木の量は半端ないことになるだろう。
しかし、冬場の寒さを考えると、長屋よりもしっかりした家、最終的にはログハウスが無難ってことになる。
しかし、残念ながら、木材だけでは作れない。
今あるログハウスのメニューでは、暖炉用のレンガもそうだし、窓ガラス付き。さすがに、世帯数分のガラスやレンガをあちらで買ってくるほどの余裕はない。
それに、今私が住んでいるサイズでは一家族が住むには小さいだろう。
なので、レンガを作るなり、ガラスのないすべり出し窓のようなのがついているタイプにするしかないかな、と思っている。
タブレットの『タテルクン』のメニューに目を向ける。
自力で作ったり、購入してきたものは、自動的にメニューに追加されるようだけれど、見本のない物は、メニューの中には含まれないようなのだ。
ちなみに街に行った時に見てきた石造りの家々については、対象外だった模様。
どういう条件なのかが気になるが、獣人たちがここで作った家なんかは見本扱いになったりするのかな、と少しだけ期待はしている。ダメ元だけど。
「バージョンアップすれば、ログハウスのメニューが増えたりするかなぁ」
KP貯めるために止めていたけれど、何度か通知が来ていたのだ。ここは挑戦するのもいいかもしれない。
「あ、五月様! 今、よろしいですか?」
声をかけてきたのはラルル。ケニーが伐採している間、近くで薬草などがないか探すと言っていたが、腰に下げている革袋は、かなり膨らんでいる様子。
私だったら、薬草だとは思わずに、確実に廃棄しているな。
「はいはい」
「ケニーが倒した木を収納してもらえないかとのことなんですが」
「あ、わかった~」
ラルルとともに、エイデンの 山(たぶん) の中へと入っていく。
うちの山裾は、ガーデンフェンスを設置する過程で草刈りや伐採をしているので、だいぶ日が入って明るいが、こっちの山は全然手が入っていないので、下草の背が高い。ラルルが先行していなければ、前に進めなかっただろう。
「あ、五月様!」
汗だくになっているケニー。その足元には1本の大木が倒れている。
「お待たせ~」
「すみません、こいつと、あと、あっちにも数本倒れてるんですが」
「はいはい、それじゃ『収納』」
ひゅんひゅんと大木を『収納』した私。でも、これだけじゃ足りないんだよね。私も、自分のところの山の『伐採』もしておこう。まだまだ、山の中腹あたりは手が入っていないしね。
「お疲れ様、とりあえず、麦茶でも飲んで」
彼らに麦茶のペットボトルを差し出すと、ケニーたちは慌てて自前の木のコップをバッグの中から取り出した。
「はぁ、美味しい~」
「生き返る~」
切り株に座り込む彼らの様子に、ちょっと微笑ましく思いつつ、私は『収納』から草刈り機を取り出す。
「ちょっと煩いけど、我慢してねぇ」
「え」
「は?」
ギュイーンっ
「な、なにごとっ!?」
「ひぇぇぇぇっ」
なんか叫んでいるけど、とりあえず無視して、草刈り開始。毎回、こんな草の中、歩きたくないもんね。後で歩きやすいように『整地』もしておこうか。
そんなことを考えながら、私は草刈りをしながら山を下りていくのであった。