作品タイトル不明
第145話 激ウマフルーツに身悶える
パクパクと美味しそうに食べ続けるノワール。
木の上の方に生っているのが、どんどん減っていく! 絶対、日に当たってるヤツの方が熟しているに違いない! なんか、食べるスピードがあがっていないか!?
「くっ! ちょ、ちょっと待って! あんまり食べ過ぎないでよ!」
そう言って私は、水の流れのところまで戻ると、一粒だけ袋から取り出し、簡単に洗ってから食べてみた。
「っ!?」
思わず固まるほどに、びっくりである。
ノワールの『甘酸っぱい』の言葉につられて、ちょっと酸っぱいのをイメージしてたけれど、爽やかな甘さの中にほどよい酸味で、予想以上に美味しい。
ついつい、いくつか洗って食べてしまう。あまりの美味しさに身体が震える。
「もう、これはジャムだけじゃなく、普通に生食でもいけるわね」
頭の中には、ヨーグルトやアイスクリームと一緒に食べるイメージが湧いてくる。
いそいそとブルーベリーの木に戻り、大粒のものをどんどん採っていく。『収納』があってよかった。気が付けば持ってきていたストックバックの半分以上を使って、なんとか収穫完了。まだ、小さい実が残っているけれど、これはまた後で収穫することができるだろう。
「あとは、桑の実ね」
まだ上の方でブルーベリーを食べているノワールをそのままに、水の流れを跨いで、反対側に植えた桑の木を見てみる。
こちらは、まだ完熟までいかないものが多いようだけれど、いくつかは赤黒い実が生っている。こっちは元々の大きさがわからないんだけど、きっと通常のものより大きいのだろう。ここはすぐそばにあるから、さっと洗って食べてみる。
「甘っ!?」
ブルーベリーよりも甘い。ちょっとびっくり。
しかし、ブルーベリーよりも生っている数は多くはないようだ。私は、とりあえず完熟してるものだけストックバックに入れていく。
私はほくほく気分で、桑の実を採っていたのだが。
『五月様』
急にビャクヤの声が聞こえた。その声には、少しだけ焦りを感じる。
「え、何? どこにいるの?」
周囲を見回すけど、ビャクヤの姿は見当たらない。
『申し訳ありません、お力をお貸しくださいませんか』
「え、どういうこと?」
『とにかく、今、お迎えにあがりますので、お屋敷までお戻りいただけますか』
お屋敷って、ログハウスのこと? 正直、そんな大した家じゃないんだけど。
彼が今どこにいるのかわからないけれど、声の感じからも、これは急いで戻った方がいいかもしれない。
「ノワール!」
『なに~?』
上空で相変わらずブルーベリーを食べているノワール。なんか、口の周りが紫っぽい赤でべちゃべちゃになってる。どんな食べ方をすると、そんなになるのよ!?
「ちょっとビャクヤが呼んでるから、家に戻るよ」
『……は~い』
珍しく文句を言わずに、戻ることに同意したノワールを連れて、私は急いで敷地へと戻った。
すでにそこには、荒い息を吐きながらビャクヤが待っていた。